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文官ゴルバン
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青い魔法光が、おさまった。
視界が通る。
俺たちは室内にいた。
室内に、数名のドワーフがおり、ドワーフの国・ギルヴァン鋼国に来たのだと、実感した。
ドワーフ族は、背が低く、全員が頑強で、巨大な筋肉に覆われている。
室内にいるドワーフたちは、その人目でドワーフだと判別できる。
冒険者ギルドからの書類を見せると、すぐにドワーフの役人が、応接室に案内してくれた。
応接室には、スーツをきた文官らしい服装のドワーフがおり、俺たちに挨拶をしてきた。
文官だが、筋肉隆々で、人間族とは桁違いの怪力だと人目で分かる。
胸の筋肉も、腕の筋肉も俺の3倍以上ある。
「ようこそ、勇敢なる冒険者たち。よくぞ、この火急の折に我が国に駆けつけてきて下さいました」
握手を求められ、俺も握手でかえす。
圧倒的な握力で、驚いた。
さすがドワーフ。
「私の名前は、ゴルバンと申します。以後よろしく」
「俺はカイン=ベルマーと言います。こちらは俺の仲間です」
「ルイズです」
「私はフローラだよ♪」
「エルフリーデ……」
「私はミネルヴァなの」
「おお、こうして観るだけで、皆様の強さを感じます。さすがは多頭蛇(ヒュドラ)を倒した冒険者パーティーだ」
「ありがとうございます」
ゴルバンさんは、俺たちに椅子をすすめた。
俺たちは、椅子に座った。
長方形のテーブルにつくと、ゴルバンさんが説明を始める。
「さて、時間がないので、すぐさま今回の案件の詳細をお話しします。我が国は現在、非常事態宣言を発令しております」
ゴルバンさんが、緊張感に満ちた声を出す。
「魔族が襲来したのですから、当然でしょうね」
俺が言うと、ゴルバンさんが頷く。
「魔族は、前日未明、王都の近くにあるギルヴァン鋼国最大の鉱山、アメストリア鉱山に襲来しました。魔族は、無数の魔物と魔獣を召喚し、鉱山の内部に解き放ちました」
「冒険者ギルドの話しでは、30名ほどが鉱山の内部に残されていると聞きましたが……」
「はい。当時、鉱山で作業中の作業員は、120名ほど。そのほとんどが負傷しながらも脱出に成功しましたが、残り30名はまだ取り残されたままです」
ゴルバンさんが、苦渋に満ちた顔をする。
「横合いから失礼します」
とルイズが、手を上げた。
ゴルバンさんが、「どうぞ」、と言うと、ルイズは一礼して、口を開く。
「ギルヴァン鋼国の正規軍はどうしているのですか? ギルヴァン鋼国の正規兵が全軍で魔族に当たれば、あるいは魔族に勝てるのでは……」
「ルイズ殿のご指摘はもっともです。ですが、現在、ギルヴァン鋼国の正規軍の9割以上が、王都から離れた場所に散らばっております」
「どうしてにゃの?」
フローラが、尋ねる。
「我が国の各地に、ドラゴンゾンビが出現して暴れているのです。その数は、五体。正規軍は、ドラゴンゾンビを倒す為に、地方に出撃中です」
ゴルバンさんが、悔しそうに拳を握りしめた。
「おそらく、鉱山を襲撃した魔族の仕業でしょう。こちらの戦力の分断を狙っての事と思われます」
視界が通る。
俺たちは室内にいた。
室内に、数名のドワーフがおり、ドワーフの国・ギルヴァン鋼国に来たのだと、実感した。
ドワーフ族は、背が低く、全員が頑強で、巨大な筋肉に覆われている。
室内にいるドワーフたちは、その人目でドワーフだと判別できる。
冒険者ギルドからの書類を見せると、すぐにドワーフの役人が、応接室に案内してくれた。
応接室には、スーツをきた文官らしい服装のドワーフがおり、俺たちに挨拶をしてきた。
文官だが、筋肉隆々で、人間族とは桁違いの怪力だと人目で分かる。
胸の筋肉も、腕の筋肉も俺の3倍以上ある。
「ようこそ、勇敢なる冒険者たち。よくぞ、この火急の折に我が国に駆けつけてきて下さいました」
握手を求められ、俺も握手でかえす。
圧倒的な握力で、驚いた。
さすがドワーフ。
「私の名前は、ゴルバンと申します。以後よろしく」
「俺はカイン=ベルマーと言います。こちらは俺の仲間です」
「ルイズです」
「私はフローラだよ♪」
「エルフリーデ……」
「私はミネルヴァなの」
「おお、こうして観るだけで、皆様の強さを感じます。さすがは多頭蛇(ヒュドラ)を倒した冒険者パーティーだ」
「ありがとうございます」
ゴルバンさんは、俺たちに椅子をすすめた。
俺たちは、椅子に座った。
長方形のテーブルにつくと、ゴルバンさんが説明を始める。
「さて、時間がないので、すぐさま今回の案件の詳細をお話しします。我が国は現在、非常事態宣言を発令しております」
ゴルバンさんが、緊張感に満ちた声を出す。
「魔族が襲来したのですから、当然でしょうね」
俺が言うと、ゴルバンさんが頷く。
「魔族は、前日未明、王都の近くにあるギルヴァン鋼国最大の鉱山、アメストリア鉱山に襲来しました。魔族は、無数の魔物と魔獣を召喚し、鉱山の内部に解き放ちました」
「冒険者ギルドの話しでは、30名ほどが鉱山の内部に残されていると聞きましたが……」
「はい。当時、鉱山で作業中の作業員は、120名ほど。そのほとんどが負傷しながらも脱出に成功しましたが、残り30名はまだ取り残されたままです」
ゴルバンさんが、苦渋に満ちた顔をする。
「横合いから失礼します」
とルイズが、手を上げた。
ゴルバンさんが、「どうぞ」、と言うと、ルイズは一礼して、口を開く。
「ギルヴァン鋼国の正規軍はどうしているのですか? ギルヴァン鋼国の正規兵が全軍で魔族に当たれば、あるいは魔族に勝てるのでは……」
「ルイズ殿のご指摘はもっともです。ですが、現在、ギルヴァン鋼国の正規軍の9割以上が、王都から離れた場所に散らばっております」
「どうしてにゃの?」
フローラが、尋ねる。
「我が国の各地に、ドラゴンゾンビが出現して暴れているのです。その数は、五体。正規軍は、ドラゴンゾンビを倒す為に、地方に出撃中です」
ゴルバンさんが、悔しそうに拳を握りしめた。
「おそらく、鉱山を襲撃した魔族の仕業でしょう。こちらの戦力の分断を狙っての事と思われます」
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