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~ 第二章 賽は投げられた ~
強引な招待状③
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快晴の言い方は、「明日映画でも観に行こう」くらいの気軽さだった。
玲旺は呆然と画面を見つめ、実感が湧かないまま隣に座る氷雨に問いかける。
「秋物のコレクション対決……ってどういうこと」
「多分、コンテストみたいなことをしたいんじゃないかな。審査員を招いて評価して貰って、優劣を決める感じ」
氷雨の声は落ち着いていたが、膝の上で組み合わせている手の甲には爪が食い込んでいた。
「僕と快晴の一騎打ちならまだいいけど、これはブランド対決だからね。負けたらシャレにならないよ。安易に受けるべきじゃないと思う」
てっきり「返り討ちにしてやる」くらいのことを言うと思っていた氷雨が「負けたら」などと口にしたので、玲旺は驚いて身をのけ反らせた。
「氷雨さんが負けるわけないじゃん。なんでそんな弱気なこと……」
反論する玲旺を制するように、氷雨が人差し指を自分の唇に当て「静かに」とジェスチャーで示す。
画面の中の快晴が、視聴者からの質問に答える形で説明を始めていた。
『対決の詳細聞きたいの? そうだなぁ、何から話そう。とりあえず会場はもう押さえてあるんだ。今日からちょうど一ヶ月後、場所は九段下にある屋内競技場だよ。観客も入れる予定で、チケットの販売は五日後だから、みんな応募してね』
一ヶ月後と聞いて、玲旺の背中に冷たい汗が流れる。大掛かりなイベントになりそうで、準備に間に合うかどうか焦りが湧いた。
『対決方法はね、秋物の完全新作をお互いにそれぞれニ十点ずつ発表するスタイル。モデルさん達が新作を着てランウェイを歩いて、みんなにどの服がいいか決めてもらおうと思って。会場にいる観客はもちろん、ネットからも投票できるようにするからね。一人五票までを、気に入った服に投票するんだ。で、得点の多い方が勝ち。ね? 解りやすいでしょ』
こちらの返答などお構いなしで、一方的に話が進んでいく。
同じように感じた視聴者がいたらしく、コメント欄に「フローズンレインに断られたらどうするの」と言う質問が流れ、それを目にした快晴が鼻で笑った。
『まぁ、氷雨が怖気づいて受けない可能性もあるよねぇ。その時は、クリアデイの単独コレクションってことで、弱虫はほっといて俺たちだけで盛り上がろうね』
さすがに失礼だと快晴のファンですら窘める一方で、氷雨のアンチたちは拍手喝采で尻馬に乗る。そこに反論する氷雨ファンも参戦し、コメント欄はたちまち大荒れになった。
それを止めるでもなく、快晴はケラケラ笑って楽しそうに眺めている。
玲旺は呆然と画面を見つめ、実感が湧かないまま隣に座る氷雨に問いかける。
「秋物のコレクション対決……ってどういうこと」
「多分、コンテストみたいなことをしたいんじゃないかな。審査員を招いて評価して貰って、優劣を決める感じ」
氷雨の声は落ち着いていたが、膝の上で組み合わせている手の甲には爪が食い込んでいた。
「僕と快晴の一騎打ちならまだいいけど、これはブランド対決だからね。負けたらシャレにならないよ。安易に受けるべきじゃないと思う」
てっきり「返り討ちにしてやる」くらいのことを言うと思っていた氷雨が「負けたら」などと口にしたので、玲旺は驚いて身をのけ反らせた。
「氷雨さんが負けるわけないじゃん。なんでそんな弱気なこと……」
反論する玲旺を制するように、氷雨が人差し指を自分の唇に当て「静かに」とジェスチャーで示す。
画面の中の快晴が、視聴者からの質問に答える形で説明を始めていた。
『対決の詳細聞きたいの? そうだなぁ、何から話そう。とりあえず会場はもう押さえてあるんだ。今日からちょうど一ヶ月後、場所は九段下にある屋内競技場だよ。観客も入れる予定で、チケットの販売は五日後だから、みんな応募してね』
一ヶ月後と聞いて、玲旺の背中に冷たい汗が流れる。大掛かりなイベントになりそうで、準備に間に合うかどうか焦りが湧いた。
『対決方法はね、秋物の完全新作をお互いにそれぞれニ十点ずつ発表するスタイル。モデルさん達が新作を着てランウェイを歩いて、みんなにどの服がいいか決めてもらおうと思って。会場にいる観客はもちろん、ネットからも投票できるようにするからね。一人五票までを、気に入った服に投票するんだ。で、得点の多い方が勝ち。ね? 解りやすいでしょ』
こちらの返答などお構いなしで、一方的に話が進んでいく。
同じように感じた視聴者がいたらしく、コメント欄に「フローズンレインに断られたらどうするの」と言う質問が流れ、それを目にした快晴が鼻で笑った。
『まぁ、氷雨が怖気づいて受けない可能性もあるよねぇ。その時は、クリアデイの単独コレクションってことで、弱虫はほっといて俺たちだけで盛り上がろうね』
さすがに失礼だと快晴のファンですら窘める一方で、氷雨のアンチたちは拍手喝采で尻馬に乗る。そこに反論する氷雨ファンも参戦し、コメント欄はたちまち大荒れになった。
それを止めるでもなく、快晴はケラケラ笑って楽しそうに眺めている。
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