151 / 175
第二部:1章:お騒がせ新学期
150話:模範解答…?
しおりを挟む
その日、ネルカは早い時間に城を出た。
彼女が向かった先は、ランルス侯爵家の屋敷だった。
デインの側近であるマルシャ・ランルス――ネルカの交友関係において『常識的』で『今なら王都にいる』存在となると、的確なのは彼女しかいなかったのだ。エレナでも問題はなかったのだが、マリアンネ贔屓になってしまいそうでやめたのだった。
「裸の付き合いをしたような仲だ。私も協力しようじゃないか。」
案内された先は屋敷内のサロンで、彼女はソファに座っていた。テーブルにはティーセットと読みかけの本。そして、相談をしに来たというネルカの言葉に対し、詳しい話を聞くまでもなくマルシャはゆっくりと頷くのであった。
「それにしても、皇太子から逃げるために男装をしていると思っていたが…まさか事の発端がそんなことだったとは。相変わらず、君たちは思考回路が狂っているな。」
マルシャはそう言うと、具体的に何があったのかをネルカに促し、マリアンネとダーデキシュについてを聞いたのだった。するとマルシャはもっと酷い状況になっていると思っていたようで、「なんだそんなことか」と呟いただけだった。
「ふむ…私はネルカ嬢の兄君とは面識はないが、聖女殿との仲のことは噂には聞いている。近くにいるネルカ嬢から見て、どうだ? 二人は両想いかい?」
「両想いだとは思う。しかも、ほぼ確定で。」
「だったら、何を悩む必要があると言うのだ? 根本となる部分はほぼ確定しているのに、問題提起がその根本を疑う内容だというのがおかしな話なのだ。私の経験則からして、この手のパターンは深読みの連鎖による勘違いだとは思うがな。」
「深読み…なのか…。」
マルシャ・ランルス――麗蝶と呼ばれし女。
魔境とも表現できるような女性社交界の頂点は伊達ではない。
噂と確実と妄想を吟味し、冷静に事態を把握する。
「今回の一件で問題になっていることは、決定的な事実を確認したわけではないのに、推測が肥大化してしまっていることにある。結果的に深読みが正解だということはあるかもしれないが、それは終わった後の話だ。」
「じゃあ、どうすればいい?」
「まず初めは根本の確定化に決まっているだろう。もしも、両想いが確定したとすれば、結局は本音で話す機会が無かっただけというオチだ。そうじゃなかったら…また相談に来てくれたまえ。」
その言葉にネルカは目から鱗の状態となった。
何一つとしてダーデキシュから直接に話を聞いたわけではないのに、あたかもダーデキシュがそう思っているかのように推測をしている。ここの前提が不確定で揺らいでいる間は、どこまで考えたって妄想の域を出ない。
(マルシャ様に相談してよかった。)
ネルカは静かに立ち上がった。
その背にマルシャは言葉を投げかけた。
「物事は意外とシンプルなことが多いからね。」
ネルカは頷くと、すぐに屋敷を出て行った。
― ― ― ― ― ―
その後、ネルカは帰宅した。
帰る先は寮ではなく、タウンハウスである。
王都襲撃から落ち着き使用人たちも戻って来た屋敷で、彼女が向かったのは庭にある一つの小屋だった。そこはダーデキシュ専用の魔道具開発小屋、ネルカはノックすることもなくドアを開けた。
「兄さん!」
「うぉっ! ビックリした。ネルカ…じゃなくてコルネル。どうした急に。お前が俺のところに来るとは、珍しい。」
彼は手に持っていた道具を片付けると、椅子の向きを反転させ侵入者と向き合った。彼女の爛々として目を見た彼は、なんだか嫌な予感がすると身構えるのだった。
そしてその予感は的中することになる。
「ダーデ兄さんはマリのことが好きだね?」
ネルカはもう待つことができなくなっていた。
彼女は狩人ゆえに忍耐強いと自覚していたが、あくまで狩人としてだけの話だった。まさか、本来の精確はここまで短気だったのかと、彼女自身が驚くほどだ。
だが、マルシャの言葉は彼女に効いた。
物事は意外とシンプル――短気ゆえの利点を見出したのだ。
世には熟考しない方が成功することだってある。
(そういうことだね、マルシャ様。)
もしも、マルシャがこの場にいたら「違うそうじゃない!」と叫んでいただろうが、幸か不幸か彼女はネルカの行動などまったく知らない。
「あ? え? なんだ、急に? え? え?」
対するダーデキシュは脳の処理が追い付いていない。
ネルカはそのまま畳みかけることにした。
「今、ややこしい事態に陥っていてね。ダーデ兄さんがすべてをハッキリ答えれば、問題解決に一歩近づくんだ。しかも大股の一歩さ。だから、もう一度聞くよ、ダーデ兄さんはマリのことが好きだよね?」
「答えるわけないだろう!」
「どうして?」
「恋愛話を兄妹に話すのは恥ずかしいだろうがッ!」
「ん~…? 私はそうは思わないけど?」
「お前はなぁ…。」
「だけどその反応、好きなのはマリで間違いないみたいだ。」
「ぐっ! クソッ! 最悪だッ! あぁ! そうだよ! 俺はマリのことが好きだよ! これで満足か! おいっ!」
ダーデキシュは人付き合いがあまり得意ではないがゆえに、隠し事だとか腹の探り合いが苦手である。だからこそ、今までだけでも彼の想い人は丸わかりだった。
しかし、それでも99%の確信だった。
そして今、100%の確実になった。
(えぇっと、マルシャ様のアドバイスは…確か…。)
両想いが確定したとすれば――
――結局は本音で話す機会が無かっただけというオチだ。
