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貴方の神を捨ててね!
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先の海戦より、海峡を挟んだ死体の投げ合いは急速に増加している。
それは霧を纏ったネルソン艦隊が陸兵(勿論死体)を満載して、丑三つ時に大陸沿岸を襲撃し、霧と共に立ち去るチャンネルダッシュ作戦を皮切りに始まった。
元手は只なのだ。決死隊ならぬ不死隊を、双方あらゆる手段で敵地に投げ込もうと画策している。
だがここで問題になるのは弾である。特に英国。幾ら元手がタダでも蘇らせる死体や骨が無いことには、話にならない。
有利なのは勿論大陸を有する枢軸だ。イーブル、ソンム、ヴェルダン、猖獗を極めた戦場から、死者は続々と補充される。一番の補充先はフランスである。
フランス人は怒り狂うが、パルチザン狩りにも同じフランス人の死者が投入され、死者にズタズタにされた彼らも、永遠の行進に加わる羽目になる。
これを見た英国は植民地からの補充を企てる、だってインドがあるんだもの。骨と木で出来た船が英国の至宝から本国へ向けて出港していくのだ。
これまたインド人民は反乱寸前になる程怒りを滾らせるが、ガンジスの河口から溢れ出る白い津波が町々を行軍し始めれば黙るほかはない。
無限の兵力。新しい形の戦争は、同じく無限に湧き出る反乱をも、骨と腐肉で圧し潰せるのだ。
だが何時の間に世界は此処までファンタジーに汚染されたのであろうか?
幾ら大日本葬儀屋帝国が、盛んに技術者を双方に派遣しているとは言え、此処まで酷い汚染が進行しているとは?枢軸は分かる。彼らは本質的に持たざる者なのだから、利用できる物は何でも利用するの精神で、祖先を冒涜し、支配地域で蛮行を働いている。
統領なんぞ「全てのローマ軍団をコンプするんや!第一から第十二まで全部!ああ三十も忘れるやないで!カエサルも叩き起こすんや!探せ!後アントニウスと大カトーと、、、ネロ?墓に叩き戻せ!」等と趣味を全開にしている。
欧州大陸に於いて墓荒しと遺跡荒しは新たな商売のタネになりつつある位だ。
しかし、枢軸は頭のネジが緩んでいるか中世で止まっているので諦める他はないが、国民の声を、完全には無視できない連合側が、この様な蛮行を行っているのには少し疑問だ。
切羽詰まれば誰だってやる。そう言われれば頷く他はない。だがおかしいとは思はないだろうか?この時代まだまだ信心深い人間だって多いのだ。
皆が皆、教会の裏手から骨が歩き出すのを黙って見ていられる程、大人しい人間ばかりではない。審判の日まで眠っている筈のご先祖様が、御国の為に叩き起こされるのだ、キリスト教徒にとって、これほど抵抗を感じる行為もあるまい。
これこそが、大日本メフィスト帝国の世界征服行為。その第二段階が世界を静かに覆いつつある証左なのだ。
総統閣下が、大日本帝国からの奇妙な提案について説明を受けていた事を覚えて御出でであろうか?その提案についてご説明しよう。
失礼、もう一つ思い出して貰いたい。この世界を汚染するファンタジーの元ネタであるフレーバーテキストに於いて、邪悪なる死霊術師が「契約」がどうとか言っていたのも、思い出して貰いたいのだ。
日本は、いや永山は技術を提供する各国の最高指導者に、一つの契約書にサインをする事を求めた。
書いてあった内容はごく簡単。
「大日本帝国は、我が国の技術者が、貴国支配地域に於ける技術の使用並びに通行を認められ、保護を受ける事の見返りとして、貴国に対し適切な技術的支援を行う事を誓約する」
この契約書に「必ず」直筆でのサインを暗黒陰険帝国は求めたのだ。求められた方も首を傾げる。今時、こんな黴臭い書類を外交文書に使うのは変だし、技術支援諸々の交渉は双方外務省が行っている筈だが、この契約書は内務省が所管する別口だと言うのだ。
契約書に御名御璽があるのも頷けない。易々と出どころも怪しく、なんの意味があるのか分からない契約書に押してある物ではない。
なんの意味が?そう尋ねても、向こうは、これに署名しなければ、大規模な技術者派遣は行わないの一転張り、そして若し署名していただけるなら、最新技術の提供を認めるし、貴国に対し技術者養成も行うと言うのだ。
怪しい、怪し過ぎる。絶対になんか企んでいる。突き付けらえた方も、あらゆる手でこの契約の裏を探るがなーんも出てこない。
なんど問い詰めても、文字通り。通行の自由と貴国の法律に沿った保護を求めるとだけ返される。ギリギリまで粘ったが、来る大博打を前にしたドイツは契約書にサインを行い、これを察知した(と言うより日本側が「総統はサインしましたよ」と言った)英国もサインを行う。
「必ず何か裏がある!なんかあったら東洋艦隊を東京湾に殴り込ませてやる!」位思っていた英国であるが、大人しく日本が大量の技術者を派遣してくると拍子抜け、そこに大陸失陥が重なり、なし崩し的に現在に至っている。
彼らは自分の死刑執行書にサインをした事を知らないのだ。
皇居地下大カタコンペ
「という訳でして。ここにその契約書があります。独英伊他多数。これで我らは大手を振ってかの地に死を振りまく事が出来る訳です!なに?ソ連も書いて寄越したんですか?イイですね!」
「これで向こうの人間の魂は全て我らの物か、、、、可哀そうな事をしてしまったかな?それにしても怖いな、君の世界は紙切れ一枚で国を売れてしまうんだものなぁ」
「契約とはそんな物ですよ陛下。私の世界でしたら、皆知っている事なんです。死霊術師と契約は絶対にしてはいけないと言う事は。ましてそれが僕の様な大死霊術師となれば国ごと取られたって可笑しくはない。まあ、向こうさんは魔術の魔の字も知りませんから、この契約書の恐ろしさなんて分かる道理も無いんですが」
永山は胸を張る。ここ大カタコンペで行わる世界征服会議の大目玉がこの契約書だ。これも永山が所持していた課金アイテムである。
その効果はゲーム内でも極悪その物。サインしたが最後、内容によっては、そのプレイキャラの身包みから果てはレベルまで絞り取れる一品である。本来の使い方は、ゲームにありがちな口約束でのトラブル防止や、ギルドでの結束を固める為双方で取り交わすのが使い方だが、その効果はキャラの領地やNPCまで含まれてしまう。
ゲームだから良いのだ。それを現実でやったらエライ事になる。
だからやる、悪用する。今回の内容はマイルドに見えるがそれは違う。死霊術師が領土を闊歩し、そこら中で死体を蘇らせ、聖別された土地を汚す事を、国家元首の名で各国は受け入れたのだ。
元ネタが元ネタだけはあり、永山の死霊術は、西洋的な信仰だとか教会だとか言う物に大いに影響を受ける。永山の力の出どころである邪神が、ジョニーな神に恨みでもある可能性が原因かもしれないが。
これまで極東を中心に暴れまわっていたから、それほど問題になっていないが、向こうは本家。実は支那でも、教会に立て籠られると、人間の兵士が対応せざるをえなかったのだ。
だがこれからは違う。増える死者は「聖なる」土地を汚し続け、戦争の激化に伴い行使され続ける死霊術は現実世界の帳を少しづつ剥がしていくのだ。
「総本山はどうするんだ?」
永山の報告を聞いていた出席者の誰かが聞いた。
「元に戻します。あそこは元は死者の物。七つの丘は全てネクロポリスに帰るのです」
「セントポール大聖堂は!」
永山の答えに興奮する誰かが叫んだ。
「燃やしましょう!盛大に!元聖女と皇帝を連れて!」
「赤の広場!」
「ぜーんぶ墓に変えます!筆髭は禿と一緒に墓守にして!搔き集めた不朽体に絞殺させた後!」
「エジプトは王朝の元に!吸血鬼の元祖には蘇って貰って串刺しを量産!」
「まだあります!パリのカタコンペから湧き立つ死者でシャンゼリゼをパレード!アンシャンレジームの皆さまとギロチン祭り!勿論サンソンにやらせます!主賓はちょび髭御一統!落ちた首を英国宰相と抱き合わせテムズにドボンしましょう!」
