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とうとうノックもなしに、扉が開いた。
どこからか走ってきたのだろう、肩で息をしている。
「キーラ! ルキッシュに行くって本当か!」
そう言いながらずかずかと入ってきて、ソファーに座っていた私の前に立つ。
「……うん。行くよ」
信じられないと言う顔のカークを見上げて、頷く。
「聞いてない」
「言ってない」
「何で……」
「だってこの二日会ってないじゃない。言う暇がなかった」
陛下が来た日、返事をした日から二日たっている。
その間、何故かカークに会うことは無かった。
アリーダさんは何度か呼んでくれようとしたけど、わざわざ呼んでもらうのも違うような気がして……来るのをただ待っていた。
「最初に言ってくれると思っていた」
「それは……悪かったと思うけど……カークに言ったら反対するでしょ?」
「当たり前だ! 何でキーラが行かなければならない?」
「それは、分からないけど……とりあえず、座ったら?」
上からの圧に耐えられなくて、私はそう隣を指差した。
カークは何故か少し躊躇った後、隣に座った。
あぁ、ちょっと話にくいか。
「何で行くことにしたんだ」
「うーん、陛下が行った方がいいって言うから、かな」
そう首を傾げて、続けた。
「それに、いつまでもこのままじゃ駄目だと思うし、他の人に迷惑をかけたくない」
「他の人って、ミランダ嬢のことか」
「そう、今回はミランダたちで、その前はフランク、だった」
「……どっちもキーラのせいじゃない」
「分かるけど、リーナは私を動かすために他の人を使うってことでしょ。このまま無視すればまた誰かを使ってくるよね。きっと」
カークが顔をしかめる。
「陛下が言っていたよね。リーナは私が予言通りに動かないのが嫌だって」
「そうらしいな」
「それに、リーナはまだカークを諦めてないんだって」
「何でだ。私はキーラを選んだ。もう変わらない」
「リーナは、知らないみたい。カークのその……」
「その?」
「その……習性?」
「……」
微妙な顔になる、よね。やっぱり。
だって、なんて言っていいか分からなかったんだよ。
「……だから、多分私がいなくなれば、きっとって、思ってると思う」
「それは、私がリーナを選ぶと言うことか?」
「うん。だって、ゲーム……予言ではカークはリーナを選んでいたから」
「それは絶対にない」
カークは私をまっすぐに見てそう言った。
私は黙ってカークを見つめ返した。
分かっている、とは返せない。
この世界の人はそれが当たり前みたいだけど、なんて言うか信じられない。
何より、よく分からない。
いや、何だろう。
――――そう、願いたい?
「キーラ?」
カークから目を反らす。
信じていないのを知られたくない。
「キーラ?」
「カーク、ルキッシュって列車でたった一日くらいの距離なんだってね」
「あぁ、そうだ」
「行って何するのか分からないけど、すぐ帰ってくるから……」
私は反らした目をもう一度カークに戻した。そして小さくつぶやいてみた。
「それまで、ちゃんと、待っていて」
って。
どこからか走ってきたのだろう、肩で息をしている。
「キーラ! ルキッシュに行くって本当か!」
そう言いながらずかずかと入ってきて、ソファーに座っていた私の前に立つ。
「……うん。行くよ」
信じられないと言う顔のカークを見上げて、頷く。
「聞いてない」
「言ってない」
「何で……」
「だってこの二日会ってないじゃない。言う暇がなかった」
陛下が来た日、返事をした日から二日たっている。
その間、何故かカークに会うことは無かった。
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「最初に言ってくれると思っていた」
「それは……悪かったと思うけど……カークに言ったら反対するでしょ?」
「当たり前だ! 何でキーラが行かなければならない?」
「それは、分からないけど……とりあえず、座ったら?」
上からの圧に耐えられなくて、私はそう隣を指差した。
カークは何故か少し躊躇った後、隣に座った。
あぁ、ちょっと話にくいか。
「何で行くことにしたんだ」
「うーん、陛下が行った方がいいって言うから、かな」
そう首を傾げて、続けた。
「それに、いつまでもこのままじゃ駄目だと思うし、他の人に迷惑をかけたくない」
「他の人って、ミランダ嬢のことか」
「そう、今回はミランダたちで、その前はフランク、だった」
「……どっちもキーラのせいじゃない」
「分かるけど、リーナは私を動かすために他の人を使うってことでしょ。このまま無視すればまた誰かを使ってくるよね。きっと」
カークが顔をしかめる。
「陛下が言っていたよね。リーナは私が予言通りに動かないのが嫌だって」
「そうらしいな」
「それに、リーナはまだカークを諦めてないんだって」
「何でだ。私はキーラを選んだ。もう変わらない」
「リーナは、知らないみたい。カークのその……」
「その?」
「その……習性?」
「……」
微妙な顔になる、よね。やっぱり。
だって、なんて言っていいか分からなかったんだよ。
「……だから、多分私がいなくなれば、きっとって、思ってると思う」
「それは、私がリーナを選ぶと言うことか?」
「うん。だって、ゲーム……予言ではカークはリーナを選んでいたから」
「それは絶対にない」
カークは私をまっすぐに見てそう言った。
私は黙ってカークを見つめ返した。
分かっている、とは返せない。
この世界の人はそれが当たり前みたいだけど、なんて言うか信じられない。
何より、よく分からない。
いや、何だろう。
――――そう、願いたい?
「キーラ?」
カークから目を反らす。
信じていないのを知られたくない。
「キーラ?」
「カーク、ルキッシュって列車でたった一日くらいの距離なんだってね」
「あぁ、そうだ」
「行って何するのか分からないけど、すぐ帰ってくるから……」
私は反らした目をもう一度カークに戻した。そして小さくつぶやいてみた。
「それまで、ちゃんと、待っていて」
って。
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