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~ 第一章 売られた喧嘩 ~
不易流行②
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玲旺は通りからフローズンレインのショーウィンドウを眺め、改めて感心した。パステルカラーを基調としたポップな服や、黒や紫のゴシックなデザインの服。同じ空間にテイストの違うものが並んでいるのに、ごちゃごちゃした印象を全く与えないのは凄い。恐らく根底には「氷雨」と言う核があり、それが統一感を生み出しているのだろう。
フローズンレインの服や小物は、どれも可愛い中に毒を持ったアクセントがあった。
中でも一番人気があるのは、男女兼用のワイシャツだ。一見シンプルだが裾をめくると血痕を模した刺繍があったり、ポケットの部分に銃創があったり、袖口の裏に模様があったりと遊び心満載なデザインになっている。
中高生が制服のアレンジで着用し、そこから人気に火が点いたのだが、意外なことに社会人にも飛ぶように売れた。
低価格に抑えるため生地は本家に劣るものの、縫製技術はそのままなので、今までフォーチュンに憧れはあったが中々手が出せなかった層が試しに購入し始めたのだ。
そこで着心地が良いと評判になり、本家フォーチュンのワイシャツまで販売数が伸びたのだから、このプロジェクトは今のところ大成功と言っていいだろう。久我の立てた戦略は見事だったし、それに応えた氷雨も流石だった。
「久我さんと氷雨さんが組んでるんだから、クリアデイなんかに負けるわけないよね」
川沿いに吹く、ひんやりとした風が頬を撫でる。春とはいえ、この時期はまだ日が暮れれば肌寒い。
夜風から逃れるように店内に入った玲旺は、売り場のディスプレイをざっと見渡した。玲旺の出した指示通り、メインのマネキンにはちょうど今の季節に活躍しそうな春物の服が着せられている。
他店ならば、もうそろそろ夏物のコーディネートを前面に押し出し始める頃だろう。それでも、フローズンレインでは季節の先取りはほどほどにして、その時期に合った服を販売しようと提案したのは玲旺だった。
「シーズンを先取って、これから流行りそうな物を並べるのも楽しいけどさ。『この服を着て明日出かけたい』って思えるような、すぐ使いたくなる商品を提供するのも良いと思わない?」
競合店との差別化を図る意図もあったが、「せっかくフローズンレインの商品には、流行に振り回されない魅力が詰まっているんだから」と、玲旺はあの秘密基地のようなスタッフルームで力説したのだ。
フローズンレインの服や小物は、どれも可愛い中に毒を持ったアクセントがあった。
中でも一番人気があるのは、男女兼用のワイシャツだ。一見シンプルだが裾をめくると血痕を模した刺繍があったり、ポケットの部分に銃創があったり、袖口の裏に模様があったりと遊び心満載なデザインになっている。
中高生が制服のアレンジで着用し、そこから人気に火が点いたのだが、意外なことに社会人にも飛ぶように売れた。
低価格に抑えるため生地は本家に劣るものの、縫製技術はそのままなので、今までフォーチュンに憧れはあったが中々手が出せなかった層が試しに購入し始めたのだ。
そこで着心地が良いと評判になり、本家フォーチュンのワイシャツまで販売数が伸びたのだから、このプロジェクトは今のところ大成功と言っていいだろう。久我の立てた戦略は見事だったし、それに応えた氷雨も流石だった。
「久我さんと氷雨さんが組んでるんだから、クリアデイなんかに負けるわけないよね」
川沿いに吹く、ひんやりとした風が頬を撫でる。春とはいえ、この時期はまだ日が暮れれば肌寒い。
夜風から逃れるように店内に入った玲旺は、売り場のディスプレイをざっと見渡した。玲旺の出した指示通り、メインのマネキンにはちょうど今の季節に活躍しそうな春物の服が着せられている。
他店ならば、もうそろそろ夏物のコーディネートを前面に押し出し始める頃だろう。それでも、フローズンレインでは季節の先取りはほどほどにして、その時期に合った服を販売しようと提案したのは玲旺だった。
「シーズンを先取って、これから流行りそうな物を並べるのも楽しいけどさ。『この服を着て明日出かけたい』って思えるような、すぐ使いたくなる商品を提供するのも良いと思わない?」
競合店との差別化を図る意図もあったが、「せっかくフローズンレインの商品には、流行に振り回されない魅力が詰まっているんだから」と、玲旺はあの秘密基地のようなスタッフルームで力説したのだ。
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