上 下
6 / 30

6.

しおりを挟む


 夏の休暇も終わり、また学園生活が始まります。

 マテオ様はリリアンナ様と同じ公爵家という立場から、休みの間も会うことがあったようです。ローズマリーも高位貴族ですから、顔を合わせているようです。その時に、ルカ様の顔を見たとか何とか。

 なんだか、そういう情報を耳にするたびに、私の中の何かが消えていくような、そんな感じがしました。


 学園生活では、いつもの通り六人で行動することが多く、それはそれで楽しい時間を過ごしました。
 他のクラスメイト達も良い人ばかりで、例年にないほどの団結力があるそうです。やはり、友人というものは宝物ですわね。


「ねえ今度、みんなでシルトベルク公園の芝生広場にピクニックに行かない?」

「ピクニック!いいわね。行きましょう!」


 ローズマリーの提案で、今度の休みにシルトベルク公園へピクニックに行く事になった。
 いつもの6人でです。お昼はそれぞれ持ち寄って、公園で食べようという事になりました。
 私は食べやすいように、やっぱりサンドウィッチ一択ですが、今回はいつものパンとは違った感じにしたかったので、料理長に相談していつもの丸パンの形を少し長めに成形してもらって、それに切り込みを入れることで、薄いパンの代わりにと考えました。やっぱり、見た目も大事ですわ。

 当日は心地よい風が吹く、青空が綺麗な日だった。シルトベルク公園には4人乗りの手漕ぎボートに乗れる大きな池と、中州に渡る橋があり、その池に隣接するように広い芝生広場があって、その奥には植物園と庭園がある王都民の間では家族で訪れる場所であり、デートをする場所であり、ゆっくりと過ごす憩いの場所でもあります。


 当日は現地集合という事で、一番乗りした私は、大きな樹の下の適度に日陰がある池の近くに、持ってきたブランケットを敷いて、お昼用のサンドウィッチの入ったバスケットを置いてみんなを待ちました。

 池にはボートに乗った家族や恋人たちと思われる姿が視界に入ったんだけど、泳げない自分としては乗ってみたいけど少し怖いのよね。
 確かに、今までに事故があったとは聞いたことがないから、きっと安全なんだろうけど、やっぱり心配になっちゃう。

 そんなことを思っていると、マテオ様が歩いてくるのが見えて、その後方にはジーナとルチアの姿が見えた。私は彼女達に手を振りました。


「きもちいいね」

「ホントだね。夏も終わったし、休みも終わったし、次はなに?試験かな?」

「ヒース様、嫌なことを思い出させないでよね」

「ごめん、ごめん。でも、みんな一緒に勉強すればいいだろ。それも楽しいじゃないか」

「それはそうだけどね」


 みんなが集まってから、持ち寄ったお昼を広げました。
 小さな入れ物に入ったサラダや、見た目の違うカップケーキもあって、さすがに全部食べるのはきついわよね~と内心思いながら、目の前のサラダのカップを手に取ったのです。

 どれもこれも美味しくて、今度またどこかに行こうと話し合ったりして時間を過ごし、時々、池に浮かぶボートに視線を向けたり、散歩をする人たちに視線を向けたり。
 すると、なんだか、どこかで見た二人が歩いている気がするのよね。

 見なかったことにしよう。
 うん、見てない見てない。
 見たくない。


 そして私は逆側に座っているマテオ様に声をかけて、学園での課題の事を話しかけました。
 視界にが映らないように。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者は私を愛していると言いますが、別の女のところに足しげく通うので、私は本当の愛を探します

早乙女 純
恋愛
 私の婚約者であるアルベルトは、私に愛しているといつも言いますが、私以外の女の元に足しげく通います。そんな男なんて信用出来るはずもないので婚約を破棄して、私は新しいヒトを探します。

「聖女に比べてお前には癒しが足りない」と婚約破棄される将来が見えたので、医者になって彼を見返すことにしました。

ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
「ジュリア=ミゲット。お前のようなお飾りではなく、俺の病気を癒してくれるマリーこそ、王妃に相応しいのだ!!」 侯爵令嬢だったジュリアはアンドレ王子の婚約者だった。王妃教育はあんまり乗り気ではなかったけれど、それが役目なのだからとそれなりに頑張ってきた。だがそんな彼女はとある夢を見た。三年後の婚姻式で、アンドレ王子に婚約破棄を言い渡される悪夢を。 「……認めませんわ。あんな未来は絶対にお断り致します」 そんな夢を回避するため、ジュリアは行動を開始する。

傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~

キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。 両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。 ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。 全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。 エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。 ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。 こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。

【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。

五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」 婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。 愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー? それって最高じゃないですか。 ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。 この作品は 「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。 どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。

3歳児にも劣る淑女(笑)

章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。 男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。 その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。 カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^) ほんの思い付きの1場面的な小噺。 王女以外の固有名詞を無くしました。 元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。 創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。

婚約破棄をしてきた婚約者と私を嵌めた妹、そして助けてくれなかった人達に断罪を。

しげむろ ゆうき
恋愛
卒業パーティーで私は婚約者の第一王太子殿下に婚約破棄を言い渡される。 全て妹と、私を追い落としたい貴族に嵌められた所為である。 しかも、王妃も父親も助けてはくれない。 だから、私は……。

婚約者の王子は正面突破する~関心がなかった婚約者に、ある日突然執着し始める残念王子の話

buchi
恋愛
大富豪の伯爵家に婿入り予定のイケメンの第三王子エドワード。学園ではモテまくり、いまいち幼い婚約者に関心がない。婚約解消について婚約者マリゴールド嬢の意向を確認しようと伯爵家を訪れた王子は、そこで意外なモノを発見して連れ帰ってしまう。そこから王子の逆回転な溺愛が始まった……1万7千文字。 ネコ動画見ていて、思いついた。

【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。

華蓮
恋愛
ラビートは、アリエンスのことが好きで、結婚したら少しでも贅沢できるように出世いいしたかった。 王女の護衛になる事になり、出世できたことを喜んだ。 王女は、ラビートのことを気に入り、休みの日も呼び出すようになり、ラビートは、休みも王女の護衛になり、アリエンスといる時間が少なくなっていった。

処理中です...