「ああ、陛下御安心を。王室の方々は皆永遠に英国を支配していただきます。僕が目指すのは暗黒の千年紀!旧体制が現代を支配し、血と死者の支配があの国を飲み込むのを見たいんです!」
「「「米国!」」
永山は夢見る様に己の狂気を開陳し、それに合わせてノリに乗った観衆は暗き納骨堂を震わせる。
「そう米国!自由の国!現代のローマ!あの国が退廃と堕落に落ちるのを主人はお望みなのです!」
それは霧を纏ったネルソン艦隊が陸兵(勿論死体)を満載して、丑三つ時に大陸沿岸を襲撃し、霧と共に立ち去るチャンネルダッシュ作戦を皮切りに始まった。
元手は只なのだ。決死隊ならぬ不死隊を、双方あらゆる手段で敵地に投げ込もうと画策している。
だがここで問題になるのは弾である。特に英国。幾ら元手がタダでも蘇らせる死体や骨が無いことには、話にならない。
有利なのは勿論大陸を有する枢軸だ。イーブル、ソンム、ヴェルダン、猖獗を極めた戦場から、死者は続々と補充される。一番の補充先はフランスである。
フランス人は怒り狂うが、パルチザン狩りにも同じフランス人の死者が投入され、死者にズタズタにされた彼らも、永遠の行進に加わる羽目になる。
これを見た英国は植民地からの補充を企てる、だってインドがあるんだもの。骨と木で出来た船が英国の至宝から本国へ向けて出港していくのだ。
これまたインド人民は反乱寸前になる程怒りを滾らせるが、ガンジスの河口から溢れ出る白い津波が町々を行軍し始めれば黙るほかはない。
無限の兵力。新しい形の戦争は、同じく無限に湧き出る反乱をも、骨と腐肉で圧し潰せるのだ。
だが何時の間に世界は此処までファンタジーに汚染されたのであろうか?
幾ら大日本葬儀屋帝国が、盛んに技術者を双方に派遣しているとは言え、此処まで酷い汚染が進行しているとは?枢軸は分かる。彼らは本質的に持たざる者なのだから、利用できる物は何でも利用するの精神で、祖先を冒涜し、支配地域で蛮行を働いている。
統領なんぞ「全てのローマ軍団をコンプするんや!第一から第十二まで全部!ああ三十も忘れるやないで!カエサルも叩き起こすんや!探せ!後アントニウスと大カトーと、、、ネロ?墓に叩き戻せ!」等と趣味を全開にしている。
欧州大陸に於いて墓荒しと遺跡荒しは新たな商売のタネになりつつある位だ。
しかし、枢軸は頭のネジが緩んでいるか中世で止まっているので諦める他はないが、国民の声を、完全には無視できない連合側が、この様な蛮行を行っているのには少し疑問だ。
切羽詰まれば誰だってやる。そう言われれば頷く他はない。だがおかしいとは思はないだろうか?この時代まだまだ信心深い人間だって多いのだ。
皆が皆、教会の裏手から骨が歩き出すのを黙って見ていられる程、大人しい人間ばかりではない。審判の日まで眠っている筈のご先祖様が、御国の為に叩き起こされるのだ、キリスト教徒にとって、これほど抵抗を感じる行為もあるまい。
これこそが、大日本メフィスト帝国の世界征服行為。その第二段階が世界を静かに覆いつつある証左なのだ。
総統閣下が、大日本帝国からの奇妙な提案について説明を受けていた事を覚えて御出でであろうか?その提案についてご説明しよう。
失礼、もう一つ思い出して貰いたい。この世界を汚染するファンタジーの元ネタであるフレーバーテキストに於いて、邪悪なる死霊術師が「契約」がどうとか言っていたのも、思い出して貰いたいのだ。
日本は、いや永山は技術を提供する各国の最高指導者に、一つの契約書にサインをする事を求めた。
書いてあった内容はごく簡単。
「大日本帝国は、我が国の技術者が、貴国支配地域に於ける技術の使用並びに通行を認められ、保護を受ける事の見返りとして、貴国に対し適切な技術的支援を行う事を誓約する」
この契約書に「必ず」直筆でのサインを暗黒陰険帝国は求めたのだ。求められた方も首を傾げる。今時、こんな黴臭い書類を外交文書に使うのは変だし、技術支援諸々の交渉は双方外務省が行っている筈だが、この契約書は内務省が所管する別口だと言うのだ。