彼女が向かった先は、ランルス侯爵家の屋敷だった。
デインの側近であるマルシャ・ランルス――ネルカの交友関係において『常識的』で『今なら王都にいる』存在となると、的確なのは彼女しかいなかったのだ。エレナでも問題はなかったのだが、マリアンネ贔屓になってしまいそうでやめたのだった。
「裸の付き合いをしたような仲だ。私も協力しようじゃないか。」
案内された先は屋敷内のサロンで、彼女はソファに座っていた。テーブルにはティーセットと読みかけの本。そして、相談をしに来たというネルカの言葉に対し、詳しい話を聞くまでもなくマルシャはゆっくりと頷くのであった。
「それにしても、皇太子から逃げるために男装をしていると思っていたが…まさか事の発端がそんなことだったとは。相変わらず、君たちは思考回路が狂っているな。」
マルシャはそう言うと、具体的に何があったのかをネルカに促し、マリアンネとダーデキシュについてを聞いたのだった。するとマルシャはもっと酷い状況になっていると思っていたようで、「なんだそんなことか」と呟いただけだった。
「ふむ…私はネルカ嬢の兄君とは面識はないが、聖女殿との仲のことは噂には聞いている。近くにいるネルカ嬢から見て、どうだ? 二人は両想いかい?」
「両想いだとは思う。しかも、ほぼ確定で。」
「だったら、何を悩む必要があると言うのだ? 根本となる部分はほぼ確定しているのに、問題提起がその根本を疑う内容だというのがおかしな話なのだ。私の経験則からして、この手のパターンは深読みの連鎖による勘違いだとは思うがな。」
「深読み…なのか…。」
マルシャ・ランルス――麗蝶と呼ばれし女。
魔境とも表現できるような女性社交界の頂点は伊達ではない。
噂と確実と妄想を吟味し、冷静に事態を把握する。
「今回の一件で問題になっていることは、決定的な事実を確認したわけではないのに、推測が肥大化してしまっていることにある。結果的に深読みが正解だということはあるかもしれないが、それは終わった後の話だ。」
「じゃあ、どうすればいい?」
「まず初めは根本の確定化に決まっているだろう。もしも、両想いが確定したとすれば、結局は本音で話す機会が無かっただけというオチだ。そうじゃなかったら…また相談に来てくれたまえ。」
その言葉にネルカは目から鱗の状態となった。
何一つとしてダーデキシュから直接に話を聞いたわけではないのに、あたかもダーデキシュがそう思っているかのように推測をしている。ここの前提が不確定で揺らいでいる間は、どこまで考えたって妄想の域を出ない。
(マルシャ様に相談してよかった。)
ネルカは静かに立ち上がった。
その背にマルシャは言葉を投げかけた。
「物事は意外とシンプルなことが多いからね。」
ネルカは頷くと、すぐに屋敷を出て行った。
― ― ― ― ― ―
その後、ネルカは帰宅した。
帰る先は寮ではなく、タウンハウスである。
王都襲撃から落ち着き使用人たちも戻って来た屋敷で、彼女が向かったのは庭にある一つの小屋だった。そこはダーデキシュ専用の魔道具開発小屋、ネルカはノックすることもなくドアを開けた。
「兄さん!」
「うぉっ! ビックリした。ネルカ…じゃなくてコルネル。どうした急に。お前が俺のところに来るとは、珍しい。」
彼は手に持っていた道具を片付けると、椅子の向きを反転させ侵入者と向き合った。彼女の爛々として目を見た彼は、なんだか嫌な予感がすると身構えるのだった。
そしてその予感は的中することになる。
「ダーデ兄さんはマリのことが好きだね?」
ネルカはもう待つことができなくなっていた。
彼女は狩人ゆえに忍耐強いと自覚していたが、あくまで狩人としてだけの話だった。まさか、本来の精確はここまで短気だったのかと、彼女自身が驚くほどだ。
だが、マルシャの言葉は彼女に効いた。
物事は意外とシンプル――短気ゆえの利点を見出したのだ。
世には熟考しない方が成功することだってある。
(そういうことだね、マルシャ様。)
もしも、マルシャがこの場にいたら「違うそうじゃない!」と叫んでいただろうが、幸か不幸か彼女はネルカの行動などまったく知らない。
「あ? え? なんだ、急に? え? え?」
対するダーデキシュは脳の処理が追い付いていない。
ネルカはそのまま畳みかけることにした。
「今、ややこしい事態に陥っていてね。ダーデ兄さんがすべてをハッキリ答えれば、問題解決に一歩近づくんだ。しかも大股の一歩さ。だから、もう一度聞くよ、ダーデ兄さんはマリのことが好きだよね?」
「答えるわけないだろう!」
「どうして?」
「恋愛話を兄妹に話すのは恥ずかしいだろうがッ!」
「ん~…? 私はそうは思わないけど?」
「お前はなぁ…。」
「だけどその反応、好きなのはマリで間違いないみたいだ。」
「ぐっ! クソッ! 最悪だッ! あぁ! そうだよ! 俺はマリのことが好きだよ! これで満足か! おいっ!」
ダーデキシュは人付き合いがあまり得意ではないがゆえに、隠し事だとか腹の探り合いが苦手である。だからこそ、今までだけでも彼の想い人は丸わかりだった。
しかし、それでも99%の確信だった。
そして今、100%の確実になった。
(えぇっと、マルシャ様のアドバイスは…確か…。)
両想いが確定したとすれば――
――結局は本音で話す機会が無かっただけというオチだ。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる