65 / 76
魔族
しおりを挟む
魔族という言葉を聞いて、俺はゴクリと唾を飲んだ。
魔族とは、魔王に使える邪悪な種族だ。
絶対にして、純粋な悪である魔族は、人類の宿敵である。
そして、その強さは想像を絶する。
魔族は、階級社会であり、『王』である魔王。
その下に、『公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵』という階級があり、階級が高い者ほど強い。
人間と同等か、それ以上の知能を持ち、圧倒的な身体能力を魔力を有する怪物。
それが魔族だ。
フランシアさんによると、現在、B級以上の冒険者が、不足しているという。
大陸全土で、魔物や魔族が活性化して、各国の軍隊や、Bランク以上の冒険者が、アチコチに派遣されており、とてもの事、手が足りないという。
「ギルヴァン鋼国から、緊急依頼がありまして、手練れの冒険者パーティーを出来る限り、多く、かつ速やかにギルヴァン鋼国に派遣して欲しいとの事です」
「それで、魔族はギルヴァン鋼国のどこにいるんだ?」
「ギルヴァン鋼国の王都の近くにある鉱山に立て籠もっているそうです。詳細は現地にてお伝えするとの事です」
俺はゴクリと唾を飲む。
魔族との戦闘を視野に入れなくてはならない。
それを考えるとさすがに緊張する。
「お願いいたします。ベルマーさん。どうか依頼を受けて下さい。鉱山では、30名以上の人が、魔族によって人質にされているそうです。どうか助けてあげて下さい」
フランシアさんが、俺に頭を下げる。
俺は拳を握りしめた。
脳裏に浮かぶのは、魔物によって滅ぼされた故郷の村の風景。
(できるなら、助けてやりたい……)
だが、俺だけで決めるわけにはいかない。
俺が行くなら、ルイズたちも行くことになる。
「みんな、聞いて欲しい」
俺はルイズたちに身体ごと振り返る。
ルイズたちの顔にわずかな緊張がよぎっている。
「ギルヴァン鋼国の依頼……、これを受けるという事は、魔族と戦闘する可能性があるという事だ」
ルイズたちが頷く。
「下手をすると多頭蛇(ヒュドラ)以上の難敵かもしれない」
俺は、言葉を切った。
ルイズたちを魔族との戦いに巻き込んで良いのか?
あまりにも危険ではないか?
俺にそんな権利があるのか?
だけど……。
「だけど、先生は、人を助けたいのですよね?」
ルイズが、彫刻のような美貌に微笑を浮かべた。
俺は、はっとしてルイズの顔を見た。
「やろうよカイン、人助けは英雄のお仕事だよ♪」
「ん。師匠と私たちなら、魔族になんか負けない」
「お兄ちゃんが闘うなら、私も魔族と闘うの♪」
全員が、全幅の信頼を込めて、俺を見る。
俺の胸に温かい感動が広がる。
最高の仲間達に、俺は微笑をむけた。
「ありがとう……」
俺は心から言うと、身体ごと後ろに振り返り、フランシアさんに告げた。
「依頼を受ける。詳細を教えてくれ」
魔族とは、魔王に使える邪悪な種族だ。
絶対にして、純粋な悪である魔族は、人類の宿敵である。
そして、その強さは想像を絶する。
魔族は、階級社会であり、『王』である魔王。
その下に、『公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵』という階級があり、階級が高い者ほど強い。
人間と同等か、それ以上の知能を持ち、圧倒的な身体能力を魔力を有する怪物。
それが魔族だ。
フランシアさんによると、現在、B級以上の冒険者が、不足しているという。
大陸全土で、魔物や魔族が活性化して、各国の軍隊や、Bランク以上の冒険者が、アチコチに派遣されており、とてもの事、手が足りないという。
「ギルヴァン鋼国から、緊急依頼がありまして、手練れの冒険者パーティーを出来る限り、多く、かつ速やかにギルヴァン鋼国に派遣して欲しいとの事です」
「それで、魔族はギルヴァン鋼国のどこにいるんだ?」
「ギルヴァン鋼国の王都の近くにある鉱山に立て籠もっているそうです。詳細は現地にてお伝えするとの事です」
俺はゴクリと唾を飲む。
魔族との戦闘を視野に入れなくてはならない。
それを考えるとさすがに緊張する。
「お願いいたします。ベルマーさん。どうか依頼を受けて下さい。鉱山では、30名以上の人が、魔族によって人質にされているそうです。どうか助けてあげて下さい」
フランシアさんが、俺に頭を下げる。
俺は拳を握りしめた。
脳裏に浮かぶのは、魔物によって滅ぼされた故郷の村の風景。
(できるなら、助けてやりたい……)
だが、俺だけで決めるわけにはいかない。
俺が行くなら、ルイズたちも行くことになる。
「みんな、聞いて欲しい」
俺はルイズたちに身体ごと振り返る。
ルイズたちの顔にわずかな緊張がよぎっている。
「ギルヴァン鋼国の依頼……、これを受けるという事は、魔族と戦闘する可能性があるという事だ」
ルイズたちが頷く。
「下手をすると多頭蛇(ヒュドラ)以上の難敵かもしれない」
俺は、言葉を切った。
ルイズたちを魔族との戦いに巻き込んで良いのか?
