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第一章 波乱と契約婚の花嫁生活幕開け
秘密通路で脱出 スティーブン王子Side
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天国から地獄とはこのことだ。一瞬で状況が一転してしまった。
僕は自分の恋心を伝えるつもりが、彼女をまた抱いてしまった。最後まではしていない。キスはたくさんした。
――なんて可愛らしいんだ。
彼女の心を自分に引き寄せたい。その一心でいるが、自分の欲が止まらない。
彼女が眠ってしまった後に、部屋の扉の外が騒がしいので出てくると、ロバートとテリーがいた。ロバートの赤毛は今朝見た時と同じように寝癖がついている。いや、今朝よりもっと酷い寝癖だった。テリーはサラサラのブロンドヘアだが、髪は落ち着いているが、呼吸が荒く、二人とも興奮状態のように見えた。
「王子!緊急事態です」
「扉を開けて中に入っても良いか?」と仕草でロバートに聞かれたが、私は即座に断った。
――だって、フランソワーズは服を着ないでベッドの中で寝ているから。
「今朝方、ハンルソン・コート宮殿のブルク家で騒ぎがありました。ゾフィー令嬢が置き手紙を残して失踪されたようです。治安判事が既に呼ばれました。置き手紙には、王子を手にいれるために第二聖女が媚薬を王子に盛って、不正に我が国王子を我がにしようとする悪女フランソワーズの横暴と言ったことが書いてあった。それを暴いてくれと、死を持って告発すると」
ロバートの報告を効いて、僕は絶句した。
――酷い勘違いのしようだ。
ブルク家は一人娘のゾフィー令嬢の身が危ないとなるやいなや、人が変わったようになるだろう。
瞬時に僕たち3人の頭の中に浮かんだのは、先の国王の妃が冤罪で処刑された件だと思う。ジットウィンドの魔の手にかかれば、例え冤罪だろうと拷問を受けるし、処刑される。
秘密の通路を使って追手をまくしかない。以前使ったのは、僕たちがまだ学生だった頃だ。
すぐにフランソワーズを起こした。
「ゾフィー令嬢が今朝姿を消した。死を持って君を告発するという置き手紙を残して姿を消した。ブルク家は君を追い詰めるだろう。事実がどうであれだ」
フランソワーズにそう伝えると、彼女は真っ青になった。素早く服を身につけた彼女に「今捕まると、先の王の王妃のように冤罪で投獄されるだろう。ひとまず逃げよう」と伝えた。
フランソワーズは状況を瞬時に理解してくれた。彼女の父親が法廷弁護士だったにも関わらず、ブルク家絡みで身を隠すようにして生きなければならなくなった経緯をなんとなく察しているのだろう。
「私までジットウィンド枢機卿にしてやられるわけにはいきませんね」
彼女はそうつぶやいて、唇を噛み締めた。
部屋の外に出ると、ロバートとテリーと素早く会話を交わした。
「レンハーン法曹院で会おう。一人、腕の良い法廷弁護士を知っている」
「分かった」
「気をつけて」
歓迎されざる訪問客に備えるために素早く踵を返して、ロバートとテリーが姿を消すのと同時に、僕はフランソワーズの手を引いて城の廊下を走った。最短距離で秘密通路まで辿り着く必要がある。
フランソワーズの顔を見ると、何が必要か分かっているようだ。僕らは何度も何度も獣や魔物から身を守るために一緒に戦ったことがある。フランソワーズがスキルを発動して、僕らは城の窓から一気に飛び降りた。
フランソワーズのスキルが落下速度を和らげてくれた。
走るんだ!
