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第一部:10-3章:祭と友と恋と戦と(後編)
127話:(回想・後編)彼の周りは幸せであふれていて、世界はこれから幸せであふれるようになる
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翌朝、村人たちはシェイナとハスディを見つけた。
それはシェイナの母親が二人を見つけ、悲鳴を上げた結果に他が集まってきたという形であった。最初に目につくのはシェイナの首に添えられたハスディの両手、次は繋がり合った二人の下半身、そして無言のまま満面の笑みを浮かべるハスディ――最後に――同じように満面の笑みのままピクリとも動かなくなったシェイナ。
「お、おい…ハスディ…?」
シェイナの母親はショックのあまり気絶してしまっており、この場で最初に言葉を投げかけたのは村長だった。言うべきことはたくさんあるのに、異様な光景に対して出る言葉はそれだけだった。
「シェイナちゃんが言ったんです…『こんな苦しい毎日を過ごすぐらいなら、すぐにでも楽園に行きたい。ハスディの手で行かせてほしい。ハスディを感じながら…幸福を感じながら…終わらせて』って。だから、僕を感じてもらいながら、終わらせました! シェイナちゃんは僕にお礼を言いながら…幸福を感じながら楽園に行っただけです。」
「は? 冗談だよ…な? ハスディ?」
「見てください! 彼女…幸せそうでしょう? 僕がやったんですよ!」
その言葉を受けてそこにいる一同は、何が起きたのかを明確に理解した。そして、二人を強引に引き離すと、ハスディをその家から出した。すると、シェイナの父親がハスディを殴り飛ばした。持ちうる罵詈雑言をぶちまけながら、蹴る殴る叩くを繰り返すシェイナの父親を止める者は誰もおらず、それどころか怒りの暴力に参加する者ばかりであった。
そんな中、ハスディは――
(どうしておじさんは…僕を怒るのでしょうか?)
怒りの理由がさっぱり分からなかった。
別に感謝が欲しいわけではない、しかし、自分はシェイナを幸せにしたのだ。彼らは確かに両親なのかもしれないが、だからといってシェイナの苦しみをどうにかしたわけではないのだ。幸せにしたのは他の誰でもないハスディなのだ。
(そうか…おじさんたちはシェイナを愛していなかったんだね…。シェイナを大事にすることで得られる、シェイナからの見返りを求めて…育てていたんだ…。見返りのための善意が偽善なら…さしずめ…見返りのための愛情は…『偽愛』。)
やはりシェイナは殺して正解だった。
あの状態で生きていても、偽愛を受けて生きるだけ。
きっといつかシェイナはそのことに気付き、悲しんでいただろう。
(痛い…苦しい…つらい…でも…『それでもいい』。)
遠慮のない暴力を受け続けた彼は、体に限界が来ていることを感じていた。どこの骨が折れているのか、どこに傷が生じているのか、どこの内臓がどうなっているのか――もはや分からない。
目を閉じた暗闇の中、ただひたすらの暴力。
ハスディは死を覚悟した。
そんな時、暴力が止まった。
目を開けようにも、どうも視界がぼやけている。
音を聞こうにも、耳鳴りが頭の中に響くだけ。
匂いを嗅ごうにも、土と血の匂いしかしない。
何が起きたのかを把握できない。
分かっていることは、暴力が止まったということだけ。
「ぅ…ぁ…いった…い…なにが…?」
徐々に開けていく視界、徐々に聞こえてくる音。
そして、彼は周囲に『何か』がいることに気付いた。
ゆるゆると体を起こしてあたりを見渡すと、そこには複数種類の怪物――魔物が存在していた。うち一体の魔物だけはまるでハスディを守るように、体全体を使って彼を囲っていた。
ハスディには魔物が――化け物に見えなかった。
「もしかして…神の使い…?」
善人であるハスディを助け、悪人である村人を襲った。
そうであるとするのであれば、天使だとか使徒だとかそういう類の存在であると、彼が思ってしまうのも無理もない話なのである。では、一般的的に言われている魔物という価値観は、いったいどういうことなのだろうか?
結論は簡単――人の常識で語るなということである。
「そうか、神とは、そういう存在なんですね!」
ハスディはかつて、どうして宗教は人間に都合がいいのか考えたことがあったが、結論には至らなかったし、なんなら大人に相談した時に怒られたことがあった。だからこそ、考えないようにしてきた。
神は平等である。
神は無情である。
神は正しくある。
人は不平等である。
人は有情である。
人は正しくないときがある。
神は人ではない。
今ならわかる。
宗教とは人という目を通して作られたものにすぎない。
だからこそ、宗教は人にとって都合がいいものなのだ。
「なら、僕たちは神の御意志を理解できない? いいや、違う!」
善悪に定義など存在できないが、結果から善悪を推し量ることはできる。神が善行に対して祝福をもたらすというのであれば、祝福を受けた行動こそが善行ということなのである、
幸せになったなら善行で、不幸になったのなら悪行。
教えというものは、結果から導き出される『マニュアル』にすぎない。
人間が神の基準ではなく、神が人間の基準でなくてはならない。
それが【宗教】のあるべき姿だとハスディは認識した。
「そこを履き違えたから…村を破壊したのですね! そのことに気付かせるために、僕はこうして生きているということですね!」
彼は哲学の観点をもって宗教に接しないがゆえに、偽善について考えていた時と同様に、考え方に矛盾が生じてしまったとき思考を放棄してしまっていた。だからこそ、感動のあまりハスディは空を見上げ涙を流していた。
「たす…け…ハスデ…ィ…」
ふと、声がしてそちらを見ると、両足をもがれた男が這いの姿勢でハスディに迫っていた。そして、男はすぐに事尽きたのか、動かなくなってしまった。散々な風体と化してしまっていたが、男はシェイナの父親だった。
顔の判別はできるのに、顔色の判別ができなかった。
声の判別はできるのに、声色の判別ができなった。
だからこそ、脳内補完をすることにした。
「うん、幸せそう!」
きっと、ハスディが答えにたどり着いたから、神は祝福を村に与えて下さったのだ。そう思うと彼はかつての親しい人たちが死んでしまったことに、何の悲しみも抱くことがなかった。
「あっ! それならもしかして!」
彼はシェイナの死体がある部屋へと戻った。
それは、村の誰よりも幸せそうだった。
つまり、他の誰よりも特上の祝福を受けたということである。
「僕…いえ、僕たちは…決して偽善などではなかったのですね!」
シェイナが盲目になったのは天罰などではなく、ハスディに殺されるという幸福にたどり着くための、言わば一種の祝福だったのだと彼は気づいた。人間の常識に当てはめるからこそ天罰だと思っていただけで、それはただの祝福だったのだ。
「シェイナ! よかったですね!」
この瞬間より、ハスディは世界でも最高峰の善人となった。
しばらくして、彼はゼノン教の存在を知ることになる。
それはシェイナの母親が二人を見つけ、悲鳴を上げた結果に他が集まってきたという形であった。最初に目につくのはシェイナの首に添えられたハスディの両手、次は繋がり合った二人の下半身、そして無言のまま満面の笑みを浮かべるハスディ――最後に――同じように満面の笑みのままピクリとも動かなくなったシェイナ。
「お、おい…ハスディ…?」
シェイナの母親はショックのあまり気絶してしまっており、この場で最初に言葉を投げかけたのは村長だった。言うべきことはたくさんあるのに、異様な光景に対して出る言葉はそれだけだった。
「シェイナちゃんが言ったんです…『こんな苦しい毎日を過ごすぐらいなら、すぐにでも楽園に行きたい。ハスディの手で行かせてほしい。ハスディを感じながら…幸福を感じながら…終わらせて』って。だから、僕を感じてもらいながら、終わらせました! シェイナちゃんは僕にお礼を言いながら…幸福を感じながら楽園に行っただけです。」
「は? 冗談だよ…な? ハスディ?」
「見てください! 彼女…幸せそうでしょう? 僕がやったんですよ!」
その言葉を受けてそこにいる一同は、何が起きたのかを明確に理解した。そして、二人を強引に引き離すと、ハスディをその家から出した。すると、シェイナの父親がハスディを殴り飛ばした。持ちうる罵詈雑言をぶちまけながら、蹴る殴る叩くを繰り返すシェイナの父親を止める者は誰もおらず、それどころか怒りの暴力に参加する者ばかりであった。
そんな中、ハスディは――
(どうしておじさんは…僕を怒るのでしょうか?)
怒りの理由がさっぱり分からなかった。
別に感謝が欲しいわけではない、しかし、自分はシェイナを幸せにしたのだ。彼らは確かに両親なのかもしれないが、だからといってシェイナの苦しみをどうにかしたわけではないのだ。幸せにしたのは他の誰でもないハスディなのだ。
(そうか…おじさんたちはシェイナを愛していなかったんだね…。シェイナを大事にすることで得られる、シェイナからの見返りを求めて…育てていたんだ…。見返りのための善意が偽善なら…さしずめ…見返りのための愛情は…『偽愛』。)
やはりシェイナは殺して正解だった。
あの状態で生きていても、偽愛を受けて生きるだけ。
きっといつかシェイナはそのことに気付き、悲しんでいただろう。
(痛い…苦しい…つらい…でも…『それでもいい』。)
遠慮のない暴力を受け続けた彼は、体に限界が来ていることを感じていた。どこの骨が折れているのか、どこに傷が生じているのか、どこの内臓がどうなっているのか――もはや分からない。
目を閉じた暗闇の中、ただひたすらの暴力。
ハスディは死を覚悟した。
そんな時、暴力が止まった。
目を開けようにも、どうも視界がぼやけている。
音を聞こうにも、耳鳴りが頭の中に響くだけ。
匂いを嗅ごうにも、土と血の匂いしかしない。
何が起きたのかを把握できない。
分かっていることは、暴力が止まったということだけ。
「ぅ…ぁ…いった…い…なにが…?」
徐々に開けていく視界、徐々に聞こえてくる音。
そして、彼は周囲に『何か』がいることに気付いた。
ゆるゆると体を起こしてあたりを見渡すと、そこには複数種類の怪物――魔物が存在していた。うち一体の魔物だけはまるでハスディを守るように、体全体を使って彼を囲っていた。
ハスディには魔物が――化け物に見えなかった。
「もしかして…神の使い…?」
善人であるハスディを助け、悪人である村人を襲った。
そうであるとするのであれば、天使だとか使徒だとかそういう類の存在であると、彼が思ってしまうのも無理もない話なのである。では、一般的的に言われている魔物という価値観は、いったいどういうことなのだろうか?
結論は簡単――人の常識で語るなということである。
「そうか、神とは、そういう存在なんですね!」
ハスディはかつて、どうして宗教は人間に都合がいいのか考えたことがあったが、結論には至らなかったし、なんなら大人に相談した時に怒られたことがあった。だからこそ、考えないようにしてきた。
神は平等である。
神は無情である。
神は正しくある。
人は不平等である。
人は有情である。
人は正しくないときがある。
神は人ではない。
今ならわかる。
宗教とは人という目を通して作られたものにすぎない。
だからこそ、宗教は人にとって都合がいいものなのだ。
「なら、僕たちは神の御意志を理解できない? いいや、違う!」
善悪に定義など存在できないが、結果から善悪を推し量ることはできる。神が善行に対して祝福をもたらすというのであれば、祝福を受けた行動こそが善行ということなのである、
幸せになったなら善行で、不幸になったのなら悪行。
教えというものは、結果から導き出される『マニュアル』にすぎない。
人間が神の基準ではなく、神が人間の基準でなくてはならない。
それが【宗教】のあるべき姿だとハスディは認識した。
「そこを履き違えたから…村を破壊したのですね! そのことに気付かせるために、僕はこうして生きているということですね!」
彼は哲学の観点をもって宗教に接しないがゆえに、偽善について考えていた時と同様に、考え方に矛盾が生じてしまったとき思考を放棄してしまっていた。だからこそ、感動のあまりハスディは空を見上げ涙を流していた。
「たす…け…ハスデ…ィ…」
ふと、声がしてそちらを見ると、両足をもがれた男が這いの姿勢でハスディに迫っていた。そして、男はすぐに事尽きたのか、動かなくなってしまった。散々な風体と化してしまっていたが、男はシェイナの父親だった。
顔の判別はできるのに、顔色の判別ができなかった。
声の判別はできるのに、声色の判別ができなった。
だからこそ、脳内補完をすることにした。
「うん、幸せそう!」
きっと、ハスディが答えにたどり着いたから、神は祝福を村に与えて下さったのだ。そう思うと彼はかつての親しい人たちが死んでしまったことに、何の悲しみも抱くことがなかった。
「あっ! それならもしかして!」
彼はシェイナの死体がある部屋へと戻った。
それは、村の誰よりも幸せそうだった。
つまり、他の誰よりも特上の祝福を受けたということである。
「僕…いえ、僕たちは…決して偽善などではなかったのですね!」
シェイナが盲目になったのは天罰などではなく、ハスディに殺されるという幸福にたどり着くための、言わば一種の祝福だったのだと彼は気づいた。人間の常識に当てはめるからこそ天罰だと思っていただけで、それはただの祝福だったのだ。
「シェイナ! よかったですね!」
この瞬間より、ハスディは世界でも最高峰の善人となった。
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