96 / 336
96
しおりを挟む
うへぇ、と内心思いながら、ダリルの爵位を継いだら分かると言うのが気になった。
そう言えば、カークが帰ってきたら当主になる契約をすると言っていた。それに関係があるだろうか?
「アディソン家は、ダリルが爵位を継ぐの?」
「どうだろうな。一応長男だから、継ぐかもな」
「かもなって」
「選ばれなければどうしようもないだろう?」
「選ばれる? 誰に?」
「父と陛下、だ」
「選ばれなければどうなるの?」
「今まで通りだ」
ダリルはそう肩をすくめた。
「家からは出るかもしれないが、騎士団に所属して、普通に結婚するだろうな」
「結婚!」
「なんで驚くんだ。するだろ、普通」
「普通……って、相手は?」
「おい、おまえなぁ」
思い切りのため息。
すみません。なんとなく口に出てしまいました。
「もしかして、婚約者とかっているの?」
「いや、居ない」
「好きな人は?」
「だから、何故それを聞く。デリカシーってものがないのか」
「だって、貴族って政略結婚とかで婚約者がいるのが普通かと思って」
不思議だった。
ゲーム【忘却のアビリティ】に悪役令嬢はキーラだけ。
そのキーラは攻略対象者の誰とも絡まない。
攻略対象者には女の影もない。高感度さえ上げれば、ヒロインの一人勝ちだ。
でも、ヒロインへの嫌がらせはある。(←これはキーラはやっていない)
それは何故なのかって。
「それはどこの国の話だ……」
「違うの?」
「違うな。そうか、キーラは……知らないか。知らないよな」
呆れられてしまった。
「じゃあ政略結婚ってないの?」
「ある。が、まれだ。殆どないと言ってもいいくらい少ないな。他国の人間と結婚する場合くらいだな。それでも他国はどうか知らないが、この国では本人が嫌がればナシだ。政略と言っても名ばかりだな」
「へぇ。じゃあ、ほぼ恋愛結婚ってこと?」
「そう、なるな」
「身分は?」
「関係ない」
そうなのか。だから、攻略対象者にも婚約者がいないのか。
そこはゲーム通りになるんだ。
「なら、婚約もしないの?」
「一応結婚を決めて、結婚式までの間が婚約期間になる。最大でも一年くらいが普通だ」
「ふーん」
「社交界が出会いの場だけど、今、適齢期の男女は出席していない」
「何で?」
「殿下の相手がまだ決まっていないから」
「は? え? 殿下ってカークでしょ?」
何でそこでカークが出てくるの?
「説明が難しいな。これまでの王家の前例から見て、王太子が伴侶を選んだ平均は十八歳から二十三歳くらいだ。だから、この国の殿下を狙う、殿下に年が近い女子は殿下が社交界に出る十八歳まで、皆家にこもっている」
「何で? 別にこもらなくても。学園だってあるし」
「キーラは一般クラスか?」
「うん」
「そうか。殿下は別棟じゃないか?」
「あ」
あ、そうか。リーナへのいやがらせは、そう言うことなのか。
カークを狙っている多くの女子が、暗黙の了解を破るリーナを面白くなかったってことか。
「それは分かったけど、なんでダリルも……」
「キーラ、さっきも言ったけど、少しデリカシーってのを覚えたほうがいいぞ」
そう言えば、カークが帰ってきたら当主になる契約をすると言っていた。それに関係があるだろうか?
