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ひヾき 最終章
武家屋敷
しおりを挟む心を省みれば、惨めったらしい自分が膝を抱えている。だからみないんだ。過去も今も未来もそんなもんだったし、そんなもんだし、そんなもんだろう。人は私を羨ましがっているのも知っている。私は恵まれて居ります…。
君を取り戻すために出逢った頃の事を記そう。
知り合ってまもなくの頃から、君には沢山の顔があるのではないか?とは感じていた。それは漠然とした第六感であり、また半分は根拠もあったんだ。しかし確信はなかった。
既に解体してしまった君の本拠地に、一歩足を踏み入れその構えを眺めた時にそう思ったんだ。この人は武士(ものゝふ)のように見せてるけど忍びでもあるとね。本拠地を立派にしてるのは暗躍を容易にするためかな?と
幾人もの忍びが主である殿を護るというより、殿の偉大さで忍びの暗躍を覆うようなそんな感じがしたんだよ。
本拠地は非常に造りが立派で由緒ある武家屋敷なのに誰でも気軽に入れる。でも中に入るとその部屋の壁が厚かった。
一室、一室は凝った造りで実に魅力的でそのほかの部屋もついつい覗いて見たくなった。しかし、どの部屋も他の部屋に通じる一箇所の出入口を除いては、その他の壁は厳重に管理されているのを強く感じた。
誰でも入れるけれど、いつ誰が何処に入ったかは厳重にチェックされ、その情報も厳重管理されていた。もちろん多くの人はそれに気づかない。
一体どんな理由があってこんなに厳重なのか?と私は不思議に感じた。
まさにカラクリの沢山ある城のようだった。その時私が思ったのは、この人はとても沢山の人と交流があり、それと同じぐらい敵の侵入もある人なのだろうということだった。
君と出逢ってすぐにだったか、出逢う前だったか?私はある夢を見ていた。川沿いの土手を歩いていたら向かい側から大きな犬がやってきた。犬はすれ違いざまに私をヒョイとその背に乗せて、私が向かう方へ歩き始めたんだ。
私は犬の背に座って居たけれど、不思議なことに背と私の間には空間があって僅かに宙に浮いていた。そしてその背を見ると泥だらけだった。そしてそこからは懐かしい土と草の香り、私が慕わずにはいられない故郷の匂いがした
*************
目覚めてからその夢の犬が君だとわかった時に
泥まみれの君はきっと綺麗事の世界にだけいたのではないのだろうな…
と思った
君も泥まみれになって
泥沼の世界を渡って来たのだろうっと
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