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第一章
挙式
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黄色いアネモネ咲きのマーガレットが風に揺れている。アネモネ咲きのマーガレットソレミオだ。ピンクと白や赤の混ざったマーガレットストロベリーホイップの花びらも風に揺れている。赤いマーガレットの花言葉は「真実の愛」だ。真紅のマーガレットマルスレッドの花束が、今朝ラファエルから渡された。夫となる人からの初めての贈り物だ。
私は宮殿を馬車で出て、結婚式が行われる大聖堂に向かっていた。
晴れ渡る空に一陣の風が吹き込んだように高らかに鐘の音が鳴り響く。ラファエルと私の結婚を祝福する鐘だ。私は宮殿から乗ってきた馬車から降りた。美しく長いトレーンを姉のマリアンヌと侍女が馬車からおろしてくれる。
今日のマリアンヌは一段と綺麗だった。私たちは目を見合わせてうなずいた。
――行くわよっ……死を回避したら、辺境伯との結婚が決まったのよ。この結婚は正しい選択のはずだわ。
私はすっと背筋を伸ばして静々と階段を登り始めた。母が私の隣を一緒に歩き、私を見守ってくれている。その役目は途中で陛下に託された。
――陛下の結婚戦略に従って私は結婚するのだけれど、まさか陛下が私と一緒に歩いてくれるなんて思いもしなかったわ……
私はあまりのはからいに、涙が出そうになった。陛下は私を慈愛に満ちた眼差しで見つめて、励ますようにうなずいてくれた。
大聖堂の中にはごく数人の人しかいない。第一王子ウィリアムと第二王子ケネス、姉のマリアンヌ、母、陛下、花婿のラファエル、花嫁の私、騎士団から4名、神父だ。
それでも温かな気持ちになれる挙式だった。私の花嫁衣装は素晴らしくて自分でも息を呑むほど美しかった。
ラファエルと神父が待つ場所まで、陛下に付き添われて私が歩いて進む間、ラファエルはきらきらと目を輝かせて私を見つめていた。
式の間、ラファエルと私はしっかりと見つめ合い、愛を誓ってキスをした。
それは忘れられない時間になった。胸のときめきはかつてないほど高まり、私の夫になった人は逞しくも凛々しい顔を綻ばせて私を優しく見つめてくれた。
馬車で宮殿に戻ると、宮殿中の人々が私たちを出迎えてくれて大歓声を上げて祝福してくれた。私はラファエルにしっかりと手を取られ、美しい花が大量に飾られた祝いの席に連れて行かれた。そこで祝いの食事と美味しいお酒で皆に祝ってもらったのだ。
「マリアンヌ、久しぶりだね」
「ええ、殿下。お久しぶりでございますわね」
意外だったのは、第一王子ウィリアムが姉のマリアンヌを見て頬を赤らめて、恥ずかしがりながらも熱心に姉と話をしようとしていたことだった。
陛下をチラッと見ると、私に向かって陛下がウィンクをしたので、私は第一王子ウィリアムと姉のマリアンヌの様子を二度見してしまった。
――えぇっそういうこと!?