「アディソン家は、ダリルが爵位を継ぐの?」
「どうだろうな。一応長男だから、継ぐかもな」
「かもなって」
「選ばれなければどうしようもないだろう?」
「選ばれる? 誰に?」
「父と陛下、だ」
「選ばれなければどうなるの?」
「今まで通りだ」
ダリルはそう肩をすくめた。
「家からは出るかもしれないが、騎士団に所属して、普通に結婚するだろうな」
「結婚!」
「なんで驚くんだ。するだろ、普通」
「普通……って、相手は?」
「おい、おまえなぁ」
思い切りのため息。
すみません。なんとなく口に出てしまいました。
「もしかして、婚約者とかっているの?」
「いや、居ない」
「好きな人は?」
「だから、何故それを聞く。デリカシーってものがないのか」
「だって、貴族って政略結婚とかで婚約者がいるのが普通かと思って」
不思議だった。
ゲーム【忘却のアビリティ】に悪役令嬢はキーラだけ。
そのキーラは攻略対象者の誰とも絡まない。
攻略対象者には女の影もない。高感度さえ上げれば、ヒロインの一人勝ちだ。
でも、ヒロインへの嫌がらせはある。(←これはキーラはやっていない)
それは何故なのかって。
「それはどこの国の話だ……」
「違うの?」
「違うな。そうか、キーラは……知らないか。知らないよな」
呆れられてしまった。
「じゃあ政略結婚ってないの?」
「ある。が、まれだ。殆どないと言ってもいいくらい少ないな。他国の人間と結婚する場合くらいだな。それでも他国はどうか知らないが、この国では本人が嫌がればナシだ。政略と言っても名ばかりだな」
「へぇ。じゃあ、ほぼ恋愛結婚ってこと?」
「そう、なるな」
「身分は?」
「関係ない」
そうなのか。だから、攻略対象者にも婚約者がいないのか。
そこはゲーム通りになるんだ。
「なら、婚約もしないの?」
「一応結婚を決めて、結婚式までの間が婚約期間になる。最大でも一年くらいが普通だ」
「ふーん」
「社交界が出会いの場だけど、今、適齢期の男女は出席していない」
「何で?」
「殿下の相手がまだ決まっていないから」
「は? え? 殿下ってカークでしょ?」
何でそこでカークが出てくるの?
「説明が難しいな。これまでの王家の前例から見て、王太子が伴侶を選んだ平均は十八歳から二十三歳くらいだ。だから、この国の殿下を狙う、殿下に年が近い女子は殿下が社交界に出る十八歳まで、皆家にこもっている」
「何で? 別にこもらなくても。学園だってあるし」
「キーラは一般クラスか?」
「うん」
「そうか。殿下は別棟じゃないか?」
「あ」
あ、そうか。リーナへのいやがらせは、そう言うことなのか。
カークを狙っている多くの女子が、暗黙の了解を破るリーナを面白くなかったってことか。
「それは分かったけど、なんでダリルも……」
「キーラ、さっきも言ったけど、少しデリカシーってのを覚えたほうがいいぞ」
2
お気に入りに追加
298
あなたにおすすめの小説
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)
みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。
ヒロインの意地悪な姉役だったわ。
でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。
ヒロインの邪魔をせず、
とっとと舞台から退場……の筈だったのに……
なかなか家から離れられないし、
せっかくのチートを使いたいのに、
使う暇も無い。
これどうしたらいいのかしら?
秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話
嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。
【あらすじ】
イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。
しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。
ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。
そんな一家はむしろ互いに愛情過多。
あてられた周りだけ食傷気味。
「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」
なんて養女は言う。
今の所、魔法を使った事ないんですけどね。
ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。
僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。
一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。
生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。
でもスローなライフは無理っぽい。
__そんなお話。
※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。
※他サイトでも掲載中。
※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。
※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。
※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。
転生者の取り巻き令嬢は無自覚に無双する
山本いとう
ファンタジー
異世界へと転生してきた悪役令嬢の取り巻き令嬢マリアは、辺境にある伯爵領で、世界を支配しているのは武力だと気付き、生き残るためのトレーニングの開発を始める。
やがて人智を超え始めるマリア式トレーニング。
人外の力を手に入れるモールド伯爵領の面々。
当然、武力だけが全てではない貴族世界とはギャップがある訳で…。
脳筋猫かぶり取り巻き令嬢に、王国中が振り回される時は近い。
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
転生5回目!? こ、今世は楽しく長生きします!
実川えむ
ファンタジー
猫獣人のロジータ、10歳。
冒険者登録して初めての仕事で、ダンジョンのポーターを務めることになったのに、
なぜか同行したパーティーメンバーによって、ダンジョンの中の真っ暗闇の竪穴に落とされてしまった。
「なーんーでーっ!」
落下しながら、ロジータは前世の記憶というのを思い出した。
ただそれが……前世だけではなく、前々々々世……4回前? の記憶までも思い出してしまった。
ここから、ロジータのスローなライフを目指す、波乱万丈な冒険が始まります。
ご都合主義なので、スルーと流して読んで頂ければありがたいです。
セルフレイティングは念のため。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる