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アーサーが私の手を取り、目を閉じた。
魔力が手を覆うのが分かる。
「ダリル様は結構な魔法の使い手ですね」
「そうなの?」
「ええ、とても繊細で綺麗な魔法になっていますよ」
言って、アーサーが手を離した。
「ダリル様は治癒魔法の使い手ですからね。治癒魔法を使えない人間より、高度で繊細な魔法が使えるし、同じ魔法でもかなり強くなります」
「そう言うものなの」
「そう言うものです。で、どうしますか?」
「何が?」
「このままダリル様の魔法の下にいるか、断ち切るか」
言っている意味が良く分からなくて、首を傾げる。
「魔法の下って、ストーカー?」
「そこまでではないです。お嬢様に何かあれば連絡が行く感じでしょうか」
「えっ! 何かって何?」
「デリック様に殴られた時のような、お嬢様に危害が加えられそうな時です」
「防犯ブザーみたいな感じ?」
「防犯ブザーは分かりませんが、貴族ではよく使われる魔法です。普通は幼子に使います」
幼子……やっぱりダリルはキーラを子供扱いしていたわけか。
「断ち切っても大丈夫なの?」
「大丈夫、とは?」
「相手に知られない? ダリル様が走ってきたりしない?」
「当然、断ち切るなら分かるように切りますよ。家のお嬢様に勝手にひも付けするなんて、私たちに喧嘩を売っているようなものです」
アーサーがまた怒っている。
「そのままにしておくと何か悪いことってあるの?」
「特に何も。お嬢様が危機になった時、多分ダリル様が助けにきてくれるだけです」
今無理に断ち切って、ダリルの気持ちを害するのも面倒なことになりそうだしなぁ。
「どうします?」
「なんか面倒なことになりそうだから、暫くはこのままにしておくわ」
「……お嬢様がそう言うなら、かまいませんよ。嫌になったら行ってくださればすぐに断ち切りますので」
にっこりとほほ笑むアーサーの顔が意地悪い。
「私が魔法を使えるようになれば、こんなことも無いのかな?」
そう首を傾げると、アーサーは顔をしかめた。
「お嬢様が悪いわけじゃないですよ。デリック様とダリル様が、お嬢様に無断で勝手なことをするのが悪いのです」
「でも、魔法が使えたらこんなことされないでしょ?」
「そうですが。普通の人はこんなことしないし、簡単にできません。もしかしたら、アディソン家の血なのかもしれませんよ」
「血?」
「あの家は代々騎士ですからね。守りたいものが出来ると、つい魔法があふれて加護を与えてしまうのでしょう。良い言い方をすれば、ですが」
魔法って溢れるんだとか思っていたら、アーサーが困ったような顔になった。
「デリック様は多分そこまで考えていなさそうですし、ダリル様はお嬢様を心配なさってのことでしょう。二人の魔法からは悪意は全く見えませんし」
「魔法ってそんなところまで見えるんだ。凄いね」
「私の魔法特性は特別なんですよ」
褒めたら嬉しそうだ。アーサーはこれから褒めるようにしよう。
「他に心配なことはありますか?」
「あ、もう心は読めないんだよね」
「大丈夫ですよ」
「それならよかった。じゃあ、しばらくこのままで、嫌になったら本人に切ってもらいに行く」
「お嬢様、そんなことしたらもっと面倒なことになりますよ。お願いですから、大人しくしていてください」
魔力が手を覆うのが分かる。
「ダリル様は結構な魔法の使い手ですね」
「そうなの?」
「ええ、とても繊細で綺麗な魔法になっていますよ」
言って、アーサーが手を離した。
「ダリル様は治癒魔法の使い手ですからね。治癒魔法を使えない人間より、高度で繊細な魔法が使えるし、同じ魔法でもかなり強くなります」
「そう言うものなの」
「そう言うものです。で、どうしますか?」
「何が?」
「このままダリル様の魔法の下にいるか、断ち切るか」
言っている意味が良く分からなくて、首を傾げる。
「魔法の下って、ストーカー?」
「そこまでではないです。お嬢様に何かあれば連絡が行く感じでしょうか」
「えっ! 何かって何?」
「デリック様に殴られた時のような、お嬢様に危害が加えられそうな時です」
「防犯ブザーみたいな感じ?」
「防犯ブザーは分かりませんが、貴族ではよく使われる魔法です。普通は幼子に使います」
幼子……やっぱりダリルはキーラを子供扱いしていたわけか。
「断ち切っても大丈夫なの?」
「大丈夫、とは?」
「相手に知られない? ダリル様が走ってきたりしない?」
「当然、断ち切るなら分かるように切りますよ。家のお嬢様に勝手にひも付けするなんて、私たちに喧嘩を売っているようなものです」
アーサーがまた怒っている。
「そのままにしておくと何か悪いことってあるの?」
「特に何も。お嬢様が危機になった時、多分ダリル様が助けにきてくれるだけです」
今無理に断ち切って、ダリルの気持ちを害するのも面倒なことになりそうだしなぁ。
「どうします?」
「なんか面倒なことになりそうだから、暫くはこのままにしておくわ」
「……お嬢様がそう言うなら、かまいませんよ。嫌になったら行ってくださればすぐに断ち切りますので」
にっこりとほほ笑むアーサーの顔が意地悪い。
「私が魔法を使えるようになれば、こんなことも無いのかな?」
そう首を傾げると、アーサーは顔をしかめた。
「お嬢様が悪いわけじゃないですよ。デリック様とダリル様が、お嬢様に無断で勝手なことをするのが悪いのです」
「でも、魔法が使えたらこんなことされないでしょ?」
「そうですが。普通の人はこんなことしないし、簡単にできません。もしかしたら、アディソン家の血なのかもしれませんよ」
「血?」
「あの家は代々騎士ですからね。守りたいものが出来ると、つい魔法があふれて加護を与えてしまうのでしょう。良い言い方をすれば、ですが」
魔法って溢れるんだとか思っていたら、アーサーが困ったような顔になった。
「デリック様は多分そこまで考えていなさそうですし、ダリル様はお嬢様を心配なさってのことでしょう。二人の魔法からは悪意は全く見えませんし」
「魔法ってそんなところまで見えるんだ。凄いね」
「私の魔法特性は特別なんですよ」
褒めたら嬉しそうだ。アーサーはこれから褒めるようにしよう。
「他に心配なことはありますか?」
「あ、もう心は読めないんだよね」
「大丈夫ですよ」
「それならよかった。じゃあ、しばらくこのままで、嫌になったら本人に切ってもらいに行く」
「お嬢様、そんなことしたらもっと面倒なことになりますよ。お願いですから、大人しくしていてください」
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