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◆最終幕 依依恋恋◆
この心臓は誰のもの①
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その日の夜、仕事を終えた陸は真っ直ぐ家には帰らず、劇場に向かって歩いていた。今から行けば公演には間に合わなくても、送り出しで外にいる清虎を一目見ることは出来るかもしれない。
ただでさえ浅草にいられる日数も残り少ないのだから、可能な限り清虎の姿を目に焼き付けておきたかった。
劇場前には既に劇団員と観客の姿があり、陸は少し離れた場所からその様子を見守る。
今日の清虎は花魁の衣装で、真っ赤な紅と白い肌が、夜の暗がりにあってもハッと目を引いた。
熱心なファンからプレゼントを受け取ったり、肩を並べて写真撮影に応じたり、時には顔を寄せ合って言葉を交わすなど、とにかく距離が近い。それも大衆演劇の良い所なのだと言い聞かせても、何だか清虎が娯楽として消費されているような気がして、不快な感情が湧いてしまった。
気付けば陸以外にも、通行人が何人も足を止めて清虎に魅入っている。ギャラリーの多さは、清虎の人気の高さを物語っているようだった。
最後の客を見送った後、清虎は路地を埋める観衆に向かって優雅にお辞儀をした。声にならない感嘆の息が周囲に広がっていく。
ぐるっと見回すように、清虎は潤んだ瞳で思わせぶりな眼差しを観衆に送り、陸と目が合うとそこで動きを止めた。
陸は清虎に近づきたい気持ちを抑え、その場で微笑んでうなずくに留める。陸が清虎に声を掛けてしまえば、今は遠巻きに眺めているだけの野次馬達も、なし崩しに清虎に群がってしまうだろう。
清虎も微かにうなずき返し、そのまま劇場へ引き上げていった。
清虎の姿が見えなくなると、立ち止まっていた人たちは我に返ったように再びそれぞれの目的地へ向かって歩き出す。静けさを取り戻した通りでぽつんと取り残された陸は、寂しいと言う感情を必死に飲み込んだ。
そもそも「寂しい」などと思うのは烏滸がましいだろう。少し前の自分にとっては、清虎を一目見れただけでも贅沢なことなのに。
陸はネガティブな思考を振り切るように足を踏み出したが、一歩進むごとに沈み込んでいくような感覚に襲われた。
このままでは溺れてしまう。
救いを求めるようにスマートフォンを取り出し、清虎に『何時になってもいいから電話して』とメッセージを送った。当然のことながら、すぐに既読など付くはずもない。
会えないのなら、せめて声だけでも聴きたかった。押し潰されるような得体の知れない不安を払拭してほしい。
日付が変わる頃ようやく既読が付いたが、返信はなかった。スタンプの一つも送れないほど忙しいのだろうかと余計にモヤモヤしてしまい、こんなことならメッセージを送るんじゃなかったと後悔する。
ベッドに潜りウトウトしかけた頃、「まだ起きてる?」と清虎から返信が来た。スマホに飛びつき「起きてる」と返せば、直ぐに着信が鳴る。
『ごめんな、なかなか連絡出来んで。親父が千秋楽は新作を演る言い出して、今まで稽古しとった』
少し疲れたような声を聞き、連絡が欲しいなど我儘を言ってしまったことが申し訳なくなった。
「疲れてるのに、ごめん」
『ううん。俺も陸の声聞きたかったし。あと、今日、劇場の前まで来てくれてありがとう。仕事帰りだったんやろ。陸も遅くまでお疲れさん。仕事は順調?』
「うん。今日さ、新しい企画を任されたんだ。凄く洒落た居酒屋で、デートに良く使われてる店なんだって。大人っぽいデザートの提案をしたいと思ってるんだ」
清虎は感心したように「へぇ」と声を上げる。
『凄いなぁ。店の雰囲気に合ったもん考えるんは、大変そうや』
「そうだね。だから今度、市場調査でその店に行ってくるよ。どんな酒や料理を提供してるのか、参考にしたいから」
『え。それは、一人で行くん?』
「ううん。……会社の人と」
深澤の名前を出すか迷って、一拍、間が空いてしまった。電話越しに清虎のため息が聞こえる。
『どうせ深澤とやろ。仕事やってわかっとるけど、ソレ他にも誰か誘って人数増やして行けんの。デートに良う使われとる店に、深澤と二人きりはさすがに引っかかるわ』
滅入ったような声だった。信用されていないことに傷つき、陸も思わず「清虎だって」と反論してしまう。
「客との距離、凄く近いじゃん」
『それとこれとはちゃうやろ』
「そうかな。客は清虎に恋をしてるよ。そんな人が清虎にベタベタするのは、少し、辛い」
『お客さんのこと悪く言わんといて。俺はただ、あの人たちに感謝を伝えたいだけや』
ジッポの蓋を開ける金属音が電話越しに響き、煙草に火をつけた気配がした。ああ、苛立たせてしまったと、陸は自分で自分が嫌になる。
深澤に言われた「おままごと」という単語が頭をよぎり、冷静にならねばと呼吸を整えた。
「ごめん。言い過ぎた」
『いや、俺も。陸の近くにおられへん分、嫉妬深くなっとるかもしれん。気ぃ付けるわ』
ふうっと吐き出したのは、煙草の煙か、それとも溜め息か。
「店には深澤さんと二人で行かないようにする。ねぇ、明日も稽古が終わるのはこれくらいの時間?」
『そうやなぁ、日付は超えるかも。ホンマごめんな、思うように会えんで』
「ううん。あのさ……もし迷惑じゃなかったら、明日、稽古が終わる頃に劇場の前で待っててもいいかな。清虎のマンションまで送るよ。あ、清虎は疲れてるだろうし、もちろん俺は部屋に上がらないで、そのまま帰るから」
陸が遠慮がちに提案すると、清虎は「うーん」と悩むように唸った。
『陸だって次の日仕事あるやろ。あんまり遅うなったらアカンし、無理せんといて。あと、一緒にマンションまで行ったら、俺は陸を帰しとうなくなる。寝なきゃ次の日絶対キツイって解っとっても』
帰したくなくなると言われ、陸の口元が思わず緩む。ちゃんと想われているのだなと、じわっと胸の奥が暖かくなった。
「じゃあ俺のこと泊めてよ。清虎のマンションからそのまま会社に行けるように、荷物持って行くから。その代わり、俺も寝なきゃキツイから、なんにもしないで一緒に眠るだけにする。ダメ?」
『何もせんと一緒に眠るだけ? 俺、ガマンできるやろか。でも、それもええなぁ。ちょっとでも会いたいし、腕の中に陸抱いて眠りたい』
甘い声に痺れてしまう。今すぐ部屋を飛び出して清虎の元へ行きたい衝動を、陸は何とか堪えた。
「じゃあ、そろそろ寝なきゃね。電話してくれてありがとう。おやすみ、また明日」
『うん。陸の声聞けて良かった。ほなね、おやすみ』
陸は通話を終えた画面を眺め、余韻に浸る。明る過ぎるスマートフォンのライトが消えると、光に慣れてしまったせいで部屋を覆う闇がより一層濃く感じられた。
ただでさえ浅草にいられる日数も残り少ないのだから、可能な限り清虎の姿を目に焼き付けておきたかった。
劇場前には既に劇団員と観客の姿があり、陸は少し離れた場所からその様子を見守る。
今日の清虎は花魁の衣装で、真っ赤な紅と白い肌が、夜の暗がりにあってもハッと目を引いた。
熱心なファンからプレゼントを受け取ったり、肩を並べて写真撮影に応じたり、時には顔を寄せ合って言葉を交わすなど、とにかく距離が近い。それも大衆演劇の良い所なのだと言い聞かせても、何だか清虎が娯楽として消費されているような気がして、不快な感情が湧いてしまった。
気付けば陸以外にも、通行人が何人も足を止めて清虎に魅入っている。ギャラリーの多さは、清虎の人気の高さを物語っているようだった。
最後の客を見送った後、清虎は路地を埋める観衆に向かって優雅にお辞儀をした。声にならない感嘆の息が周囲に広がっていく。
ぐるっと見回すように、清虎は潤んだ瞳で思わせぶりな眼差しを観衆に送り、陸と目が合うとそこで動きを止めた。
陸は清虎に近づきたい気持ちを抑え、その場で微笑んでうなずくに留める。陸が清虎に声を掛けてしまえば、今は遠巻きに眺めているだけの野次馬達も、なし崩しに清虎に群がってしまうだろう。
清虎も微かにうなずき返し、そのまま劇場へ引き上げていった。
清虎の姿が見えなくなると、立ち止まっていた人たちは我に返ったように再びそれぞれの目的地へ向かって歩き出す。静けさを取り戻した通りでぽつんと取り残された陸は、寂しいと言う感情を必死に飲み込んだ。
そもそも「寂しい」などと思うのは烏滸がましいだろう。少し前の自分にとっては、清虎を一目見れただけでも贅沢なことなのに。
陸はネガティブな思考を振り切るように足を踏み出したが、一歩進むごとに沈み込んでいくような感覚に襲われた。
このままでは溺れてしまう。
救いを求めるようにスマートフォンを取り出し、清虎に『何時になってもいいから電話して』とメッセージを送った。当然のことながら、すぐに既読など付くはずもない。
会えないのなら、せめて声だけでも聴きたかった。押し潰されるような得体の知れない不安を払拭してほしい。
日付が変わる頃ようやく既読が付いたが、返信はなかった。スタンプの一つも送れないほど忙しいのだろうかと余計にモヤモヤしてしまい、こんなことならメッセージを送るんじゃなかったと後悔する。
ベッドに潜りウトウトしかけた頃、「まだ起きてる?」と清虎から返信が来た。スマホに飛びつき「起きてる」と返せば、直ぐに着信が鳴る。
『ごめんな、なかなか連絡出来んで。親父が千秋楽は新作を演る言い出して、今まで稽古しとった』
少し疲れたような声を聞き、連絡が欲しいなど我儘を言ってしまったことが申し訳なくなった。
「疲れてるのに、ごめん」
『ううん。俺も陸の声聞きたかったし。あと、今日、劇場の前まで来てくれてありがとう。仕事帰りだったんやろ。陸も遅くまでお疲れさん。仕事は順調?』
「うん。今日さ、新しい企画を任されたんだ。凄く洒落た居酒屋で、デートに良く使われてる店なんだって。大人っぽいデザートの提案をしたいと思ってるんだ」
清虎は感心したように「へぇ」と声を上げる。
『凄いなぁ。店の雰囲気に合ったもん考えるんは、大変そうや』
「そうだね。だから今度、市場調査でその店に行ってくるよ。どんな酒や料理を提供してるのか、参考にしたいから」
『え。それは、一人で行くん?』
「ううん。……会社の人と」
深澤の名前を出すか迷って、一拍、間が空いてしまった。電話越しに清虎のため息が聞こえる。
『どうせ深澤とやろ。仕事やってわかっとるけど、ソレ他にも誰か誘って人数増やして行けんの。デートに良う使われとる店に、深澤と二人きりはさすがに引っかかるわ』
滅入ったような声だった。信用されていないことに傷つき、陸も思わず「清虎だって」と反論してしまう。
「客との距離、凄く近いじゃん」
『それとこれとはちゃうやろ』
「そうかな。客は清虎に恋をしてるよ。そんな人が清虎にベタベタするのは、少し、辛い」
『お客さんのこと悪く言わんといて。俺はただ、あの人たちに感謝を伝えたいだけや』
ジッポの蓋を開ける金属音が電話越しに響き、煙草に火をつけた気配がした。ああ、苛立たせてしまったと、陸は自分で自分が嫌になる。
深澤に言われた「おままごと」という単語が頭をよぎり、冷静にならねばと呼吸を整えた。
「ごめん。言い過ぎた」
『いや、俺も。陸の近くにおられへん分、嫉妬深くなっとるかもしれん。気ぃ付けるわ』
ふうっと吐き出したのは、煙草の煙か、それとも溜め息か。
「店には深澤さんと二人で行かないようにする。ねぇ、明日も稽古が終わるのはこれくらいの時間?」
『そうやなぁ、日付は超えるかも。ホンマごめんな、思うように会えんで』
「ううん。あのさ……もし迷惑じゃなかったら、明日、稽古が終わる頃に劇場の前で待っててもいいかな。清虎のマンションまで送るよ。あ、清虎は疲れてるだろうし、もちろん俺は部屋に上がらないで、そのまま帰るから」
陸が遠慮がちに提案すると、清虎は「うーん」と悩むように唸った。
『陸だって次の日仕事あるやろ。あんまり遅うなったらアカンし、無理せんといて。あと、一緒にマンションまで行ったら、俺は陸を帰しとうなくなる。寝なきゃ次の日絶対キツイって解っとっても』
帰したくなくなると言われ、陸の口元が思わず緩む。ちゃんと想われているのだなと、じわっと胸の奥が暖かくなった。
「じゃあ俺のこと泊めてよ。清虎のマンションからそのまま会社に行けるように、荷物持って行くから。その代わり、俺も寝なきゃキツイから、なんにもしないで一緒に眠るだけにする。ダメ?」
『何もせんと一緒に眠るだけ? 俺、ガマンできるやろか。でも、それもええなぁ。ちょっとでも会いたいし、腕の中に陸抱いて眠りたい』
甘い声に痺れてしまう。今すぐ部屋を飛び出して清虎の元へ行きたい衝動を、陸は何とか堪えた。
「じゃあ、そろそろ寝なきゃね。電話してくれてありがとう。おやすみ、また明日」
『うん。陸の声聞けて良かった。ほなね、おやすみ』
陸は通話を終えた画面を眺め、余韻に浸る。明る過ぎるスマートフォンのライトが消えると、光に慣れてしまったせいで部屋を覆う闇がより一層濃く感じられた。
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