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アーサーの言っていた通り、お母様もこの世界に聖女と言う概念がないと書いてあった。リーナは聖女になるはずなのに、聖女と言う存在がいないなら、この世界はゲームではなく、ゲームに似た世界と言うことなんだろうか?
リーナには魔力がない。
聖女の力と魔力は関係がないのだろうか?
ゲームの中で、聖女って何していたっけ?
いつも攻略対象者といちゃいちゃしているような気がするけど、実際何か特別なことってしていたろうか?
「ラスボスがおまけ……」
キーラにてこずる分、ラスボスは意外とあっさりやっつけられるとか? だいたい、いくら選ばれたからって乙女ゲームでもなければ、そんな簡単にそこらのにーちゃんたちが勇者になんてなれるわけがない。
じゃあ、もしかして、ここからはフツーの学生生活?
「そんなわけないか……」
それにしても、お母様の日記を読んでも、スチル一枚思い出さないのって何でだろう?
デリックに殴られた時も映像で浮かんでくれればいいのに、プレゼンみたいにフリップボードが次々現れて文字と声での説明だったような……。
「そう言えば、私、もの覚えが悪かったのよね……」
キーラは賢いみたいだけど、元の私はどちらかと言うと賢いふりをしている馬鹿だった。
ゲームはもちろん、小説も漫画もアニメも大好きで、さらにいろんなものをため込む習性を持っていた。当然いろいろなものに手を出し一人喜んでいたのは言うまでもない。
そして、乙女ゲームでも何でも、キャラより、ストーリーそのものとか、雰囲気とかミニゲームを愛していた。ひどい時はキャラの名前すら覚えていないものもあった。
乙女ゲームもたくさんやった。やったのは間違いない。けど、どうもこの世界に通じるような確かな記憶が、こんなにもないと言うのもひどい。
キャラに興味が無くともやりこんでいたなら、いくらなんでも、何かひとつくらいお気に入りのスチルなり、セリフなりがあっていいはずだ。
異世界転生ってだいたい死の間際やっていたとか、推しがいるとか、そう言った思い入れのあるゲームに転生するのが多いから、この世界のゲームをやったと思い込んでいたけど。
「……もしかして、私、このゲームやってない?」
「ビー!!」
「痛ッ!」
つぶやいた私に、ピーちゃんが突然サンドイッチから飛んできて手を噛んだ。
「どうしたの、急に。もうご飯は終わり? うわっ、バターまみれじゃない。どうすればそんなに汚れられるの」
「ニク、スキ。ニク、オクニアル」
「はいはい。お風呂作ってあげるから、体を洗って」
「ミズ、キライ。マホウ、ツカウ」
「ピーちゃん、魔法使えるの?」
「……スコシ」
目を反らされる。
それは少しじゃないということですか?
「ここで魔法はダメ」
「ドウシテ」
「それは……なんとなく」
いろいろダメな気がする。
あー、なんか頭が痛くなってきた。
「ドウシタ? ドコカ、イタイノカ」
「うん。なんか急に疲れちゃった」
「オレ、オフロハイル。ドア、アケル。オマエ、モウネル」
私はピーちゃんのためにお風呂場のドアを開け、手洗い場に水をためてあげた。
「ノゾクナ」
と言われので、ちょっと早いけど、私は寝た。
そして、次の日の朝、マリーにこっぴどく怒られた。
ピーちゃんがお風呂場を大変な状態にした、らしい。
リーナには魔力がない。
聖女の力と魔力は関係がないのだろうか?
ゲームの中で、聖女って何していたっけ?
いつも攻略対象者といちゃいちゃしているような気がするけど、実際何か特別なことってしていたろうか?
「ラスボスがおまけ……」
キーラにてこずる分、ラスボスは意外とあっさりやっつけられるとか? だいたい、いくら選ばれたからって乙女ゲームでもなければ、そんな簡単にそこらのにーちゃんたちが勇者になんてなれるわけがない。
じゃあ、もしかして、ここからはフツーの学生生活?
「そんなわけないか……」
それにしても、お母様の日記を読んでも、スチル一枚思い出さないのって何でだろう?
デリックに殴られた時も映像で浮かんでくれればいいのに、プレゼンみたいにフリップボードが次々現れて文字と声での説明だったような……。
「そう言えば、私、もの覚えが悪かったのよね……」
キーラは賢いみたいだけど、元の私はどちらかと言うと賢いふりをしている馬鹿だった。
ゲームはもちろん、小説も漫画もアニメも大好きで、さらにいろんなものをため込む習性を持っていた。当然いろいろなものに手を出し一人喜んでいたのは言うまでもない。
そして、乙女ゲームでも何でも、キャラより、ストーリーそのものとか、雰囲気とかミニゲームを愛していた。ひどい時はキャラの名前すら覚えていないものもあった。
乙女ゲームもたくさんやった。やったのは間違いない。けど、どうもこの世界に通じるような確かな記憶が、こんなにもないと言うのもひどい。
キャラに興味が無くともやりこんでいたなら、いくらなんでも、何かひとつくらいお気に入りのスチルなり、セリフなりがあっていいはずだ。
異世界転生ってだいたい死の間際やっていたとか、推しがいるとか、そう言った思い入れのあるゲームに転生するのが多いから、この世界のゲームをやったと思い込んでいたけど。
「……もしかして、私、このゲームやってない?」
「ビー!!」
「痛ッ!」
つぶやいた私に、ピーちゃんが突然サンドイッチから飛んできて手を噛んだ。
「どうしたの、急に。もうご飯は終わり? うわっ、バターまみれじゃない。どうすればそんなに汚れられるの」
「ニク、スキ。ニク、オクニアル」
「はいはい。お風呂作ってあげるから、体を洗って」
「ミズ、キライ。マホウ、ツカウ」
「ピーちゃん、魔法使えるの?」
「……スコシ」
目を反らされる。
それは少しじゃないということですか?
「ここで魔法はダメ」
「ドウシテ」
「それは……なんとなく」
いろいろダメな気がする。
あー、なんか頭が痛くなってきた。
「ドウシタ? ドコカ、イタイノカ」
「うん。なんか急に疲れちゃった」
「オレ、オフロハイル。ドア、アケル。オマエ、モウネル」
私はピーちゃんのためにお風呂場のドアを開け、手洗い場に水をためてあげた。
「ノゾクナ」
と言われので、ちょっと早いけど、私は寝た。
そして、次の日の朝、マリーにこっぴどく怒られた。
ピーちゃんがお風呂場を大変な状態にした、らしい。
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