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第二章「灰の竜と黒の竜騎士」
第6話「雲に沈む敵意」
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靄の様な雲を抜けきると視界が大きく晴れ、地上を覆う様に満たされた雲海から顔を出す、気高い山々が目に入った。
竜騎学舎から飛び立って三時間半、ようやく目的地であり、林間学習が行われる場所、マイクリクス王国の四分の一を占める巨大な竜骨山脈の一角が見えてきたところだった。
標高が高いため、夏であるにも関わらず、受ける風は少し肌寒く感じさせられた。
アーネストとヴェルノ、それからアルミメイアを載せたガリアは、雲を抜けきる高さまで高度を上げると、そのまま身体を水平に安定させ、入り組んだ山々の間を流れる雲の上を滑るように飛行する。その直ぐ後ろ、ガリアの身体とリードで結ばれた黒い飛竜――ヴィルーフもまた、同様に高度を安定させて飛んでいた。
竜騎学舎からここへ来るまでの間、目を離すことができず、ヴィルーフの様子を見守っていたが、全力で速度を出すことはまだ難しそうではあったものの、ここへ来るまでの間、何か大きな問題を起こすことは無かった。傷だらけの身体からは想像できないほど、しっかりと飛行し、ここまでついて来ていた。改めてこの黒竜の優秀さを思い知らされた。
「で、どうだ? 久々の空は」
ガリアの後ろを飛ぶヴィルーフの姿を見守っていると、アーネストの前に座るヴェルノが声をかけてきた。
「え、ああ、まだちょっと怖いですね……」
ヴェルノに尋ねられ、アーネストはヴィルーフから目を離し、一度ヴェルノの背中を見た後、辺りを見回す。眼下を流れる雲、距離感が分からなくなるような山脈、それらが今自分が空の上にいる事を教えてくれていた。
空の上、そう感じた時、いつも傍に居た体温が無い事に気付き、少しだけ寂しさと、怖さが思い出されてしまった。
「なんだ、情けない。こんな景色、早々見れるもんじゃねえんだぞ、もっと楽しんだらどうだ」
アーネストの情けない返事を聞くと、ヴェルノは盛り上げるように返事を返した。
「まだ、怖いのか? 前はちゃんとできてたじゃないか」
ヴェルノとアーネストのやり取りを聞いていたアルミメイアが、小声で尋ねてくる。
「あの時はただ必死だったから、怖さを感じる暇なんかなかったんだと思う。今は、そうじゃ無いから……。耐えられないわけじゃ無いけど、気持ちの整理を付けたからといって、すぐどうこうなるわけじゃ、無いんだな」
(ダメだな、俺は)
自分の情けなさに少し溜め息を付く。
「大丈夫だ。私がいる。落ちるなんてことはないよ」
ヴェルノとアーネストに挟まれるようにして座るアルミメイアが、アーネストに寄りかかるように体重を乗せ、そっとアーネストの腕に触れる。
「そう言う事じゃ、無いんだけどな……。でも、ありがとう」
アルミメイアから感じられる重さと暖かさが、少しだけ寂しさと怖さを紛らわし、アーネストの揺らいだ気持ちを落ち着かせてくれた気がした。
「嬢ちゃんはどうだ? 初めてだろ、空の上は」
「えっと……なんか、もやもやする。自分で自由に飛べたらって窮屈さを感じる」
唐突に尋ねられ、答えを用意していなかったのか、たじろぎ、どうにか答えを返す。
「確かに、自力で飛べたら気持ち良いだろうな。けど、出来ないからこそ、ここから見れる景色は最高だと思わないか?」
「そう……だな」
自分以外の誰かを載せて飛ぶ事が初めてであったためか、いつも以上にはしゃいでみせるヴェルノに気圧され、アルミメイアの声が少し引きつる。
「けど、この場所はとてもいい場所には思えないな……」
アルミメイアが眼下を眺め呟くと、呼応するようにガリアが小さく喉を鳴らした。
「どう言う事だ?」
何かを感じ取ったのか、表情を険しくするアルミメイアに、アーネストは問いかける。