第二王子のケネスもにやっとしながら、第一王子ウィリアムがらしくもなく、しどろもどろになりながらも、姉のマリアンヌと話そうと頑張っている様子を黙って見守っている。
――ウィリアムの想い人はお姉様のことなのね。まあ!本気なのね。
私はようやく状況を理解した。彼自身が昨日私に姉に惹かれたと言っていたではないか。あれは本気なのだ。私は陛下が認めてくれている様子から、これは姉と第一王子日ウィリアムとの婚約は近いと悟った。
――お姉様はまんざらでもなさそうだわ。ならばっ!私がいなくなった後も、実家は安泰かもしれないわ。第一王子に嫁ぐお姉様ならば、お母様の様子を時々見ることはできるはずよ。私がコンラート地方のようなすぐに帰ってこれないような辺境の地に嫁いでも、これなら大丈夫だわ。
私は姉の様子をじっくりと見つめて、心の荷が一つ降りたように思った。姉は第一王子に本気で好かれているようだ。姉も嫌がってはいない。
私はラファエルにこのことを言いたくて、隣のラファエルの方を向いた。
けれども、私がラファエルに視線を向ける前からラファエルは私の方をまっすぐにずっと見つめていて、私はそれに気づいて真っ赤になって恥ずかしくなった。ラファエルと目が合うたびに、どうしたら良いのかわからないような気分になってしまう。彼はもう私の夫だ。怖いようなわくわくするような、なんと表現したら良いのかわからない複雑な気持ちになった。
姉と母とはしばらく今日でお別れだ。祝いの席が終わった後に、自室に戻った私は陛下に呼ばれて陛下の所まで出向いた。
そこには姉も母もいた。
「ロザーラ。結婚おめでとう。もう一つおめでたいことがあるんだ。つい先ほど我が息子が君の姉上のマリアンヌ嬢に婚約を申し出た。ただ、姉上が迷っているというのだ」
私は陛下の言葉に喜びを露わにした。
「お姉様、おめでとうございますっ!迷うことなどありませんわ。ウィリアム殿下のお姉様への気持ちは本物ですわ」
私は女好きという噂が根強いウィリアムの言葉を姉が信じられぬ気持ちでいることを推測った。
「ロザーラ、あなたは祝福してくれるの?」
姉のマリアンヌは驚いた様子で私を見つめた。
「もちろんでございますわ、お姉様。コンラート地方に旅立つ前にお姉様が幸せになる婚約の話が聞けて、私は嬉しゅうございます」
「マリアンヌ、あなたの気持ちはどうなの?私のことなら気にしないで答えてちょうだい」
私と母の言葉を聞いて、姉は両手を握りしめてそっと目をつぶった。しばらくじっと考え込んでいるようだった姉は、瞳を開けて小さな声で囁いた。
「お母様もロザーラも陛下もこの結婚に賛成だとおっしゃるのであれば、私は受けようと思いますわ」
「お姉様ったら、もっと大きな声で自信を持って言ってくださいな」
「マリアンヌ、遠慮は要らぬ」
「そうよ、私の娘はもっと自信を持って自分で決断できるはずよ」
陛下も私も母も、姉のマリアンヌを励ました。
「ならば。私は第一王子ウィリアム殿下からの婚約の申し出を受けようと思いますわ。結婚しようと思います」
姉は震える声ながらも、しっかりとした声で宣言した。
「よしっ!」
「お姉様、おめでとうございます!」
「マリアンヌ、おめでとう」
「誰かっ!ウィリアムを呼んできなさいっ!」
陛下が呼び鈴を鳴らして従者を呼び、すぐに第一王子を呼びに行かせた。
その後、廊下を走ってくる音がして「失礼しますっ!」と声がしたかと思うと、第一王子ウィリアムが部屋に入ってきて、私たちが泣き笑いをしながら抱き合っている様子を見つめて戸惑いの表情を見せた。
「ウィリアム殿下、お受けしますわ」
姉のマリアンヌが恥ずかしそうに第一王子に告げると、真っ赤になった彼は天を仰ぎ、くしゃっとした顔になった。涙を堪えた顔で唇の端を喜びに歪めながら震える唇で「ほんとに!?」と聞き返した。
「ええ、殿下。あなた様と結婚致しますわ」
姉は第一王子ウィリアムの反応にもらい泣きをしながら、うなずいた。
「マリアンヌっありがとうっ!」
第一王子ウィリアムは姉のマリアンヌを抱きしめて、肩に顔を押し当てて泣き崩れた。
私まで泣いた。陛下も涙を堪えて泣き笑いのような様子を見せている。母まで目頭を押さえていた。
こうして、私の結婚式の日、私がその前にしでかした一世一代の婚約破棄騒動について、落ち着くところに落ち着いたのであった。
「姉妹で手を取り合って我が国を支えてくれるとは、なんと嬉しいことだ」
陛下は喜びの言葉を告げ、私たちは恐れ入って陛下の言葉に感謝した。
「挙式は初夏にしようか」
「わかりましたっ!」
陛下と第一王子も固く抱き合って、喜びを露わにしている。
その後、私は姉と母に宮殿で別れを告げた。次はいつ会えるかわからない。姉の挙式に戻って来れるか分からない。
「明日の昼前の出発の時には、私たちも見送りに来ます。声はかけられないけれど、私たちが見送っていることを忘れないでね」
「あなたは私の娘よ。あなたがどこにいようとも、あなたに愛を捧げていることを忘れないでね」
母と姉は名残惜しそうに私を抱きしめて、宮殿を後にした。姉と母が宮殿を去ると、私は侍女に手伝われて湯に浸かった。
今夜の初めての夜に向けて、足がふわふわと宙に浮いたような心落ち着かない気持ちだったけれども、時間は飛ぶように過ぎて夜になった。
夫となったラファエルが待つ部屋に私は連れて行かれた。今晩はこの部屋で二人きりで過ごすのだ。
背の高いラファエルは私の手をとり、すっと手に口付けをしてくれた。そして、かがみ込んで私の唇にキスをした。3回目のキスだ。
「君がまだ怖いなら、今日はやめようか」
ラファエルは私を抱きしめてそっとささやいてくれた。彼の温かく分厚い胸板を感じながら、私は心の中で死にかけた時のことを思い出していた。
――やめる?
私はラファエルのまっすぐな瞳を見上げた。
――明日から大陸を横断する旅に出れば、新たに命を失う可能性があるわ。それにこの結婚は私があの時の死を回避するための選択によってもたらされたもの。ならば、私は次の死の危険の前に夫を知らずに死ぬのは嫌。
「あなたを知りたいのです」
私は顔を真っ赤にして思い切ってラファエルにささやいた。
ラファエルは私の言葉に驚いた様子になったけれども、サッと頬を赤らめて私を横抱きに抱き抱えて、ベッドにそっと運んだ。
私は宮殿を馬車で出て、結婚式が行われる大聖堂に向かっていた。
晴れ渡る空に一陣の風が吹き込んだように高らかに鐘の音が鳴り響く。ラファエルと私の結婚を祝福する鐘だ。私は宮殿から乗ってきた馬車から降りた。美しく長いトレーンを姉のマリアンヌと侍女が馬車からおろしてくれる。
今日のマリアンヌは一段と綺麗だった。私たちは目を見合わせてうなずいた。
――行くわよっ……死を回避したら、辺境伯との結婚が決まったのよ。この結婚は正しい選択のはずだわ。
私はすっと背筋を伸ばして静々と階段を登り始めた。母が私の隣を一緒に歩き、私を見守ってくれている。その役目は途中で陛下に託された。
――陛下の結婚戦略に従って私は結婚するのだけれど、まさか陛下が私と一緒に歩いてくれるなんて思いもしなかったわ……
私はあまりのはからいに、涙が出そうになった。陛下は私を慈愛に満ちた眼差しで見つめて、励ますようにうなずいてくれた。
大聖堂の中にはごく数人の人しかいない。第一王子ウィリアムと第二王子ケネス、姉のマリアンヌ、母、陛下、花婿のラファエル、花嫁の私、騎士団から4名、神父だ。
それでも温かな気持ちになれる挙式だった。私の花嫁衣装は素晴らしくて自分でも息を呑むほど美しかった。
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式の間、ラファエルと私はしっかりと見つめ合い、愛を誓ってキスをした。
それは忘れられない時間になった。胸のときめきはかつてないほど高まり、私の夫になった人は逞しくも凛々しい顔を綻ばせて私を優しく見つめてくれた。
馬車で宮殿に戻ると、宮殿中の人々が私たちを出迎えてくれて大歓声を上げて祝福してくれた。私はラファエルにしっかりと手を取られ、美しい花が大量に飾られた祝いの席に連れて行かれた。そこで祝いの食事と美味しいお酒で皆に祝ってもらったのだ。
「マリアンヌ、久しぶりだね」
「ええ、殿下。お久しぶりでございますわね」
意外だったのは、第一王子ウィリアムが姉のマリアンヌを見て頬を赤らめて、恥ずかしがりながらも熱心に姉と話をしようとしていたことだった。
陛下をチラッと見ると、私に向かって陛下がウィンクをしたので、私は第一王子ウィリアムと姉のマリアンヌの様子を二度見してしまった。
――えぇっそういうこと!?
