284 / 336
284
しおりを挟む
【ん? キーラは、私たちが黒いものが見える理由分かってるのか?】
適当に考えていて出た言葉に、カークが喰いついた。
「分かるって言うか、なんとなくなんだけど、予言に関係ある人と、ない人……じゃないかなって思ったんだけど」
【ん?】
「見えるのは私と、カークとデリックでしょ」
【……あぁ、そうか、そう言えばそうだな】
少し考えてから、カークが頷いた。
「でも、お父さんって、予言に関係ないよね?」
【関係ないのか?】
「うーん。私が知っている分では、お父さん出てこないよ。でも、見えたから、ピーちゃんと一緒にいたから見えるのかなって……思ったけど」
【けど?】
「……その前から見えてたの思い出した」
【その前?】
「デリックが私を叩いた時……あの時お父さんは私の側にいて、デリックの腕に黒い靄がかかっていたのを見てたんだよね」
【それは、ルキッシュ王も、予言に関係あるってことか?】
と、聞かれても、
「うーん、関係あるのかなぁ?」
いろいろこんがらがっていて、私もよく分からないから首を傾げる。
――――大体、キーラのお父さんって、ゲームでもラーシュがお父さんだったっけ?
私が覚えている、キーラの記憶では、父親はチェルノと言うことになっていた。
ラーシュと言う“お父さん”が出てくる事は無い。
「ねぇ、カーク、カークの知ってる予言で、ラスボスとの戦いの記録ってある?」
【ラスボス? 戦い?】
「えーっと、私……キーラって、話の途中でカーク達と戦うでしょ?」
【……戦わない】
「分かってる、予言の話だよ。で、キーラを倒した後、もう一回戦う事になってるよね?」
【ちょっと待ってくれ】
カークがそう言って固まる。
何か考えているのか、思い出しているのか。
【……そうだな。闇の存在を倒す、とあるな】
「その詳しい内容って分かる?」
【……詳しい内容?】
「それが誰かとか、どんなものか、とか」
カークがまた固まった。暫く止まって、首を振った。
【……すまない、少し量が多い。すぐには精査出来ない……明日までに調べておくよ】
「明日……」
【嫌か?】
うん、面倒……って言ったらまた怒るよね。
「……ううん。いいけど……」
【すごく嫌そうだけど、私と話すのが嫌なのか?】
「えーっとそうじゃなくて……」
凄く悲しそうな声に罪悪感。理由くらい教えたほうがいいのかな。
「ちょっと諸事情により、今の姿をカークに見せなくない」
【……何で?】
「何でって……」
【キーラの風貌が少し違っていたって父から聞いたよ。そのせい?】
「うん」
やっぱり陛下、そう言った事も話してるんだ。
【どう変わったかは聞いてないけど、すごく綺麗だって言っていた】
「……そんなことないよ」
【じゃあ、そのフード取って見せて】
「ヤダ」
【何で……父には見せたのに?】
あの時は急でそこまで気が回らなかったから……。
「……だって、恥ずかしい」
【……恥ずかしいって】
「カークには分からないよ」
ムッとしてそう言うと、肩をすくめる仕草の後、ため息が聞こえた。
【……そうか……】
「ごめん」
【いや、キーラが嫌ならしょうがない……他に何かある?】
カークはあっさりと話題を元に戻した。
もうそろそろ通信が切れるころなのかもしれない。
「キーラのお父さんが予言では誰になってるかも、調べてほしい」
【キーラの父はルキッシュ王だろう?】
「今はそうだけど、多分予言ではチェルノになってるんじゃないかなって思う」
【チェルノは……】
「分かってる、でも一応調べて。なんか気になるから」
【分かった……明日もこれくらいの時間でいい?】
やっぱり明日も……なんだ。
「うん」
【気が向いたら、そのマントはやめてほしい】
いや、たぶんそれは無理。
適当に考えていて出た言葉に、カークが喰いついた。
「分かるって言うか、なんとなくなんだけど、予言に関係ある人と、ない人……じゃないかなって思ったんだけど」
【ん?】
「見えるのは私と、カークとデリックでしょ」
【……あぁ、そうか、そう言えばそうだな】
少し考えてから、カークが頷いた。
「でも、お父さんって、予言に関係ないよね?」
【関係ないのか?】
「うーん。私が知っている分では、お父さん出てこないよ。でも、見えたから、ピーちゃんと一緒にいたから見えるのかなって……思ったけど」
【けど?】
「……その前から見えてたの思い出した」
【その前?】
「デリックが私を叩いた時……あの時お父さんは私の側にいて、デリックの腕に黒い靄がかかっていたのを見てたんだよね」
【それは、ルキッシュ王も、予言に関係あるってことか?】
と、聞かれても、
「うーん、関係あるのかなぁ?」
いろいろこんがらがっていて、私もよく分からないから首を傾げる。
――――大体、キーラのお父さんって、ゲームでもラーシュがお父さんだったっけ?
私が覚えている、キーラの記憶では、父親はチェルノと言うことになっていた。
ラーシュと言う“お父さん”が出てくる事は無い。
「ねぇ、カーク、カークの知ってる予言で、ラスボスとの戦いの記録ってある?」
【ラスボス? 戦い?】
「えーっと、私……キーラって、話の途中でカーク達と戦うでしょ?」
【……戦わない】
「分かってる、予言の話だよ。で、キーラを倒した後、もう一回戦う事になってるよね?」
【ちょっと待ってくれ】
カークがそう言って固まる。
何か考えているのか、思い出しているのか。
【……そうだな。闇の存在を倒す、とあるな】
「その詳しい内容って分かる?」
【……詳しい内容?】
「それが誰かとか、どんなものか、とか」
カークがまた固まった。暫く止まって、首を振った。
【……すまない、少し量が多い。すぐには精査出来ない……明日までに調べておくよ】
「明日……」
【嫌か?】
うん、面倒……って言ったらまた怒るよね。
「……ううん。いいけど……」
【すごく嫌そうだけど、私と話すのが嫌なのか?】
「えーっとそうじゃなくて……」
凄く悲しそうな声に罪悪感。理由くらい教えたほうがいいのかな。
「ちょっと諸事情により、今の姿をカークに見せなくない」
【……何で?】
「何でって……」
【キーラの風貌が少し違っていたって父から聞いたよ。そのせい?】
「うん」
やっぱり陛下、そう言った事も話してるんだ。
【どう変わったかは聞いてないけど、すごく綺麗だって言っていた】
「……そんなことないよ」
【じゃあ、そのフード取って見せて】
「ヤダ」
【何で……父には見せたのに?】
あの時は急でそこまで気が回らなかったから……。
「……だって、恥ずかしい」
【……恥ずかしいって】
「カークには分からないよ」
ムッとしてそう言うと、肩をすくめる仕草の後、ため息が聞こえた。
【……そうか……】
「ごめん」
【いや、キーラが嫌ならしょうがない……他に何かある?】
カークはあっさりと話題を元に戻した。
もうそろそろ通信が切れるころなのかもしれない。
「キーラのお父さんが予言では誰になってるかも、調べてほしい」
【キーラの父はルキッシュ王だろう?】
「今はそうだけど、多分予言ではチェルノになってるんじゃないかなって思う」
【チェルノは……】
「分かってる、でも一応調べて。なんか気になるから」
【分かった……明日もこれくらいの時間でいい?】
やっぱり明日も……なんだ。
「うん」
【気が向いたら、そのマントはやめてほしい】
いや、たぶんそれは無理。
0
お気に入りに追加
295
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?
りーさん
恋愛
気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?
こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。
他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。
もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!
そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……?
※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。
1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
モブ令嬢ですが、悪役令嬢の妹です。
霜月零
恋愛
私は、ある日思い出した。
ヒロインに、悪役令嬢たるお姉様が言った一言で。
「どうして、このお茶会に平民がまぎれているのかしら」
その瞬間、私はこの世界が、前世やってた乙女ゲームに酷似した世界だと気が付いた。
思い出した私がとった行動は、ヒロインをこの場から逃がさない事。
だってここで走り出されたら、婚約者のいる攻略対象とヒロインのフラグが立っちゃうんだもの!!!
略奪愛ダメ絶対。
そんなことをしたら国が滅ぶのよ。
バッドエンド回避の為に、クリスティーナ=ローエンガルデ。
悪役令嬢の妹だけど、前世の知識総動員で、破滅の運命回避して見せます。
※他サイト様にも掲載中です。
悪役令嬢に転生したら溺愛された。(なぜだろうか)
どくりんご
恋愛
公爵令嬢ソフィア・スイートには前世の記憶がある。
ある日この世界が乙女ゲームの世界ということに気づく。しかも自分が悪役令嬢!?
悪役令嬢みたいな結末は嫌だ……って、え!?
王子様は何故か溺愛!?なんかのバグ!?恥ずかしい台詞をペラペラと言うのはやめてください!推しにそんなことを言われると照れちゃいます!
でも、シナリオは変えられるみたいだから王子様と幸せになります!
強い悪役令嬢がさらに強い王子様や家族に溺愛されるお話。
HOT1/10 1位ありがとうございます!(*´∇`*)
恋愛24h1/10 4位ありがとうございます!(*´∇`*)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる