御伽噺のその先へ

ほんの気まぐれと偶然だった。しかし、あるいは運命だったのかもしれない。

高校1年生の紗良のクラスには、他人に全く興味を示さない男子生徒がいた。
彼は美少年と呼ぶに相応しい容姿なのだが、言い寄る女子を片っ端から冷たく突き放し、「観賞用王子」と陰で囁かれている。
その王子が紗良に告げた。
「ねえ、俺と付き合ってよ」

言葉とは裏腹に彼の表情は険しい。
王子には、誰にも言えない秘密があった。
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