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 ラリー達一家は王都に残してきた邸へと時々帰り、昔からの使用人達に子供たちの成長を見せていた。

 アレックスとレリアナに必要なものを買うついで…という事もあるが、子供達には色々な経験をさせたいという気持ちもあった。
 そして、もしこの先、王宮での生活を望むようになった時を考えて、様々な勉強もさせておいた。


 前国王が暗殺者に狙われたあの事件を解決し、それからジークフリートには会うことがなかったラリー達だが、それから陰ながら見守っていたことは本人だけが知らない事実だった。


 ジークフリートが結婚し、子供にも恵まれ、幸せの中に一生懸命執務に取り組んでいる姿を見て、ラリーの気持ちも少しではあるが軟化していった。


 そしてジークフリートが国王になり、お祝いに訪れた王宮で再会を果たした叔父と甥だったのだ。






「アルとアナが行きたいって言ってるけど、ラリーも参加するんでしょ?」

「そうだな。行った方が、あいつの力になれるだろうし、行くとするか」


 王家の封蝋のある封筒の中に入っていた招待状に目を通しながら、そう返事をした。
 その招待状は、新国王が即位して初めての新年祝賀会のものだ。


「…それで、兄上はわざわざこれを届けに?」

「弟の家族に招待状を届けるくらい、普通じゃないか?」


 ラリーの向かい側には、笑顔を浮かべるアンドーレ前国王が座っていた。
 ラリーの実の兄とは言え前国王なのだから、こうして一人で地方都市をうろつくなど通常なら固化できるものではないのが普通だ。


「しかし兄上、お一人で出歩くなど褒められて事ではないですよ」

「いいだろう?ようやくゆっくりできるのだ。お前と兄弟らしい時間もあまりなかったからな」

「それはそうですが…」


 リサはその兄弟の顔を見ながら、お茶のお代わりを注いでアナと一緒に作ったお菓子を勧めた。


「お義兄様、アナと一緒に作ったお菓子ですわ。よろしければどうぞ」

「おお。アナが作ったのか?これは嬉しいな。来たかいがあるというものだ」


 アンドーレは出されたお菓子を口に運びながら、姪っ子の作ったお菓子に舌鼓を打った。




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