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「お母さーん」

「レイ、いい子にしてた?」


 アリッサさんの家にレイモンドを迎えに来ると、レイモンドが一目散に私に向かって駆け寄ってきて抱き付いてきたので、私も思い切り抱きしめ返す。

 私の可愛い可愛い愛息のレイナルド。カイとの間にできた可愛い息子だ。

 でも、カイがこのことを知ったらどう思うのかな?と一瞬そんな考えが脳裏を横切る。
 あれから7年も経っているし、彼ももう結婚して子供もいるだろうな。
 まあ、彼は王都にいるわけだし、遠く離れた港町にいる私やレイナルドが彼に会う可能性はないだろうから考えるだけ無駄なことか。


「エレミア。レイはいつもいい子にお母さんを待ってるよ。ご飯も残さないし、片付けもきちんとするし、ウチの子が小さかったときは喧嘩ばっかりで好き嫌いも激しいし、本当に大変だったよ」


 そう言った彼女の顔は昔を思い出して優しい笑顔を浮かべている。私がレイモンドのことを考えているときもこんな顔をしているのかな。


「今日、マルグリットさんのところからお仕事を頂いたの。三か月はかかると思うから、また詰まった時はアリッサさんにレイを頼むことも多くなるかもしれないんだけど、いいかな?」

「何言ってるんだい。レイはいい子だし孫と一緒にいるようで楽しいんだよ。気にする必要はないからね」

「ありがとう。アリッサさん」


 二人でアリッサさんに手を振って家へと帰った。

 レイモンドと今日、何をしたのか、明日は何をしたいか、今日は何を食べたいかを話しながら。
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