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26.愛し子と聖女は違うらしいの。え、当たり前?

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「驚くのも無理は無いが、いずれそうなるかもしれないことを了承してほしい」

 と言ったのは第二王子。

 かもしれないんでしょう? もしかしてそうはならないかもしれないのよね? なら、はいそうですかとは言えないわよ。


――――私のこれからにかかっているのよ!


「ど、どうして、私なんかが……」

 頭がまったく回っていないけれど、パクパクしていた口をようやくそう動かした。
 せっかくラウティーナ家から出て、婚約者と言うフラグから遠ざかったと言うのに、何故こんなことになっているのかちゃんと教えてもらわないと、納得できないわ!

「……それなのだが、すこし込み入った話をしなければならない」

 第二王子がそう眉を寄せる。私も真似して眉を寄せてみたわ。
 是非話してちょうだい。だって私に関係があるはなしなんでしょう?

「……実は、まだ公には発表していないが、魔が復活した」
『魔、だと?』

 もったいぶった言い方で告げられた言葉に反応したのは火の精霊王よ。
 ボンって音と共に、火の精霊王が第二王子の頭の上に現れたわ。
 第二王子の頭の上で胡坐をかいて、目を細めてグリフ様を睨んでる。
 かなり怒っているみたいだけれど……流石に頭は燃やさないわよね?

「魔、ですか?」

 グリフ様はもう知っているからか何も言わない。私は火の精霊王の次の行動が気になったけれど、とりあえず聞き返してみましょう。
 そう、第二王子の髪の毛の心配をしている場合じゃないの。
 フラグの復活が問題なのよ。
 この窮地をどうすれば乗り切らないと!

「そうだ。聞きなれないだろうが、人の心の悪しき部分の集合体と言われているものだ」
「あしきこころのしゅうごうたい……ですか?」

 ゲームでは確かフォスター王国の北の空に黒い靄が目視されるようになるのよね。
 それがどんなものかと言うのは語られなかったけれど、悪意の集合体なんて意外とべたね。

「そうだ。数百年前までは一定周期でそれは現れていたと歴史書にも記載がある。それが、最近我が国と隣国の境界に現れた」

 ゲームよりちょっと時期が早いような気がするけれど……
 魔を払うのは、主人公である妹よね。
 妹が愛し子であることは神殿が認めているし。
 後は神殿が魔の復活を宣言し、愛し子……妹とその攻略対象者たちが精霊王の力をかりて封じるだけでしょ。


―――――私には関係ないと思うのだけど?


「……それが私とどう関係があるのでしょう」
「実は……マチルダ嬢の妹、ルフィナ嬢は愛し子ではなく、聖女なのではないかと疑いがある」



 え?



 聖女? 愛し子ではなく、聖女?



 えーっと、聖女と愛し子ってちがうんですの?





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