契約書に御名御璽があるのも頷けない。易々と出どころも怪しく、なんの意味があるのか分からない契約書に押してある物ではない。
なんの意味が?そう尋ねても、向こうは、これに署名しなければ、大規模な技術者派遣は行わないの一転張り、そして若し署名していただけるなら、最新技術の提供を認めるし、貴国に対し技術者養成も行うと言うのだ。
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彼らは自分の死刑執行書にサインをした事を知らないのだ。
皇居地下大カタコンペ
「という訳でして。ここにその契約書があります。独英伊他多数。これで我らは大手を振ってかの地に死を振りまく事が出来る訳です!なに?ソ連も書いて寄越したんですか?イイですね!」
「これで向こうの人間の魂は全て我らの物か、、、、可哀そうな事をしてしまったかな?それにしても怖いな、君の世界は紙切れ一枚で国を売れてしまうんだものなぁ」
「契約とはそんな物ですよ陛下。私の世界でしたら、皆知っている事なんです。死霊術師と契約は絶対にしてはいけないと言う事は。ましてそれが僕の様な大死霊術師となれば国ごと取られたって可笑しくはない。まあ、向こうさんは魔術の魔の字も知りませんから、この契約書の恐ろしさなんて分かる道理も無いんですが」
永山は胸を張る。ここ大カタコンペで行わる世界征服会議の大目玉がこの契約書だ。これも永山が所持していた課金アイテムである。
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ゲームだから良いのだ。それを現実でやったらエライ事になる。
だからやる、悪用する。今回の内容はマイルドに見えるがそれは違う。死霊術師が領土を闊歩し、そこら中で死体を蘇らせ、聖別された土地を汚す事を、国家元首の名で各国は受け入れたのだ。
元ネタが元ネタだけはあり、永山の死霊術は、西洋的な信仰だとか教会だとか言う物に大いに影響を受ける。永山の力の出どころである邪神が、ジョニーな神に恨みでもある可能性が原因かもしれないが。
これまで極東を中心に暴れまわっていたから、それほど問題になっていないが、向こうは本家。実は支那でも、教会に立て籠られると、人間の兵士が対応せざるをえなかったのだ。
だがこれからは違う。増える死者は「聖なる」土地を汚し続け、戦争の激化に伴い行使され続ける死霊術は現実世界の帳を少しづつ剥がしていくのだ。
「総本山はどうするんだ?」
永山の報告を聞いていた出席者の誰かが聞いた。
「元に戻します。あそこは元は死者の物。七つの丘は全てネクロポリスに帰るのです」
「セントポール大聖堂は!」
永山の答えに興奮する誰かが叫んだ。
「燃やしましょう!盛大に!元聖女と皇帝を連れて!」
「赤の広場!」
「ぜーんぶ墓に変えます!筆髭は禿と一緒に墓守にして!搔き集めた不朽体に絞殺させた後!」
「エジプトは王朝の元に!吸血鬼の元祖には蘇って貰って串刺しを量産!」
「まだあります!パリのカタコンペから湧き立つ死者でシャンゼリゼをパレード!アンシャンレジームの皆さまとギロチン祭り!勿論サンソンにやらせます!主賓はちょび髭御一統!落ちた首を英国宰相と抱き合わせテムズにドボンしましょう!」
「ああ、陛下御安心を。王室の方々は皆永遠に英国を支配していただきます。僕が目指すのは暗黒の千年紀!旧体制が現代を支配し、血と死者の支配があの国を飲み込むのを見たいんです!」
「「「米国!」」
永山は夢見る様に己の狂気を開陳し、それに合わせてノリに乗った観衆は暗き納骨堂を震わせる。
「そう米国!自由の国!現代のローマ!あの国が退廃と堕落に落ちるのを主人はお望みなのです!」
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