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第11話 食堂でご飯を食べよう

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 昨日は家の中を色々と鑑定したけれど周囲には分からないものは無かった。
 安心と少しの残念が入り交じる。

 多分、外に出ないと駄目なんだろうと思う。レベルも低いし。
 
 女神様専用食器は幾つかあったので大切に保管する事にした。
 割るのも他の人にも出せないし。


 さて、今朝は外で食べようかな。


 食堂「まるいひつじ亭」は大盛況だった。

 空いた席も見当たらないか別のお店に行ってみようと思っていたらケイトが目ざとく僕を見つけて六人テーブルにもう一脚椅子を置いて「ここ!」って指差していた。

 ……両隣のお兄さん達を無理に空けさせてごめんなさい!

「今日は何にする?」

 何があるか分からないのだけど。

「お勧めでいいよ!」

「分かった。ちょっと待っててね。他の人より優先するから!」

「それはいいから!ちゃんと待つから!!」

 嬉しいけれど贔屓は駄目だよ!

「そう?じゃ待っててね~」

 厨房に向かって行った。少しホッとする。

 さて、今日はこの後どうしようかな……

「ニコ、久しぶりだね」

 対面に座っている老紳士から声をかけられた。
 身なりが整っているからどこかの執事か高級商店の店員と思われる。

「はい。ご無沙汰しています」

 無難に返す。どんなつながりがあるのだろう。

「近々、鉱山の方に行く予定はあるのかな?」

 鉱山? 鉄とか石炭とか?採掘現場で働いた事があったのかな?

「すぐには無いですけど……お急ぎですか」

「いえ、まだしばらくはよいのですがお屋敷の魔石をお願いしたと思いましてね。あなたは質の良いものばかりなので直接買い取りたいのですよ。我が当主様もお気に入りですしね」

 やっぱり採掘もやっていたのか……。僕のしっかりした体格も納得できる。
 そして話の感じから執事のようだ。どれ程の家かは分からないけれど。

「そういえばデムスも依頼したい事があったと言ってませんでしたか?」

 老紳士の隣の恰幅がよく、質の良さそうなローブを着た男の人を見ている。

「そうでした!私も薬草をほど三種類欲しいんだ!君が採ってきた材料で薬を作ると何か違うんだよね」

 薬屋さんなのだろう。良い意味で「何か違う」のであれば良いなぁ。

「分かりました。少しだけお待ち下さいね」

 おそらく鑑定のレベル上げが必要だ。今の自分では駄目だろう。
 まだ色々と不安もあるので小学生のドリルを制覇して女神様に素性を教えてもらったら受ける事にしよう。

「うむ、ではマスターに依頼書を渡しておくから頼んだよ」

 執事氏と薬屋さんは一緒に去って行った。

 でも、執事ならお屋敷の方がもっと上等な料理が出そうなのにな。

「何か変な事考えてる?」

 ドン!とお皿が置かれた。山盛りの野菜や肉と少しのパン。食べきれるかな。

「ケイトか。いや、本当に色んな人が来てるんだなって思っただけだよ」

「それはそうだよ。情報が集まる場所だからね。ここは」

「そうだよね。でも、仕事の依頼を頂いたよ。まだ先でいいって言われたからすぐにではないけれど」

「……ふぅん……せっかく止めてたのにな……アーカム様は抜け目ないなぁ」

 先程の執事さんはアーカムさんと言うのか。

 止めてた……? もしかして断ってくれていたのかも。

 だから。

「ありがとう」

 とだけ伝えた。

「とりあえずしっかり食べてってね!お残し厳禁!!」

 忙しそうに他のお客の方に向かって行った。

 さて、頑張って食べますか!
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