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第24話 女神様に真実を聞こう

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 ドリルを繰り返す事、三週間は経った……と思う。もう少し経っているかも。

 何度も何度も何度も、同じ内容を繰り返したのでほぼ暗記した。
 繰り返す事を苦にしない性格だったからよかったけど普通だったら飽きる、と思う。間違いなく。今更ながら別の出版社? に変えてもらっても良かったかな。

 たまに、外書外で食べたりしたから気分転換できたのも良かったのかもしれない。

 さて、ステータスはどうなったのだろう。

****************************
ニコ(谷中 虹琥)
Lv.1018
16歳

<スキル>
神との交信(トータルレベルx10秒)
学習ドリル Lv.24→国語(中学1年まで)
          数学(中学1年まで)
          地理(中学1年まで)
          歴史(中学1年まで)
          理科(中学1年まで)
          英語(中学1年まで)
識字 Lv.5(大陸内の文字は読める)
会話 Lv.5(大陸内の会話ができる)
思考加速 Lv.5(任意で1時間、通常の100%の思考能力が向上)
並列思考 Lv.1(もう1人分の思考が可能)
心眼 Lv.5(音速程度は目で捉えられる)
方向感覚 Lv.5(自分を起点に半径1km以内であれば道に迷わない)
索敵 Lv.1(半径1km内の危険を察知できる。位置もわかる)
鑑定 Lv.5(おおよそのものならば詳細も分かる)
魔法→火属性 Lv.5(中級魔法が使える)
   水属性 Lv.5(中級魔法が使える)
   地属性 Lv.5(中級魔法が使える)
   風属性 Lv.5(中級魔法が使える)
聖魔法→回復 Lv.1(軽度の傷や病気を回復できる)
****************************


 全体のレベル以外は学習ドリルが中学生に進んだくらいしか変化は無いようだ。

 中学生になったら算数が数学に変わって、社会も細分化されている。まだ大丈夫だと思うけれど難しくなるのは分かる。

 ……チャレンジしようかな?

 でも、今日は女神様に会おう。


>『神との更新」

「ニコ。お茶とお菓子と約束のカレー……あれ?」
「こちらを覗いていなかったんですね」
「それにここは地下室ですね?」
「はい。それなので飲むものも食べるものもここにはありません」
「いじめなの? 女神に対して! 抗議する!!」
「後で用意しますから、先ずはお話しをさせてください。三時間近く一緒にいられる位にレベルが上がりましたし」
「……何が聞きたいの?」
「十六歳までの「ニコ」について知りたいです」
「それは「スキップ」した自分ですよ?」
「違いますよね? おそらく「別人」です」
「……どうしてそう思ったの?」
「とにかく性格が良くて、人付き合いが良くて、おそらく強い」
「顔は?」
「……褒めれたり可愛がられたので言いにくいですが……顔はそっくりです」
「では、自分自身だと思わないの?」
「性格が違い過ぎるんですよ。僕はたまたま人助けをして異世界に来ましたが、その前世の自分のままであれば、人付き合いが良いなんて事、無いんですよ。友達が皆無だったのですから」

 言葉にすると若干辛い。でも楽しい日々は過ごしていたと思っている。

「そしてこの体が資本みたいな世界で体を鍛えさせなかったのは、既に「出来上がっている」からです。鍛える余地が無い体型ですよね」

 無駄が無いのだ。前世の自分は平均的な体型だと思っているが、お菓子好きな自分ではなれない。

「おそらく戦闘技術的な事はドリルでレベルアップしていれば補完できるし、おそらく、今後のレベルアップで身に付くのだと思っています」

 女神様は僕をじっと見ている。心は読まれても困らない。多分、真実をどう伝えるか考えているのですよね?

「……うん。先ずは」

 女神様は言いたい事をまとめているようで、細めた目で天井を眺める。 

「『谷中 虹琥やなか にこ』と『ニコ』は別人だけど別人では無い、です」

 やはり。

「別次元の僕、ですよね?」
「そう。正解。さすが分かってるね!」

 ニヤリと笑う女神様。

 ラノベやアニメ好きが転生したら可能性に辿り着きますよね。

「女神様がいるのが世界の狭間、と聞いたのを思い出してもしかすると、って思いました」

 もっとも疑問もあるけれど。

「世界観と年齢が違うことはパラレルワールドとしては疑問ですが」
「魔法の存在により差異が発生しています。年齢の進みも遅いようです」
「近いようで全く違うのですか」

「そうですね。でも不思議な事に同じような長さで生きて……死にます」
「それは女神様でも変えられない事ですか?」
「容易ではありません。因果に係わる事なので」

 寿命に係わる事実!!

「でも、僕は生きていますよね?」
「はい。抜け穴、ですかね……方法はあるのです」
「あ……『ニコ』の体に『谷中 虹琥』の心……ですか」
「そうです。それが最善……だと思っています」

 死に方の問題? ニコの方が優れていた?

「死に方ですね。『ニコ』は心が、『谷中 虹琥』は体が死んだのです」

 前世の僕の死に方では納得……なのか?

「では『ニコ』はどのような死に方をしたのですか?」
「その説明は容易では無いです」
「……簡単な死因ではないのですね」

「はい……あなたもですが」

 僕も? ただの事故では無い?

「教えて頂けないのですね?」
「それはこれから知ればよいです」
「辿り着きますか?」

「はい。でも全容を知るまでには色々とあると思います」
「そうですか……」

 言わないと決めたら頑なですものね。それならば。

「ニコってどんな子でしたか?」
「そうですね……それは教えましょう。最初に伝えた通り、別の国で家族と暮らしていました」

 しかし、その国は戦争になり、逃げる途中で家族を失ってしまった。

 幸いなことにニコだけは兵士に救われ、そのままこの国に逃げてきた。
 逃げる間の半年、兵士から生き術として、野外での生存術や剣術を学んだ。

最初聞いた時は『住んでいる』って聞いていたからもしかすると会えるかと思っていたけどね……言葉尻捕まえても、ですか。
  
「その兵士って普通の方では無かったのですよね?」
「そうですね。隣国、この国の騎士で、諜報活動をしていました」

 そしてこの国に連れて来られ、その騎士の養子となった。
 
「その騎士の家がここです」
「その騎士は?」
「ニコが十歳になる頃に亡くなっています」
「家族は?」

「いませんでした。それからこの家に一人で生活してきました」

 それで便利屋をしていたのかな。

「そうです。子供が任せれる仕事を請け続けて、信頼を積み重ねて今があります」

 なるほど。

「色々と頑張る子でした」

 それはこの地下室を見れば分かる。真面目で誠実、勤勉で勤労。

「そして『神の愛し子かみのいとしご』でした」

 『神の愛し子』……パワーワード!

「それは『谷中 虹琥』も同様ですよ?」


 ……僕、無宗教でしたけど大丈夫ですか!?
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