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「ジョシュアだ」
私の問いに、あっさりと答えが出る。
あんまり簡単な答えで、それが誰のことか理解するのに少し時間がかかってしまった。
「ジョシュアって、学園の教師のジョシュア先生の事ですか?」
「そうだよ」
「……ジョシュア先生が、ミランダやアーサーを操っていたんですか?」
「どうやらそのようだ」
「どうやって」
ジョシュアは攻略対象者だから、何か特別なものを持っていてもおかしくない。
でも、頭の中のゲーム情報にはそれらしいことは何もない。
「それは、私にも分からない。不安定で掴みどころがない……どうやってそれを成しているのか。私にもまったく分からない」
お手上げと言うように陛下はそう言って、肩をすくめた。
「ジョシュアが学園の教師になったのは五年前だ。今回リーナがトクタムに向かった後、彼も学園からいなくなった。それで調べてみたら……」
「トクタムへ行った?」
「そう……予言に関係ある人物だったからよく調べたんだけれどね。上手いところをつかれてしまった」
ジョシュア・ウェルニアは、学園の教師で、【忘却のアビリティ】の攻略対象者の一人だ。攻略対象者の中では唯一年上で、ゲームでは陰ながらリーナを支援する……存在。
教師と言う立場なら、学園内でフランクやデリックには同じ取り巻きとして、ミランダは担任として、アーサーには生徒の保護者として、自然と近付くことができる。
確かに誰も疑わないだろう。
学園内の情報も、私やカーク達の動きも、取り放題だ。
「なら、先生はもともとトクタムの人なんですか?」
「そうだ」
ジョシュアはトクタム人の父と、フォルナトル人の母の間に生まれ、十五歳まで問題なくトクタムで育った。ところが十五歳になって、突然魔力が目覚めた。
トクタム人は魔力を持たず、魔法も使えない。ジョシュアは、不安定なままフォルナトルに住む祖母の元へと預けられた。そして、学園に通い、優秀な成績で卒業した。その後一度トクタムへ戻ったが、教師になりたいと学園へと戻ってきたと言う。
「その時、調べなかったんですか?」
「調べたよ。でもその時はフォルナトルで育ったことになっていた……今考えればその時も、誰かを操っていたのかもしれない」
私が知っているジョシュアは、入学当初からキーラのクラス担任で、特に印象のないごく普通の教師だった。リーナが学園に通うようになってからは、キーラが嫌がらせを受けていても見て見ぬふりで、いつの間にかリーナの取り巻きと言われていた。
最後に見たのは試験の時だったろうか?
「キーラ、黒い物の話をしてみたらどうだい?」
ずっと黙っていたお父さんが、私に声をかけた。
「キーラはあれが気になるんだろう?」
私の問いに、あっさりと答えが出る。
あんまり簡単な答えで、それが誰のことか理解するのに少し時間がかかってしまった。
「ジョシュアって、学園の教師のジョシュア先生の事ですか?」
「そうだよ」
「……ジョシュア先生が、ミランダやアーサーを操っていたんですか?」
「どうやらそのようだ」
「どうやって」
ジョシュアは攻略対象者だから、何か特別なものを持っていてもおかしくない。
でも、頭の中のゲーム情報にはそれらしいことは何もない。
「それは、私にも分からない。不安定で掴みどころがない……どうやってそれを成しているのか。私にもまったく分からない」
お手上げと言うように陛下はそう言って、肩をすくめた。
「ジョシュアが学園の教師になったのは五年前だ。今回リーナがトクタムに向かった後、彼も学園からいなくなった。それで調べてみたら……」
「トクタムへ行った?」
「そう……予言に関係ある人物だったからよく調べたんだけれどね。上手いところをつかれてしまった」
ジョシュア・ウェルニアは、学園の教師で、【忘却のアビリティ】の攻略対象者の一人だ。攻略対象者の中では唯一年上で、ゲームでは陰ながらリーナを支援する……存在。
教師と言う立場なら、学園内でフランクやデリックには同じ取り巻きとして、ミランダは担任として、アーサーには生徒の保護者として、自然と近付くことができる。
確かに誰も疑わないだろう。
学園内の情報も、私やカーク達の動きも、取り放題だ。
「なら、先生はもともとトクタムの人なんですか?」
「そうだ」
ジョシュアはトクタム人の父と、フォルナトル人の母の間に生まれ、十五歳まで問題なくトクタムで育った。ところが十五歳になって、突然魔力が目覚めた。
トクタム人は魔力を持たず、魔法も使えない。ジョシュアは、不安定なままフォルナトルに住む祖母の元へと預けられた。そして、学園に通い、優秀な成績で卒業した。その後一度トクタムへ戻ったが、教師になりたいと学園へと戻ってきたと言う。
「その時、調べなかったんですか?」
「調べたよ。でもその時はフォルナトルで育ったことになっていた……今考えればその時も、誰かを操っていたのかもしれない」
私が知っているジョシュアは、入学当初からキーラのクラス担任で、特に印象のないごく普通の教師だった。リーナが学園に通うようになってからは、キーラが嫌がらせを受けていても見て見ぬふりで、いつの間にかリーナの取り巻きと言われていた。
最後に見たのは試験の時だったろうか?
「キーラ、黒い物の話をしてみたらどうだい?」
ずっと黙っていたお父さんが、私に声をかけた。
「キーラはあれが気になるんだろう?」
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