4 / 33
4
しおりを挟む
「まずは王都でも行って、観光だよね」
田舎の子爵家だったから、王都など滅多に行けるわけもなかった私は、王都のきらびやかな世界に憧れがあった。
王宮の舞踏会とかは本で読んだりはしたけれど、そんなことは叶うはずないとわかりきっているから無駄な夢は見ない。
どこか定住先を選びながら少し羽根を伸ばさなきゃと宿屋を探し、一週間の支払いをすませた。
それから一応は王宮を見に行って、その豪華さと巨大さに圧倒された。こんなところに住んでいる人は迷子にならないのかしらと他人事ながら心配してしまう。
次におしゃれなカフェに行って、今人気だというトライフルを頼んだ。
子爵家の領地では、こんなおしゃれな店もなければこんなに美味しいお菓子もない。口いっぱいに頬張りながらその味を噛み締めた。
時には美術館や博物館に行き、今まで見たことの無い素敵な絵や歴史のある宝飾品をじっくりと見たり、王都内の憩いの場と言われる公園で散歩したりとゆっくりとすごした。
子爵家に嫁ぐ勉強もしなくてもいいし、マナーをとやかく言われる心配のないこの数日は私にとっても天国。やっぱり家を出て良かったわ。
お父様たちにはちゃんと手紙を置いてきたから大丈夫よね。まあ、いまさら帰る気もないので気にしないけど。
そして図書館に行き、国内の地図と各都市の様々な情報が書かれた本を手に取り、この先の移住先候補選びもした。
ヘドレス子爵家の商売を習う時に、様々な都市のことを学んではいたが、こうして改めて勉強すると自分の知識が思うよりも少なかったことを思い知らされた。
慰謝料という思いがけない収入があったことでしばらくは働かなくても生活はできるが、無駄遣いをする訳にはいかない。
私が言うのも何だが、人生、何があるかわからないのだ。
本当にそうだ。
そして私は最終候補地を3箇所ほどに絞った。
田舎の子爵家だったから、王都など滅多に行けるわけもなかった私は、王都のきらびやかな世界に憧れがあった。
王宮の舞踏会とかは本で読んだりはしたけれど、そんなことは叶うはずないとわかりきっているから無駄な夢は見ない。
どこか定住先を選びながら少し羽根を伸ばさなきゃと宿屋を探し、一週間の支払いをすませた。
それから一応は王宮を見に行って、その豪華さと巨大さに圧倒された。こんなところに住んでいる人は迷子にならないのかしらと他人事ながら心配してしまう。
次におしゃれなカフェに行って、今人気だというトライフルを頼んだ。
子爵家の領地では、こんなおしゃれな店もなければこんなに美味しいお菓子もない。口いっぱいに頬張りながらその味を噛み締めた。
時には美術館や博物館に行き、今まで見たことの無い素敵な絵や歴史のある宝飾品をじっくりと見たり、王都内の憩いの場と言われる公園で散歩したりとゆっくりとすごした。
子爵家に嫁ぐ勉強もしなくてもいいし、マナーをとやかく言われる心配のないこの数日は私にとっても天国。やっぱり家を出て良かったわ。
お父様たちにはちゃんと手紙を置いてきたから大丈夫よね。まあ、いまさら帰る気もないので気にしないけど。
そして図書館に行き、国内の地図と各都市の様々な情報が書かれた本を手に取り、この先の移住先候補選びもした。
ヘドレス子爵家の商売を習う時に、様々な都市のことを学んではいたが、こうして改めて勉強すると自分の知識が思うよりも少なかったことを思い知らされた。
慰謝料という思いがけない収入があったことでしばらくは働かなくても生活はできるが、無駄遣いをする訳にはいかない。
私が言うのも何だが、人生、何があるかわからないのだ。
本当にそうだ。
そして私は最終候補地を3箇所ほどに絞った。
1,028
お気に入りに追加
5,487
あなたにおすすめの小説
両親も義両親も婚約者も妹に奪われましたが、評判はわたしのものでした
朝山みどり
恋愛
婚約者のおじいさまの看病をやっている間に妹と婚約者が仲良くなった。子供ができたという妹を両親も義両親も大事にしてわたしを放り出した。
わたしはひとりで家を町を出た。すると彼らの生活は一変した。
お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?
サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。
「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」
リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。
奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら
キョウキョウ
恋愛
公爵子息のアルフレッドは、侯爵令嬢である私(エヴリーヌ)を呼び出して婚約破棄を言い渡した。
しかも、すぐに私の妹であるドゥニーズを新たな婚約者として迎え入れる。
妹は、私から婚約相手を奪い取った。
いつものように、妹のドゥニーズは姉である私の持っているものを欲しがってのことだろう。
流石に、婚約者まで奪い取ってくるとは予想外たったけれど。
そういう事情があることを、アルフレッドにちゃんと説明したい。
それなのに私の忠告を疑って、聞き流した。
彼は、後悔することになるだろう。
そして妹も、私から婚約者を奪い取った後始末に追われることになる。
2人は、大丈夫なのかしら。
【完結】お前なんていらない。と言われましたので
高瀬船
恋愛
子爵令嬢であるアイーシャは、義母と義父、そして義妹によって子爵家で肩身の狭い毎日を送っていた。
辛い日々も、学園に入学するまで、婚約者のベルトルトと結婚するまで、と自分に言い聞かせていたある日。
義妹であるエリシャの部屋から楽しげに笑う自分の婚約者、ベルトルトの声が聞こえてきた。
【誤字報告を頂きありがとうございます!💦この場を借りてお礼申し上げます】
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
婚約者に心変わりされた私は、悪女が巣食う学園から姿を消す事にします──。
Nao*
恋愛
ある役目を終え、学園に戻ったシルビア。
すると友人から、自分が居ない間に婚約者のライオスが別の女に心変わりしたと教えられる。
その相手は元平民のナナリーで、可愛く可憐な彼女はライオスだけでなく友人の婚約者や他の男達をも虜にして居るらしい。
事情を知ったシルビアはライオスに会いに行くが、やがて婚約破棄を言い渡される。
しかしその後、ナナリーのある驚きの行動を目にして──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる