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side カレン
03 最初の失敗
しおりを挟むこの国には王子様が二人いて、一人が兄と同じ学年に通学していることは知っていた。そのことは兄から聞いていたから。
でも、顔や名前は知らなかった。
そりゃあ、王太子殿下と王太子妃殿下の事は知ってる。新聞で見ることもあったし、お祭りなんかの時にはお城まで見に行ったこともある。
でも、二人目の王子様のことは知らなかった。あまり話題にならなかったし、私には関係ない世界のことだから、知ろうともしなかった。
だいたい、こんなに気軽に声をかけてくる人が、王子様だなんて普通思う?
―――――私は思わなかった。
それにリオン様には、ミア様という婚約者がいる。
婚約者のいる男性に気軽に声をかけるなんて、常識的に良くない。
それに、学園内では身分は無いと言うけれど、そんなことはないことくらい、私だって知っている。
でも、王子様だって知らなかったから、婚約者がいる人だなんて知らなかったから、……友達だと思っていたから、声をかけることが出来た。
だから、王子様と知ってすぐ私はリオン様を避けるようにした。
なるべく会わないようにしていれば、いずれ普通になると思ったから。
なのに、リオン様は何故か私に近付いてくる。
どんなに避けても、どこかから現れて私に話しかけるのだ。
廊下ですれ違う時少し話すだけ、それだけだが、それはかなり目立っていた。
気がついた時には、私はすっかりクラスから浮いていた。
いや、最初から浮いていたんだろう。
無視され続けて、私はもう普通の学園生活を諦めていた。
だからリオン様の戯れに付き合うことにした。
一年だ。
一年後には卒業する。
こんなことは学園生活の中だけ。
王子様と男爵家の庶子、馬鹿みたいな身分差だ。
そんな恋愛小説を良く読んでいたけれど、所詮小説は夢物語だ。
そんなことがあるわけがない。
だから、気がつかないふりをした。
リオン様が……近所の子供のように、浮かれていたことを。
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