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技術の進歩ってスゲー!
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「リモート検査?」
「そう、専門の先生ってこの病院に常駐してるわけじゃないからさ。」
今後の検査体制について、先生の方から詳しく説明を受けているが、正直頭の上には?が飛び交っていた。
リモート…とは…?
会議とかはね、このご時世わざわざ集まらずにウェブ上で行うようになってきていると噂には聞きますけども。医療の現場でも、過疎地域での診察なんかで行われることがあると聞いたことがありますけども!
検査まではさすがに難しいんじゃないです?できるんです?そんなことが。
「検査する時に大きな病院にいる先生のところとつないで、リアルタイムで検査の画像見てもらうから。」
「…はー…。」
「検査自体はこっちの職員がやるけど、その場でいろいろ指示もらってやる感じだね。」
あー、あくまで作業はこっちの職員がってことね。いやでもそれでもすごいな。
だって少し前だったら、いい先生がいる大きな病院にわざわざ行かないと、って感じの世の中だったと思うんだけど。手術とかはまた別の話になるんだろうけど、検査のために何時間もかけて大きな病院に行かなきゃ…ってならないだけでも、患者側の負担は激減よね、素晴らしい進歩!
「だからこれも完全に予約ね。向こうの先生の都合もあるから時間厳守で。」
「はい。」
「それじゃ、今日もこのまま予約しておくからね。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
本日もつつがなく終了。もともと心臓に関わる専門医が常駐していないために、診てくれる先生がいるのは曜日が決まっていたので、完全予約の時間厳守というのにはもう慣れてしまっていた。というか、そもそも『ちょっとくらい遅れても大丈夫だろ』なんて考えもないんだけども。
それにしてもリモート検査か…。どんな感じになるんだろうなぁ。リモート会議の経験どころかプライベートでもリモートの経験ないから、完全に想像の世界だ。パソコンの画面上に映る先生とやり取りするのかなぁ。
技術の進歩に少しテンションが上がりつつ、帰路に就くのであった。
「それじゃ、この前と同じように検査していきますね。」
「よろしくお願いします。」
そして迎えたリモート検査の日。前回と特に変わった様子ない検査室に案内され、前回同様審査ベッドの上に横になる。どうやってしもーとするのかなーと思っていたら、検査をしてくれる看護師さんがおもむろにヘッドセットを装着した。
何それかっこいい!
「今日はリモートで検査していくので、私リモート先の先生と話したりすると思うんですけど、気にしないでくださいねー。」
「はーい。」
「それじゃ始めていきますねー。…先生、聞こえますか?…はい、はい…。」
「…。」
看護師さんは画面を操作しながら先生に指示を仰いでいるようだ。前回の検査の時よりも、心なしか緊張感があるように思う。私はというと、特に何も言われていないのになぜか息を殺して検査に臨んでいた。
まぁそもそも何も話すことなんてないんで、普段と変わりないと言われれば、それはそう。
検査自体は前回と同じように、看護師さんがエコーの機械を胸元に当てて画像を確認している形だった。そして私は壁をひたすらに見つめるだけだ。…この壁に短編小説でも印刷して貼り付けてくれないかなぁ。
「はい…はい、この部分ですね。…はい。」
「…。」
静かな検査室で、かすかな機械音と看護師さんの返事だけが聞こえる。リモート先の先生の声は私には聞こえない。なんだか眠くなってきたなぁ…と少し瞼が下がりつつあった頃、看護師さんの会話の雰囲気が変わった。
「…下の部分ですか?…このあたりで?はい…。あぁ、そうですねぇ…はは。」
左胸の周辺に当たっていたエコーの機械の位置が、少し下に下がっていく。左胸の下、というかみぞおちのあたり、だろうか。そのあたりを探るようにぐりぐりと機械を当てる。
…あの、ちょっと…ちょっと、いた…痛いんですけど!?笑ってる場合か!?
幸いそう長いことぐりぐりされずに機械が離されてほっとした。看護師さんは先生が指示に相槌を打ちながらパソコンを操作している。
「んーそうですねぇ…少し、やせ型ですねぇ、はい。」
…それ私のことか!?検査画像見るだけで患者の体格とか分かるんか!?
技術の進歩ってすげぇ…!
「そう、専門の先生ってこの病院に常駐してるわけじゃないからさ。」
今後の検査体制について、先生の方から詳しく説明を受けているが、正直頭の上には?が飛び交っていた。
リモート…とは…?
会議とかはね、このご時世わざわざ集まらずにウェブ上で行うようになってきていると噂には聞きますけども。医療の現場でも、過疎地域での診察なんかで行われることがあると聞いたことがありますけども!
検査まではさすがに難しいんじゃないです?できるんです?そんなことが。
「検査する時に大きな病院にいる先生のところとつないで、リアルタイムで検査の画像見てもらうから。」
「…はー…。」
「検査自体はこっちの職員がやるけど、その場でいろいろ指示もらってやる感じだね。」
あー、あくまで作業はこっちの職員がってことね。いやでもそれでもすごいな。
だって少し前だったら、いい先生がいる大きな病院にわざわざ行かないと、って感じの世の中だったと思うんだけど。手術とかはまた別の話になるんだろうけど、検査のために何時間もかけて大きな病院に行かなきゃ…ってならないだけでも、患者側の負担は激減よね、素晴らしい進歩!
「だからこれも完全に予約ね。向こうの先生の都合もあるから時間厳守で。」
「はい。」
「それじゃ、今日もこのまま予約しておくからね。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
本日もつつがなく終了。もともと心臓に関わる専門医が常駐していないために、診てくれる先生がいるのは曜日が決まっていたので、完全予約の時間厳守というのにはもう慣れてしまっていた。というか、そもそも『ちょっとくらい遅れても大丈夫だろ』なんて考えもないんだけども。
それにしてもリモート検査か…。どんな感じになるんだろうなぁ。リモート会議の経験どころかプライベートでもリモートの経験ないから、完全に想像の世界だ。パソコンの画面上に映る先生とやり取りするのかなぁ。
技術の進歩に少しテンションが上がりつつ、帰路に就くのであった。
「それじゃ、この前と同じように検査していきますね。」
「よろしくお願いします。」
そして迎えたリモート検査の日。前回と特に変わった様子ない検査室に案内され、前回同様審査ベッドの上に横になる。どうやってしもーとするのかなーと思っていたら、検査をしてくれる看護師さんがおもむろにヘッドセットを装着した。
何それかっこいい!
「今日はリモートで検査していくので、私リモート先の先生と話したりすると思うんですけど、気にしないでくださいねー。」
「はーい。」
「それじゃ始めていきますねー。…先生、聞こえますか?…はい、はい…。」
「…。」
看護師さんは画面を操作しながら先生に指示を仰いでいるようだ。前回の検査の時よりも、心なしか緊張感があるように思う。私はというと、特に何も言われていないのになぜか息を殺して検査に臨んでいた。
まぁそもそも何も話すことなんてないんで、普段と変わりないと言われれば、それはそう。
検査自体は前回と同じように、看護師さんがエコーの機械を胸元に当てて画像を確認している形だった。そして私は壁をひたすらに見つめるだけだ。…この壁に短編小説でも印刷して貼り付けてくれないかなぁ。
「はい…はい、この部分ですね。…はい。」
「…。」
静かな検査室で、かすかな機械音と看護師さんの返事だけが聞こえる。リモート先の先生の声は私には聞こえない。なんだか眠くなってきたなぁ…と少し瞼が下がりつつあった頃、看護師さんの会話の雰囲気が変わった。
「…下の部分ですか?…このあたりで?はい…。あぁ、そうですねぇ…はは。」
左胸の周辺に当たっていたエコーの機械の位置が、少し下に下がっていく。左胸の下、というかみぞおちのあたり、だろうか。そのあたりを探るようにぐりぐりと機械を当てる。
…あの、ちょっと…ちょっと、いた…痛いんですけど!?笑ってる場合か!?
幸いそう長いことぐりぐりされずに機械が離されてほっとした。看護師さんは先生が指示に相槌を打ちながらパソコンを操作している。
「んーそうですねぇ…少し、やせ型ですねぇ、はい。」
…それ私のことか!?検査画像見るだけで患者の体格とか分かるんか!?
技術の進歩ってすげぇ…!
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