美しい夏の薔薇が咲く庭園を僕らは一気に駆け抜けた。回廊庭園の先の東屋が見えてくると、僕はそこにフランソワーズを連れ込んだ。秘密のボタンを押すと、階下に秘密通路が現れた。ここにくるのは久しぶりだ。
「行こう!」
この通路を抜けると、市街にある貴族邸宅に出る。僕らは走った。僕はフランソワーズを守るのだ。彼女の無罪を法的に示して、陥れようとする敵から守らなければならない。
「ゾフィー令嬢は生きているわ」
フランソワーズは走りながら、息を切らして僕に言った。
「私のスキルが不十分で、どこにいるかは分からないけれど、生きているのは分かります」
「よかった!」
僕はそれを聞いて安堵した。ゾフィー令嬢が生きていてくれなければ、ブルク家が狂ったように逆上するのを抑えきれないと思っていたからだ。
ゾフィー令嬢を探し出し、ジットウィンド枢機卿が冤罪で彼女を法的に陥れるのを防ぐために戦える法廷弁護士を見つけよう。まずはそこからだ。
僕らは暗い秘密通路を抜けて、日の光の当たる外に躍り出た。
眩しかった。久しぶりのお忍びで市街を歩くのだが、かなり緊張感が漂うものとなりそうだ。
僕はフランソワーズの手をしっかり握って歩き出した。
僕は自分の恋心を伝えるつもりが、彼女をまた抱いてしまった。最後まではしていない。キスはたくさんした。
――なんて可愛らしいんだ。
彼女の心を自分に引き寄せたい。その一心でいるが、自分の欲が止まらない。
彼女が眠ってしまった後に、部屋の扉の外が騒がしいので出てくると、ロバートとテリーがいた。ロバートの赤毛は今朝見た時と同じように寝癖がついている。いや、今朝よりもっと酷い寝癖だった。テリーはサラサラのブロンドヘアだが、髪は落ち着いているが、呼吸が荒く、二人とも興奮状態のように見えた。
「王子!緊急事態です」
「扉を開けて中に入っても良いか?」と仕草でロバートに聞かれたが、私は即座に断った。
――だって、フランソワーズは服を着ないでベッドの中で寝ているから。
「今朝方、ハンルソン・コート宮殿のブルク家で騒ぎがありました。ゾフィー令嬢が置き手紙を残して失踪されたようです。治安判事が既に呼ばれました。置き手紙には、王子を手にいれるために第二聖女が媚薬を王子に盛って、不正に我が国王子を我がにしようとする悪女フランソワーズの横暴と言ったことが書いてあった。それを暴いてくれと、死を持って告発すると」
ロバートの報告を効いて、僕は絶句した。
――酷い勘違いのしようだ。
ブルク家は一人娘のゾフィー令嬢の身が危ないとなるやいなや、人が変わったようになるだろう。
瞬時に僕たち3人の頭の中に浮かんだのは、先の国王の妃が冤罪で処刑された件だと思う。ジットウィンドの魔の手にかかれば、例え冤罪だろうと拷問を受けるし、処刑される。
秘密の通路を使って追手をまくしかない。以前使ったのは、僕たちがまだ学生だった頃だ。
すぐにフランソワーズを起こした。
「ゾフィー令嬢が今朝姿を消した。死を持って君を告発するという置き手紙を残して姿を消した。ブルク家は君を追い詰めるだろう。事実がどうであれだ」
フランソワーズにそう伝えると、彼女は真っ青になった。素早く服を身につけた彼女に「今捕まると、先の王の王妃のように冤罪で投獄されるだろう。ひとまず逃げよう」と伝えた。
フランソワーズは状況を瞬時に理解してくれた。彼女の父親が法廷弁護士だったにも関わらず、ブルク家絡みで身を隠すようにして生きなければならなくなった経緯をなんとなく察しているのだろう。
「私までジットウィンド枢機卿にしてやられるわけにはいきませんね」
彼女はそうつぶやいて、唇を噛み締めた。
部屋の外に出ると、ロバートとテリーと素早く会話を交わした。
「レンハーン法曹院で会おう。一人、腕の良い法廷弁護士を知っている」
「分かった」
「気をつけて」
歓迎されざる訪問客に備えるために素早く踵を返して、ロバートとテリーが姿を消すのと同時に、僕はフランソワーズの手を引いて城の廊下を走った。最短距離で秘密通路まで辿り着く必要がある。
フランソワーズの顔を見ると、何が必要か分かっているようだ。僕らは何度も何度も獣や魔物から身を守るために一緒に戦ったことがある。フランソワーズがスキルを発動して、僕らは城の窓から一気に飛び降りた。
フランソワーズのスキルが落下速度を和らげてくれた。
走るんだ!
美しい夏の薔薇が咲く庭園を僕らは一気に駆け抜けた。回廊庭園の先の東屋が見えてくると、僕はそこにフランソワーズを連れ込んだ。秘密のボタンを押すと、階下に秘密通路が現れた。ここにくるのは久しぶりだ。
「行こう!」
この通路を抜けると、市街にある貴族邸宅に出る。僕らは走った。僕はフランソワーズを守るのだ。彼女の無罪を法的に示して、陥れようとする敵から守らなければならない。
「ゾフィー令嬢は生きているわ」
フランソワーズは走りながら、息を切らして僕に言った。
「私のスキルが不十分で、どこにいるかは分からないけれど、生きているのは分かります」
「よかった!」
僕はそれを聞いて安堵した。ゾフィー令嬢が生きていてくれなければ、ブルク家が狂ったように逆上するのを抑えきれないと思っていたからだ。
ゾフィー令嬢を探し出し、ジットウィンド枢機卿が冤罪で彼女を法的に陥れるのを防ぐために戦える法廷弁護士を見つけよう。まずはそこからだ。
僕らは暗い秘密通路を抜けて、日の光の当たる外に躍り出た。
眩しかった。久しぶりのお忍びで市街を歩くのだが、かなり緊張感が漂うものとなりそうだ。
僕はフランソワーズの手をしっかり握って歩き出した。
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