上 下
47 / 84

じゃじゃ馬娘の嫁入り④

しおりを挟む
「…お父さんに案を突き返されて、アタシは考えたの。土地を新しく準備するには結婚しかないって!」
「「待て待て待て。」」

いったいどう考えたらそこに行き着くんだよ。

「正直、アタシが土地の所有者に直談判したところで門前払いになるのはわかってる。となると、ほかの手段を考えなきゃ。そこで!土地を持っている人と結婚すればいいんじゃないかって思ったの!アタシが土地の所有者と結婚すれば、相手が持っている土地は夫婦の共有財産ってことになるでしょ?そうすれば自動的に土地が手に入るってわけ!」

楽観的というべきなのか強かというべきなのか…。まぁこのくらいの年の子供にしては頭が回る方だとは思う。いわゆる政略結婚や玉の輿を狙おうってわけだな。…ただこの話を成功させるにはあまりにも相手方にうまみがない。…何より自分が犠牲になる可能性だってある危ない橋だ。親だったら、まぁ娘に選ばせたくない道だろうと思う。

「そんな都合よくいくかねぇ。お前、土地を持っていて結婚適齢期、おまけにお前のその考えにも理解がある奴なんて、そう簡単にいると思うか?オレは無謀だと思うね。」
「うむ…こればっかりはな。何より、結婚ってのは思いあった2人がするものだと思うぞ?親父さんも、そう思ってるはずだ。」
「…じゃあ、どうしたらいのよ。何かいい案でもあるっての?」
「そもそもそこまでしてこの方法を取らなきゃなんないわけじゃないだろうに。…土地に関しちゃ、何もねぇわけじゃないが…。おいおっちゃん、さっき渡した手紙1回返してくれ。」
「ん?そりゃ構わないが…。」

出そうと思っていた手紙を返してもらい、開封する。おっちゃんとエナは不思議そうにのぞき込んでいる。おい、人の手紙をのぞくなんて言い趣味してるじゃないか。個人情報だぞ。

「…それ、どうするの?」
「これにちょっと付け足すだけだ。ペン借りるぞ。…いつまでものぞいてんな、あっち行ってろ。」
「それ、いつもの妹さんにだろ?妹さん、何かツテでもあんのか?」
「…状況確認してもらうだけだ。土地の所有者にゃ、オレが話をつける。ま、どうなるか分からないがな。第一、馬を飼うのに適した土地かどうかなんて、オレには分からねぇし。」
「…そ、そのあたりは専門家に頼むわよ!でもどうして?なんでアタシに協力してくれるの?」
「はぁ?ここまで話聞かせといて、今更何よそよそしくしてんだよ。…結婚相手探しより、土地探しの方がオレたちギルドでも手伝えただろうぜ。そんだけだ。」
「…。」
「うし、書けた。改めて頼むぜ。」
「あ、あぁ、任された。」
「んじゃ、エナだっけか。行くぞ。」
「え?い、行くってどこに。」
「ギルド冒険者にだよ。さっさとしろ。」
「ま、待って…!おじさん、ありがとう。また来るね!」
「おう、親父さんにもよろしくなぁ!くれぐれも先走らんでくれよー!!」

道を行き来する商人たちをすり抜けながら、オレたちはギルドへの道を急ぐ。正式に依頼として受け付けるというよりは、土地の所有者に手っ取り早く話をつけるために。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

処理中です...