あまりにも危険ではないか?
俺にそんな権利があるのか?
だけど……。
「だけど、先生は、人を助けたいのですよね?」
ルイズが、彫刻のような美貌に微笑を浮かべた。
俺は、はっとしてルイズの顔を見た。
「やろうよカイン、人助けは英雄のお仕事だよ♪」
「ん。師匠と私たちなら、魔族になんか負けない」
「お兄ちゃんが闘うなら、私も魔族と闘うの♪」
全員が、全幅の信頼を込めて、俺を見る。
俺の胸に温かい感動が広がる。
最高の仲間達に、俺は微笑をむけた。
「ありがとう……」
俺は心から言うと、身体ごと後ろに振り返り、フランシアさんに告げた。
「依頼を受ける。詳細を教えてくれ」
0
お気に入りに追加
758
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
恋人を寝取られ死刑を言い渡された騎士、魔女の温情により命を救われ復讐よりも成り上がって見返してやろう
灰色の鼠
ファンタジー
騎士として清くあろうとし国民の安寧を守り続けようとした主人公カリヤは、王都に侵入した魔獣に襲われそうになった少女を救うべく単独で撃破する。
あれ以来、少女エドナとは恋仲となるのだが「聖騎士」の称号を得るための試験を間近にカリヤの所属する騎士団内で潰し合いが発生。
カリヤは同期である上流貴族の子息アベルから平民出身だという理由で様々な嫌がらせを受けていたが、自身も聖騎士になるべく日々の努力を怠らないようにしていた。
そんなある日、アベルに呼び出された先でカリヤは絶望する。
恋人であるエドナがアベルに寝取られており、エドナが公爵家令嬢であることも明かされる。
それだけに留まらずカリヤは令嬢エドナに強姦をしたという濡れ衣を着せられ国王から処刑を言い渡されてしまう———
元勇者のデブ男が愛されハーレムを築くまで
あれい
ファンタジー
田代学はデブ男である。家族には冷たくされ、学校ではいじめを受けてきた。高校入学を前に一人暮らしをするが、高校に行くのが憂鬱だ。引っ越し初日、学は異世界に勇者召喚され、魔王と戦うことになる。そして7年後、学は無事、魔王討伐を成し遂げ、異世界から帰還することになる。だが、学を召喚した女神アイリスは元の世界ではなく、男女比が1:20のパラレルワールドへの帰還を勧めてきて……。
若返った! 追放底辺魔術師おじさん〜ついでに最強の魔術の力と可愛い姉妹奴隷も手に入れたので今度は後悔なく生きてゆく〜
シトラス=ライス
ファンタジー
パーティーを追放された、右足が不自由なおじさん魔術師トーガ。
彼は失意の中、ダンジョンで事故に遭い、死の危機に瀕していた。
もはやこれまでと自害を覚悟した彼は、旅人からもらった短剣で自らの腹を裂き、惨めな生涯にピリオドを……打ってはいなかった!?
目覚めると体が異様に軽く、何が起こっているのかと泉へ自分の姿を映してみると……「俺、若返ってる!?」
まるで10代のような若返った体と容姿!
魔法の要である魔力経路も何故か再構築・最適化!
おかげで以前とは比較にならないほどの、圧倒的な魔術の力を手にしていた!
しかも長年、治療不可だった右足さえも自由を取り戻しているっ!!
急に若返った理由は不明。しかしトーガは現世でもう一度、人生をやり直す機会を得た。
だったら、もう二度と後悔をするような人生を送りたくはない。
かつてのように腐らず、まっすぐと、ここからは本気で生きてゆく! 仲間たちと共に!
俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~
草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★
男性向けHOTランキングトップ10入り感謝!
王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。
だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。
周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。
そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。
しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。
そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。
しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。
あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。
自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。
クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える
ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─
これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる