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74 カーラの日記1
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考え込んでつい長風呂をしてしまった私は、あまりの長さに心配になったアリーダさんによってお風呂から引きずりだされた。
アリーダさんの魔法で全身乾燥のあと、ソファーの上で頭を冷やしている。
「大丈夫ですか? お嬢様」
「大丈夫です。すみません、ご迷惑をおかけして」
「……今日はこのままお休みになられますか?」
「そう、します」
心配そうに、でも呆れたようなアリーダさんの提案に、私はおとなしく頷く。
もう十分寝たので、多少のぼせたからと言って流石に眠れそうにはないが、これ以上ご迷惑はかけられない。
「ではそのように準備いたしますね。それと、お坊ちゃまが少しお話をしたいとのことですが、いかがなさいますか?」
いつもなら勝手に来るくせに、わざわざアリーダさんを通すなんて。
アリーダさんが私の言葉を伝えたからだろうか?
どちらにしても、逃げられないし、こんな風に尋ねられれば断るわけにもいかないだろう。
「明日なら、大丈夫です」
「そうですか。ではそのようにお伝えしますね。ですが、いろいろ大変なことがあったのですから無理はなさらなくてよろしいのですよ。前も言いましたが、お坊ちゃまのことが面倒なら、遠慮せずおっしゃってくださいね」
と、アリーダさんはほほ笑む。
「面倒とかじゃないんです。ただ、少し考える時間が欲しいんです」
考えたからと言って分かるわけでもないだろうけど、自分の中でもう少し整理したい。
「……分かりました。明日の午後まで、お坊ちゃまをこちらに近づけないようにいたしますね」
そう決意を込めるアリーダさんに、思わず笑ってしまった。
「私はこれで下がらせていただきますので、この後はご自由にお過ごしください」
何かあったらベルを必ず鳴らしてくださいね、とベルをしっかりと手に押し付けられた。
―――本当にすみません、ご迷惑ばかりおかけして
ぼーっとなっていた頭から熱が取れ、動けるようになるまで結構かかった。
ようやく立ち上がってもふらふらしなくなったところで、なかなか見ることが出来なかったお母様のノートを鞄から出した。
テーブルに移動して、ノートを開く。
3ページ目のニコちゃんマークに触れると、文字が浮かび上がった。
***
物語はどこまで進んだかしら。
私はゲームをやりこむ方じゃない。
でもこの【忘却のアビリティ】は結構やった方だと思う。
自慢じゃないが、一応全員チャレンジはした。
ちなみに、ハッピーエンドは半分以下だった。
今日は、キーラを王城に初めて連れて行った。
本当はしてはいけないことだけど、私が死ぬまでにキーラが覚醒しなければ、キーラのことを攻略対象者の誰も知らないまま物語が始まってしまうことになると思った。だから、物語に関係がある人間にキーラが私の娘だと知っておいてもらうだけで、何か変わるかもしれないなんて思ったからなんだけど。
会わせた、と言うか、見せたって言うか。
直接紹介は出来ないから、お茶会がある庭園の噴水のあっち側とこっち側くらいの距離で、キーラからは見えない場所から家の娘ですと言ってみた。
多分、上手くいったと思う。
興味は持ってもらえたのは間違いない。
***
「これって、カークが言っていた、初めてキーラを見た日のことかな?」
カークにキーラを見せたのは、お母様の作戦だったのか。
キーラには、王城に行った記憶は無いみたいだけど。
「誰にも会わなかったなら、公園に遊びに行ったくらいにしか思わなかったとか?」
考えるのは後にして、とりあえず次に行くか。
私はページをめくり、ニコちゃんマークに触れた。
アリーダさんの魔法で全身乾燥のあと、ソファーの上で頭を冷やしている。
「大丈夫ですか? お嬢様」
「大丈夫です。すみません、ご迷惑をおかけして」
「……今日はこのままお休みになられますか?」
「そう、します」
心配そうに、でも呆れたようなアリーダさんの提案に、私はおとなしく頷く。
もう十分寝たので、多少のぼせたからと言って流石に眠れそうにはないが、これ以上ご迷惑はかけられない。
「ではそのように準備いたしますね。それと、お坊ちゃまが少しお話をしたいとのことですが、いかがなさいますか?」
いつもなら勝手に来るくせに、わざわざアリーダさんを通すなんて。
アリーダさんが私の言葉を伝えたからだろうか?
どちらにしても、逃げられないし、こんな風に尋ねられれば断るわけにもいかないだろう。
「明日なら、大丈夫です」
「そうですか。ではそのようにお伝えしますね。ですが、いろいろ大変なことがあったのですから無理はなさらなくてよろしいのですよ。前も言いましたが、お坊ちゃまのことが面倒なら、遠慮せずおっしゃってくださいね」
と、アリーダさんはほほ笑む。
「面倒とかじゃないんです。ただ、少し考える時間が欲しいんです」
考えたからと言って分かるわけでもないだろうけど、自分の中でもう少し整理したい。
「……分かりました。明日の午後まで、お坊ちゃまをこちらに近づけないようにいたしますね」
そう決意を込めるアリーダさんに、思わず笑ってしまった。
「私はこれで下がらせていただきますので、この後はご自由にお過ごしください」
何かあったらベルを必ず鳴らしてくださいね、とベルをしっかりと手に押し付けられた。
―――本当にすみません、ご迷惑ばかりおかけして
ぼーっとなっていた頭から熱が取れ、動けるようになるまで結構かかった。
ようやく立ち上がってもふらふらしなくなったところで、なかなか見ることが出来なかったお母様のノートを鞄から出した。
テーブルに移動して、ノートを開く。
3ページ目のニコちゃんマークに触れると、文字が浮かび上がった。
***
物語はどこまで進んだかしら。
私はゲームをやりこむ方じゃない。
でもこの【忘却のアビリティ】は結構やった方だと思う。
自慢じゃないが、一応全員チャレンジはした。
ちなみに、ハッピーエンドは半分以下だった。
今日は、キーラを王城に初めて連れて行った。
本当はしてはいけないことだけど、私が死ぬまでにキーラが覚醒しなければ、キーラのことを攻略対象者の誰も知らないまま物語が始まってしまうことになると思った。だから、物語に関係がある人間にキーラが私の娘だと知っておいてもらうだけで、何か変わるかもしれないなんて思ったからなんだけど。
会わせた、と言うか、見せたって言うか。
直接紹介は出来ないから、お茶会がある庭園の噴水のあっち側とこっち側くらいの距離で、キーラからは見えない場所から家の娘ですと言ってみた。
多分、上手くいったと思う。
興味は持ってもらえたのは間違いない。
***
「これって、カークが言っていた、初めてキーラを見た日のことかな?」
カークにキーラを見せたのは、お母様の作戦だったのか。
キーラには、王城に行った記憶は無いみたいだけど。
「誰にも会わなかったなら、公園に遊びに行ったくらいにしか思わなかったとか?」
考えるのは後にして、とりあえず次に行くか。
私はページをめくり、ニコちゃんマークに触れた。
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