3 / 35
進軍
しおりを挟む
エルヴィンは、玉座の間に入った。
玉座に腰掛け、すぐ後ろにルイズとソフィアが警護役として控える。
エルヴィンは侍従に、
「近衛騎士団団長グレーテルを呼べ」
と告げた。
20分後。
近衛騎士団団長のグレーテル=フォン=マーラーが来た。
グレーテルは、17歳。
伯爵家の令嬢で、長い赤髪と赤藤色の瞳をした美少女だ。
身長が高く、胸が大きく、腰が細い。
グラマラスな肉体の美少女である。
「じゃ、邪竜リヴァイアサンを討伐するのですか?」
主命を聞いたグレーテルが、驚く。
邪竜リヴァイアサンは最強種の一つ、古代竜(エンシェント=ドラゴン)だ。
かつて三つの国を滅ぼし、数十万の人間を虐殺した大怪物である。
邪竜リヴァイアサンは、ヴァリス王国の北部、エルドラドと呼ばれる地帯の山に棲んでいる。
エルドラドは、どこの国の領土でもない。
邪竜リヴァイアサンが強すぎて、領有支配できないのだ。
ヴァリス王国とその周辺国家は、
「邪竜リヴァイアサンを討伐した国が、エルドラドを領有する権利を得る」
という条約を締結している。
つまり、エルヴィンが、邪竜リヴァイアサンを退治すればエルドラドをヴァリス王国が占有して、領土にする事ができるのだ。
「エルドラドは豊穣の大地だ。金山、銀山、オリハルコンやアダマンタイトの鉱脈があり、農耕に適した肥沃な大地が広がっている。エルドラドを領有すれば、我がヴァリス王国の国力が、飛躍的にあがる」
「た、確かに陛下のおおせの通りでございますが……」
グレーテルが、戸惑いながらいう。
玉座の後ろにいるルイズとソフィアも、戸惑いながら視線を合わせる。
「すぐに出発するぞ」
エルヴィンが歩きだす。ルイズとソフィアが、少し慌ててエルヴィンの後に続く。
「す、すぐでございますか?」
グレーテルはあわてて近衛騎士団3000名を招集した。
近衛騎士団は、ヴァリス王国の最精鋭軍団である。
全員が、職業騎士であり騎馬兵として戦う事ができる。
王城の前の広場に集まった近衛騎士3000騎は騎乗して整列し、若き国王エルヴィンを迎えた。
エルヴィンは、愛馬の白馬に跨がり、
「これより、邪竜リヴァイアサンを討伐する。エルドラドを我がヴァリス王国の国土とするのだ」
と宣言した。
近衛騎士団3000名は、全員、驚愕し、戦慄した。
邪竜リヴァイアサンは天災に例えられる怪物である。
人間が戦って勝てる相手ではない。
だが、エルヴィンが白馬を走らせると、全員が黙って従い、騎走し始めた。
近衛騎士達は、国王に対する絶対の忠誠を誓っている。
逃げる者も、不平不満を口に出す者も一人もいない。
近衛騎士団団長グレーテル、親衛隊長官ルイズ、宮廷警護隊総帥ソフィアも同様であり、彼女達もエルヴィンの後に続いて馬を走らせた。
ヴァリス王国の軍旗である【黄金の有翼獅子(グリフォン)】が、風にはためいた。
玉座に腰掛け、すぐ後ろにルイズとソフィアが警護役として控える。
エルヴィンは侍従に、
「近衛騎士団団長グレーテルを呼べ」
と告げた。
20分後。
近衛騎士団団長のグレーテル=フォン=マーラーが来た。
グレーテルは、17歳。
伯爵家の令嬢で、長い赤髪と赤藤色の瞳をした美少女だ。
身長が高く、胸が大きく、腰が細い。
グラマラスな肉体の美少女である。
「じゃ、邪竜リヴァイアサンを討伐するのですか?」
主命を聞いたグレーテルが、驚く。
邪竜リヴァイアサンは最強種の一つ、古代竜(エンシェント=ドラゴン)だ。
かつて三つの国を滅ぼし、数十万の人間を虐殺した大怪物である。
邪竜リヴァイアサンは、ヴァリス王国の北部、エルドラドと呼ばれる地帯の山に棲んでいる。
エルドラドは、どこの国の領土でもない。
邪竜リヴァイアサンが強すぎて、領有支配できないのだ。
ヴァリス王国とその周辺国家は、
「邪竜リヴァイアサンを討伐した国が、エルドラドを領有する権利を得る」
という条約を締結している。
つまり、エルヴィンが、邪竜リヴァイアサンを退治すればエルドラドをヴァリス王国が占有して、領土にする事ができるのだ。
「エルドラドは豊穣の大地だ。金山、銀山、オリハルコンやアダマンタイトの鉱脈があり、農耕に適した肥沃な大地が広がっている。エルドラドを領有すれば、我がヴァリス王国の国力が、飛躍的にあがる」
「た、確かに陛下のおおせの通りでございますが……」
グレーテルが、戸惑いながらいう。
玉座の後ろにいるルイズとソフィアも、戸惑いながら視線を合わせる。
「すぐに出発するぞ」
エルヴィンが歩きだす。ルイズとソフィアが、少し慌ててエルヴィンの後に続く。
「す、すぐでございますか?」
グレーテルはあわてて近衛騎士団3000名を招集した。
近衛騎士団は、ヴァリス王国の最精鋭軍団である。
全員が、職業騎士であり騎馬兵として戦う事ができる。
王城の前の広場に集まった近衛騎士3000騎は騎乗して整列し、若き国王エルヴィンを迎えた。
エルヴィンは、愛馬の白馬に跨がり、
「これより、邪竜リヴァイアサンを討伐する。エルドラドを我がヴァリス王国の国土とするのだ」
と宣言した。
近衛騎士団3000名は、全員、驚愕し、戦慄した。
邪竜リヴァイアサンは天災に例えられる怪物である。
人間が戦って勝てる相手ではない。
だが、エルヴィンが白馬を走らせると、全員が黙って従い、騎走し始めた。
近衛騎士達は、国王に対する絶対の忠誠を誓っている。
逃げる者も、不平不満を口に出す者も一人もいない。
近衛騎士団団長グレーテル、親衛隊長官ルイズ、宮廷警護隊総帥ソフィアも同様であり、彼女達もエルヴィンの後に続いて馬を走らせた。
ヴァリス王国の軍旗である【黄金の有翼獅子(グリフォン)】が、風にはためいた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~
桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。
そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。
頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります!
エメルロ一族には重大な秘密があり……。
そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。
裏アカ男子
やまいし
ファンタジー
ここは男女の貞操観念が逆転、そして人類すべてが美形になった世界。
転生した主人公にとってこの世界の女性は誰でも美少女、そして女性は元の世界の男性のように性欲が強いと気付く。
そこで彼は都合の良い(体の)関係を求めて裏アカを使用することにした。
―—これはそんな彼祐樹が好き勝手に生きる物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる