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全世界の諸君に告ぐ

39_いよいよ配達開始

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「幾つ?」
「三万。」
「OK。」
「できるのか?」
「もち。」
「おお。アドレナリン出るよ!」

 ミカエルは鋭い目でモニターを凝視していた。
 ミカエルはあれからインドからトルコに飛んでいた。そして、姉のメロンから連絡を受けたあと、急遽トルコから目的地の隣国まで既に到着していた。
 ソフィはトルコにご主人さまの猫のモーリーとして同行している。

 というわけで、ソフィはトルコからモニターを凝視していた。

 ゴムドリはアメリカにいた。ケネディスペースセンター付近にいる。
 メロンはオークランドにいた。ガールズバンド“ミッチェリアル”はオークランドでコンサート中だった。

 それぞれが、ゴムドリのモニターを自分のパソコン経由で見ていた。
 無数の蜂型ドローンが既に飛び立っていた。その数三万。
 NASAには悪いが、使い方は間違っちゃいないと、ゴムドリは自分を慰めた。

 蜂型ドローンが目的地の偵察を終わらせて、それぞれの相対する鳥型ドローンの目的地を定める。そうすると、次から次に食料を持った鳥型ドローンが目的地まで飛び立つというわけだ。

 今のところ順調だ。

 レーダーに引っかからずに、うまく紛争国に潜入成功していた。
 ふうっと大きなため息をメロンはついた。
 ずっと息を止めていたような気がする。

「あっ!」
 ミカエルが小さく叫んだ。

 の大群が、鳥型ドローンを取り囲んでいる。

「囲まれた鳥型ドローンのどれかの音声をONにして!」
 ソフィが素早く言った。

「あいよ。」
 ゴムドリは、渡り鳥に囲まれたドローンの一つの音声をONにした。

「お前、誰だ?なんだ?」
 ソフィが言った。

「って渡り鳥たちが鳥型ドローンに向かって言っている。」
 ソフィが続けた。
「音声出力をONにして!」
 ソフィがゴムドリに言った。」

「あいよ。」
 ゴムドリは大人しくソフィに従った。

「ベクベクベクべクベク」
 ソフィがそう言ったように聞こえた。

「今、なんて言ったの?」
 メロンはソフィに聞いた。

「ガールズバンド#ミッチェリアル“のお使いだ、そう言ったの。」
 ソフィは言った。

「まじかっ!鳥語が話せるのか。」
 ゴムドリはのけぞって言った。

「まあね。」
 ソフィは言った。

「目的地まで、カモフラージュで取り囲んで言ってくれるってさ。」
 ソフィが渡り鳥たちの言葉を伝えてくれた。

「おお、すごいな。」
 ミカエルとゴムドリが声を揃えて感嘆したように言った。

「うっ!」
 メロンが小さく叫んだ。

「なんだよ!」
 ゴムドリが言った。
「感動して・・・」
 メロンは小さく言った。

「アホか。感動するにはまだ早いわ。」
 ゴムドリは呆れたように言った。

「ほうら、おいでなさった。」
 ゴムドリが言った。

「NASA の追跡システムが発動したのね。」
 メロンは言った。

「そうだ。」
 ゴムドリは言った。
「えっ!どうするの?」
 ミカエルは言った。

「どうも?逃げるだけさ。」
 ゴムドリはそう言って、鳥型ドローンの出力を限界まで引き上げた。

 画面上、超スピードで、鳥型ドローンが羽を動かすのが見えた。
 渡り鳥が必死にそれを追いかけている。
 その後を、小さな円盤上のものが数千キロ離れたところから追ってくるのが見えている。
「さすがに、追いつかないよね?」
 ソフィが心配そうに言った。

「うーん、こいつは、音速で飛ぶんだ。文字通り、空飛ぶ円盤を真似っこしたからさ。」
 ゴムドリは頭の後ろに腕を組んで、そう言った。

「ダメじゃんっ!」
 ミカエルが叫んだ。

「まあ、逃げ延びることを祈るだけだね。」
 ゴムドリはそういった。

「ゴムドリ!全力で逃げろ!」
 メロンは厳しい声でゴムドリに伝えた。

「金。金。金。思いだせ。」
 メロンは端的に、ゴムドリに協力すると決めた動機を思い出させた。

「クッソ!」
 ゴムドリは、気を取り直したように、複数モニターを睨みつけ、音速で迫る円盤から逃げるために全力で鳥型ドローンを走らせ始めた。




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