第二王子のケネスもにやっとしながら、第一王子ウィリアムがらしくもなく、しどろもどろになりながらも、姉のマリアンヌと話そうと頑張っている様子を黙って見守っている。
――ウィリアムの想い人はお姉様のことなのね。まあ!本気なのね。
私はようやく状況を理解した。彼自身が昨日私に姉に惹かれたと言っていたではないか。あれは本気なのだ。私は陛下が認めてくれている様子から、これは姉と第一王子日ウィリアムとの婚約は近いと悟った。
――お姉様はまんざらでもなさそうだわ。ならばっ!私がいなくなった後も、実家は安泰かもしれないわ。第一王子に嫁ぐお姉様ならば、お母様の様子を時々見ることはできるはずよ。私がコンラート地方のようなすぐに帰ってこれないような辺境の地に嫁いでも、これなら大丈夫だわ。
私は姉の様子をじっくりと見つめて、心の荷が一つ降りたように思った。姉は第一王子に本気で好かれているようだ。姉も嫌がってはいない。
私はラファエルにこのことを言いたくて、隣のラファエルの方を向いた。
けれども、私がラファエルに視線を向ける前からラファエルは私の方をまっすぐにずっと見つめていて、私はそれに気づいて真っ赤になって恥ずかしくなった。ラファエルと目が合うたびに、どうしたら良いのかわからないような気分になってしまう。彼はもう私の夫だ。怖いようなわくわくするような、なんと表現したら良いのかわからない複雑な気持ちになった。
姉と母とはしばらく今日でお別れだ。祝いの席が終わった後に、自室に戻った私は陛下に呼ばれて陛下の所まで出向いた。
そこには姉も母もいた。
「ロザーラ。結婚おめでとう。もう一つおめでたいことがあるんだ。つい先ほど我が息子が君の姉上のマリアンヌ嬢に婚約を申し出た。ただ、姉上が迷っているというのだ」
私は陛下の言葉に喜びを露わにした。
「お姉様、おめでとうございますっ!迷うことなどありませんわ。ウィリアム殿下のお姉様への気持ちは本物ですわ」
私は女好きという噂が根強いウィリアムの言葉を姉が信じられぬ気持ちでいることを推測った。
「ロザーラ、あなたは祝福してくれるの?」
姉のマリアンヌは驚いた様子で私を見つめた。
「もちろんでございますわ、お姉様。コンラート地方に旅立つ前にお姉様が幸せになる婚約の話が聞けて、私は嬉しゅうございます」
「マリアンヌ、あなたの気持ちはどうなの?私のことなら気にしないで答えてちょうだい」
私と母の言葉を聞いて、姉は両手を握りしめてそっと目をつぶった。しばらくじっと考え込んでいるようだった姉は、瞳を開けて小さな声で囁いた。
「お母様もロザーラも陛下もこの結婚に賛成だとおっしゃるのであれば、私は受けようと思いますわ」
「お姉様ったら、もっと大きな声で自信を持って言ってくださいな」
「マリアンヌ、遠慮は要らぬ」
「そうよ、私の娘はもっと自信を持って自分で決断できるはずよ」
陛下も私も母も、姉のマリアンヌを励ました。
「ならば。私は第一王子ウィリアム殿下からの婚約の申し出を受けようと思いますわ。結婚しようと思います」
姉は震える声ながらも、しっかりとした声で宣言した。
「よしっ!」
「お姉様、おめでとうございます!」
「マリアンヌ、おめでとう」
「誰かっ!ウィリアムを呼んできなさいっ!」
陛下が呼び鈴を鳴らして従者を呼び、すぐに第一王子を呼びに行かせた。
その後、廊下を走ってくる音がして「失礼しますっ!」と声がしたかと思うと、第一王子ウィリアムが部屋に入ってきて、私たちが泣き笑いをしながら抱き合っている様子を見つめて戸惑いの表情を見せた。
「ウィリアム殿下、お受けしますわ」
姉のマリアンヌが恥ずかしそうに第一王子に告げると、真っ赤になった彼は天を仰ぎ、くしゃっとした顔になった。涙を堪えた顔で唇の端を喜びに歪めながら震える唇で「ほんとに!?」と聞き返した。
「ええ、殿下。あなた様と結婚致しますわ」
姉は第一王子ウィリアムの反応にもらい泣きをしながら、うなずいた。
「マリアンヌっありがとうっ!」
第一王子ウィリアムは姉のマリアンヌを抱きしめて、肩に顔を押し当てて泣き崩れた。
私まで泣いた。陛下も涙を堪えて泣き笑いのような様子を見せている。母まで目頭を押さえていた。
こうして、私の結婚式の日、私がその前にしでかした一世一代の婚約破棄騒動について、落ち着くところに落ち着いたのであった。
「姉妹で手を取り合って我が国を支えてくれるとは、なんと嬉しいことだ」
陛下は喜びの言葉を告げ、私たちは恐れ入って陛下の言葉に感謝した。
「挙式は初夏にしようか」
「わかりましたっ!」
陛下と第一王子も固く抱き合って、喜びを露わにしている。
その後、私は姉と母に宮殿で別れを告げた。次はいつ会えるかわからない。姉の挙式に戻って来れるか分からない。
「明日の昼前の出発の時には、私たちも見送りに来ます。声はかけられないけれど、私たちが見送っていることを忘れないでね」
「あなたは私の娘よ。あなたがどこにいようとも、あなたに愛を捧げていることを忘れないでね」
母と姉は名残惜しそうに私を抱きしめて、宮殿を後にした。姉と母が宮殿を去ると、私は侍女に手伝われて湯に浸かった。
今夜の初めての夜に向けて、足がふわふわと宙に浮いたような心落ち着かない気持ちだったけれども、時間は飛ぶように過ぎて夜になった。
夫となったラファエルが待つ部屋に私は連れて行かれた。今晩はこの部屋で二人きりで過ごすのだ。
背の高いラファエルは私の手をとり、すっと手に口付けをしてくれた。そして、かがみ込んで私の唇にキスをした。3回目のキスだ。
「君がまだ怖いなら、今日はやめようか」
ラファエルは私を抱きしめてそっとささやいてくれた。彼の温かく分厚い胸板を感じながら、私は心の中で死にかけた時のことを思い出していた。
――やめる?
私はラファエルのまっすぐな瞳を見上げた。
――明日から大陸を横断する旅に出れば、新たに命を失う可能性があるわ。それにこの結婚は私があの時の死を回避するための選択によってもたらされたもの。ならば、私は次の死の危険の前に夫を知らずに死ぬのは嫌。
「あなたを知りたいのです」
私は顔を真っ赤にして思い切ってラファエルにささやいた。
ラファエルは私の言葉に驚いた様子になったけれども、サッと頬を赤らめて私を横抱きに抱き抱えて、ベッドにそっと運んだ。
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