121 / 171
キャロラインの場合(3)
しおりを挟む
私は彼女の胸に思わずキスをした。なぜそんなことをしたのか分からないが、確か王太子閣下は最初に仕立て屋を訪れた時に私にしたはず…。
「君を目に焼き付けておきたい」
「はい」
私はぐっとビッグスターに近づいた。ビッグスターの震える唇が私に近づき、彼女が私を潤んだ瞳で見上げる。
――うわっ…くらっときてしまいそうだわ。
私はそのままビッグスターを抱いてそっとキスをした。軽いキスだ。王太子閣下のように熱烈なキスはできなかった。でも、ビッグスターはかすかに甘い息を漏らした。
ああっん
「はい、カット!素晴らしい!」
「きゃっ…素敵」
あちこちで感嘆のため息が漏れた。私はほっとして崩れ落ちそうになりながらリョウタに支えられて、その場を後にした。
通路に来ると、リョウタは歩きながら絶賛してくれた。
「良かったよ。ほとんどアドリブのセリフなのに、信じられないほど素晴らしかった」
私は肩の荷が降りたと思いながら控室に戻った。そしてすぐに椅子に崩れるように座った。ふーっと息を吐いた。
目を開けると、馬に乗って駆けていた。目の間には森の一本道があり、後ろを振り返ると騎士団と馬車が走ってきていた。
――会長が無事に切り抜けてくれたのね。ありがとう。
私は心の中で感謝をしながら、得意な乗馬で目的の村まで向かったのだ。
「君を目に焼き付けておきたい」
「はい」
私はぐっとビッグスターに近づいた。ビッグスターの震える唇が私に近づき、彼女が私を潤んだ瞳で見上げる。
――うわっ…くらっときてしまいそうだわ。
私はそのままビッグスターを抱いてそっとキスをした。軽いキスだ。王太子閣下のように熱烈なキスはできなかった。でも、ビッグスターはかすかに甘い息を漏らした。
ああっん
「はい、カット!素晴らしい!」
「きゃっ…素敵」
あちこちで感嘆のため息が漏れた。私はほっとして崩れ落ちそうになりながらリョウタに支えられて、その場を後にした。
通路に来ると、リョウタは歩きながら絶賛してくれた。
「良かったよ。ほとんどアドリブのセリフなのに、信じられないほど素晴らしかった」
私は肩の荷が降りたと思いながら控室に戻った。そしてすぐに椅子に崩れるように座った。ふーっと息を吐いた。
目を開けると、馬に乗って駆けていた。目の間には森の一本道があり、後ろを振り返ると騎士団と馬車が走ってきていた。
――会長が無事に切り抜けてくれたのね。ありがとう。
私は心の中で感謝をしながら、得意な乗馬で目的の村まで向かったのだ。
0
お気に入りに追加
907
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。
白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
(R18)私の夫を寝取った親友ー金髪美人が不幸の引き金!
青空一夏
恋愛
私が帰宅すると、出張中のはずの夫と私の親友が夫婦のベッドでアレをしていた。私は洗面所に行って鍵を閉める。そこから展開する悲喜劇。ブラックコメディー。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる