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 ソディアルに着いて、まずは二人で街を散策してみた。

 関係のある場所や建物を一通り見ておきたい事と、その時に当事者の顔を見られれば尚良しということだったが、さすがにそこまでは無理だった。
 だが、数日滞在することで目当ての検閲官達の顔を見る事は出来た。


 検閲官は全員で25名。
 その内、現場担当は16名。

 そしてその中で犯罪に手を染めているのは6名だった。


 犯罪をしている人間というものは、その言動や表情、そして羽振りがいいかどうかも重要な点なのだが、なぜかリサはその手の人間の匂いがわかるのだ。

 というよりが正しいかもしれない。




 そして、こちら側に受け取る人間がいるということは、向こう側には売る人間がいるということだ。

 そうなるとこちら側だけ摘発してもまた同じことが起こる可能性もあるので、一度こちら側で捕まえた人間を取り調べた後に引き渡すことになっているらしい。

 そんな風に過ごす間にラリーもなにかと情報を仕入れてきたようで、部屋の机の上には様々なことが書かれた書類が何枚もある。
 リサはそれらにチラリと目をやり、フッと笑みを浮かべた。

  
「ねえ、ラリー。今日の夜、飲みに行かない?」

「どうしたんだ?急に」

「ふふふっ。あのお店……検閲官達の行きつけみたいよ。面白い話でも聞けるかもしれないじゃない?」


 そう言って宿から見える場所にある、少し小洒落た店に視線を向けた。

 出入りしている人間を見ているだけだったのに、どうしてそんなことがわかるのだろうかとラリーは考えたが、リサと出会い、色々と話すうちに彼女が普通の冒険者ではないことがなんとなくわかってきていた。

 ガレーヌのギルド長がリサを推薦した理由が、今になってようやくわかったような気がしたのだ。

  
「リサが言うなら間違いないな。じゃあ、陽が落ちた頃に向かうか」

「そうね。検閲官の交代は17時だから、18時頃に行くことにしようかな」


 ラリーは、楽しそうに碧い瞳を細め、窓の外を見ているリサのその横顔を見て、なぜかこの先の旅が無事に終わる、そんな不思議な気持ちになった。


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