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翌日にはラリーは王宮からの呼び出しを受けて出掛けたので、魔物退治にでも行けると思うほど体調も全快したリサは、鍛錬場でラリーの屋敷に駐在している騎士達と軽い模擬戦をして鈍った身体をほぐしていた。
魔力切れなどほとんど起こしたこともなかったからこそ、どれほど体力的に変わっているかを確かめておきたかったのだが、まあこれなら許容範囲だろうと把握できた。
思い切り動きたい衝動にも駆られるが、リサの相手をまともにできるのは黎明の羅針盤のメンバーを除けば数名くらいだろう。そう思うと、この辺りで終了しようと剣をしまった。
そのまま庭園を見ながら歩いていると、屋敷の侍女が四阿にお茶を準備したので一息ついてくださいと声をかけてきた。
「ありがとう」と返事をして、その侍女と共に四阿へと向かった。そこはすぐそばに水盤があり、水の音が心地よい空間だった。
「今日ラリーは…ローレンス様はお帰りは遅いのかしら?」
「出掛けられる際は、用件が済み次第戻るとおっしゃっていらっしゃいました」
「そう。ありがとう」
リサはそのまま水盤に流れる水を見ながら、そっと紅茶が注がれたカップを口に運んだ。
この日、夕食の時間にローレンスは戻らず、リサは先に食事を済ませて部屋へ戻ることになった。
流石に料理人の腕は言わずもがなで、何を食べてもとても美味しく、食べ終わってから厨房へと顔を出して料理人と色々とコツを教えてもらった。
今度作る時に真似をしてみようと思うようなスパイスや隠し味を教えてもらえて、得した気分で部屋へと戻った。
今から入浴を終わらせると時間は夜半を過ぎるだろう。そう考えてお湯を頂くことにした。
侍女には下がっていいと告げ、一人でのんびりとお湯に浸かった。
時間があればこれからのことをしっかりと話し合おうと考えていたのに、この時間まで戻ってこないのならまた明日以降に話し合うことになるだろう。そんなことを思いながらリサは目を閉じた。
湯から上がりローブを来て部屋へ戻ると、長椅子の前のテーブルの上には侍女が用意したらしいブランデーが置かれていた。少しだけ飲んで寝ようかとグラスに少し注いでみると、モントーネで飲んだものよりも良い香りがし、口に含むと柔らかい口当たりでとても飲みやすかった。
「これ、美味しいわ。でも、飲みすぎはダメよね」
そう思いながら、長椅子に腰掛けグラスを傾けた。一緒に置かれている本を手に取ると、それは挿絵が綺麗な詩集だった。
お酒を飲みながらペラペラとページをめくっていると、詩に合わせた挿絵が妙に合っており、飽きることなく次々と読み進めてしまう。しかし同時にグラスの中身も減っていき、また注ぐ、そんな繰り返しになりそうで、本を閉じた。
長椅子の背もたれに身体を預け、少し目を閉じた。
―――あぁ、美味しい。
魔力切れなどほとんど起こしたこともなかったからこそ、どれほど体力的に変わっているかを確かめておきたかったのだが、まあこれなら許容範囲だろうと把握できた。
思い切り動きたい衝動にも駆られるが、リサの相手をまともにできるのは黎明の羅針盤のメンバーを除けば数名くらいだろう。そう思うと、この辺りで終了しようと剣をしまった。
そのまま庭園を見ながら歩いていると、屋敷の侍女が四阿にお茶を準備したので一息ついてくださいと声をかけてきた。
「ありがとう」と返事をして、その侍女と共に四阿へと向かった。そこはすぐそばに水盤があり、水の音が心地よい空間だった。
「今日ラリーは…ローレンス様はお帰りは遅いのかしら?」
「出掛けられる際は、用件が済み次第戻るとおっしゃっていらっしゃいました」
「そう。ありがとう」
リサはそのまま水盤に流れる水を見ながら、そっと紅茶が注がれたカップを口に運んだ。
この日、夕食の時間にローレンスは戻らず、リサは先に食事を済ませて部屋へ戻ることになった。
流石に料理人の腕は言わずもがなで、何を食べてもとても美味しく、食べ終わってから厨房へと顔を出して料理人と色々とコツを教えてもらった。
今度作る時に真似をしてみようと思うようなスパイスや隠し味を教えてもらえて、得した気分で部屋へと戻った。
今から入浴を終わらせると時間は夜半を過ぎるだろう。そう考えてお湯を頂くことにした。
侍女には下がっていいと告げ、一人でのんびりとお湯に浸かった。
時間があればこれからのことをしっかりと話し合おうと考えていたのに、この時間まで戻ってこないのならまた明日以降に話し合うことになるだろう。そんなことを思いながらリサは目を閉じた。
湯から上がりローブを来て部屋へ戻ると、長椅子の前のテーブルの上には侍女が用意したらしいブランデーが置かれていた。少しだけ飲んで寝ようかとグラスに少し注いでみると、モントーネで飲んだものよりも良い香りがし、口に含むと柔らかい口当たりでとても飲みやすかった。
「これ、美味しいわ。でも、飲みすぎはダメよね」
そう思いながら、長椅子に腰掛けグラスを傾けた。一緒に置かれている本を手に取ると、それは挿絵が綺麗な詩集だった。
お酒を飲みながらペラペラとページをめくっていると、詩に合わせた挿絵が妙に合っており、飽きることなく次々と読み進めてしまう。しかし同時にグラスの中身も減っていき、また注ぐ、そんな繰り返しになりそうで、本を閉じた。
長椅子の背もたれに身体を預け、少し目を閉じた。
―――あぁ、美味しい。
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