「辺りから敵意を感じる。ずっとこっちを見ている」
アルミメイアに言われ、アーネストは一度辺りを見回す。山と雲、目に映るのはそれだけで、アルミメイアの言う『敵意』というものは感じる事は出来なかった。
「嬢ちゃん、すごいな。俺でもここからじゃそんなもん感じ取れねえのに」
「何かあるんですか?」
何か知っていそうな口ぶりで答えたヴェルノに、アーネストは尋ねる。
「ここ最近、飛竜達の警戒心が強くてな。嬢ちゃんの言う『敵意』というのは、たぶんそれだろう」
「どういう事ですか?」
野生の飛竜達は人間に対し、警戒心を持たないわけでは無い。けれどそれは、敵意と言うほどのものではなく、下手に近付こうとしなければ、襲う事はまずない。上空を飛ぶ人と飛竜の動向を遠くから窺い、『敵意』といえる視線を送ることなど、まず無いはずだった。
「ここ最近、飛竜の密漁が多くてな。そのせいか飛竜達の警戒心が異様に強くなってるんだ」
「密漁って、そんな簡単に出来るものなんですか?」
竜の国と呼ばれ、竜族を大事にするマイクリクス王国に置いて、竜族の住む地への立ち入りは厳しく管理される。
それに加え、飛竜の鱗は総じて固い。弓や剣では傷ける事すら難しく、その上飛竜は空を飛ぶため、飛竜を殺すことはそう簡単に出来る事ではない。
通常なら飛竜の密漁など、試みるだけ無駄だとさえ思えるものだった。
「そのはずなんだがな……。
どっかの魔術師ギルドがバックいるのか、最近の密猟者は対竜用の魔導具を使いやがる。
飛竜の鱗や皮、骨や臓器なんかは、武具や工芸品以外にも、魔法の触媒として優秀だ。それが欲しいって魔術師はいくらでもいるんだろう。
そうでなくても、子供の飛竜や死体に、卵でも手に入ればひと財産だ。
そんな訳で、今ここの飛竜達は人に対して強い警戒心――敵意を持ってる。気を付けろよ」
怒りを抑える様な声でヴェルノは説明する。
「なんで、そんな危険な場所で林間学習をまだ行ってるんですか? 少し危険すぎませんか?」
「それは――」
「これは、人、か。此処には飛竜からの敵意以外に、人からの敵意も感じる」
何かを言いかけ、割って入ったアルミメイアの言葉を聞いて、ヴェルノは何か諦めた様な溜め息を付く。
「何かあった時の為だ。話しておいた方が良いだろう。アーネスト、お前、『灰の竜』って知ってるか?」
「『灰の竜』……聞いたことないですね」
記憶の中を探ってみる。けれど、『灰の竜』と呼ばれる竜や伝承などに思い当るものはなかった。
一度、アルミメイアの方に目を向けてみる。アルミメイアはそれに、軽く首を振って答える。
「『灰の竜』ってのは昔この地に住んでいた、強力な悪竜の名だ。灰の様な色の鱗を持っていた事から、そう呼ばれていたらしい。
竜の国と呼ばれるように、マイクリクスの彼方此方には竜族に関する伝承が多く、強力な竜族を神、または神の使いとして崇める土着信仰も多くある。灰の竜もそんな感じで、此処に住む人々に神として崇められていたらしい。
けど、神と崇められようと、悪竜は悪竜だ。人を襲い、飛竜を襲う。王国はそんなものをいつまでも放置できる訳はなく、200年ほど前に大規模な討伐軍を編成して、討伐したらしい。相当な被害を被ったって話だ。
それ以来、この地に住む人々と王国との間に、大きな遺恨を残す形となった」
「ならなおさら、此処へ学生を向かわせるのは良くないんじゃないですか? 正規の竜騎士と違って、対人訓練を済ませていない者も多くいますよ」
「逆に、だからなんだろうな。この地は、反乱の火種になりやすい。その上、飛竜の主な生息地という事で、国においても重要な土地、国王直轄領だ。さらには、内地で国境からも遠く騎士団を駐屯させ難い。
だからこうして定期的に、竜騎士や学生達を演習なんかの名目で居座らせて、この地に住む者達に、常に監視しているという事を示しているんだろうな」
「だからといって、訓練を終えていない学生達を危険な場所に置くのは賛成できません」
「林間学習の場所は、国が決めている以上、俺達はそれに従うしかない。俺達がどうこう言った所で、そう簡単に変えられはしない。あきらめろ」
ヴェルノは、アーネストの反論を断ち切る。
「ま、そう気にすることは無い。もし何かあれば俺達が何とかすればいい。飛竜が住む地に住む者達といっても、竜騎士の様に飛竜を操れるわけじゃない。飛竜と結託出来るわけじゃ無いのなら、大した脅威にはならねえよ」
「だと、良いですけど……」
少し納得できない声で答えを返す。
「よし、見えて来たぞ、長話は終わりだ」
そう言ってヴェルノは話を切り上げると、手綱を操作しガリアに高度を下げさせていった。
アーネストはもう一度、眼下の雲海へと目を向ける。白い雲が不規則に形を変えながらゆっくりと流れていく。
何もない。そう見えるはずなのに、その下には何か大きなものが潜んでいて、竜の様に鋭い黄金色の瞳で、じっとこちらを覗いている様な気がした。
竜騎学舎から飛び立って三時間半、ようやく目的地であり、林間学習が行われる場所、マイクリクス王国の四分の一を占める巨大な竜骨山脈の一角が見えてきたところだった。
標高が高いため、夏であるにも関わらず、受ける風は少し肌寒く感じさせられた。
アーネストとヴェルノ、それからアルミメイアを載せたガリアは、雲を抜けきる高さまで高度を上げると、そのまま身体を水平に安定させ、入り組んだ山々の間を流れる雲の上を滑るように飛行する。その直ぐ後ろ、ガリアの身体とリードで結ばれた黒い飛竜――ヴィルーフもまた、同様に高度を安定させて飛んでいた。
竜騎学舎からここへ来るまでの間、目を離すことができず、ヴィルーフの様子を見守っていたが、全力で速度を出すことはまだ難しそうではあったものの、ここへ来るまでの間、何か大きな問題を起こすことは無かった。傷だらけの身体からは想像できないほど、しっかりと飛行し、ここまでついて来ていた。改めてこの黒竜の優秀さを思い知らされた。
「で、どうだ? 久々の空は」
ガリアの後ろを飛ぶヴィルーフの姿を見守っていると、アーネストの前に座るヴェルノが声をかけてきた。
「え、ああ、まだちょっと怖いですね……」
ヴェルノに尋ねられ、アーネストはヴィルーフから目を離し、一度ヴェルノの背中を見た後、辺りを見回す。眼下を流れる雲、距離感が分からなくなるような山脈、それらが今自分が空の上にいる事を教えてくれていた。
空の上、そう感じた時、いつも傍に居た体温が無い事に気付き、少しだけ寂しさと、怖さが思い出されてしまった。
「なんだ、情けない。こんな景色、早々見れるもんじゃねえんだぞ、もっと楽しんだらどうだ」
アーネストの情けない返事を聞くと、ヴェルノは盛り上げるように返事を返した。
「まだ、怖いのか? 前はちゃんとできてたじゃないか」
ヴェルノとアーネストのやり取りを聞いていたアルミメイアが、小声で尋ねてくる。
「あの時はただ必死だったから、怖さを感じる暇なんかなかったんだと思う。今は、そうじゃ無いから……。耐えられないわけじゃ無いけど、気持ちの整理を付けたからといって、すぐどうこうなるわけじゃ、無いんだな」
(ダメだな、俺は)
自分の情けなさに少し溜め息を付く。
「大丈夫だ。私がいる。落ちるなんてことはないよ」
ヴェルノとアーネストに挟まれるようにして座るアルミメイアが、アーネストに寄りかかるように体重を乗せ、そっとアーネストの腕に触れる。
「そう言う事じゃ、無いんだけどな……。でも、ありがとう」
アルミメイアから感じられる重さと暖かさが、少しだけ寂しさと怖さを紛らわし、アーネストの揺らいだ気持ちを落ち着かせてくれた気がした。
「嬢ちゃんはどうだ? 初めてだろ、空の上は」
「えっと……なんか、もやもやする。自分で自由に飛べたらって窮屈さを感じる」
唐突に尋ねられ、答えを用意していなかったのか、たじろぎ、どうにか答えを返す。
「確かに、自力で飛べたら気持ち良いだろうな。けど、出来ないからこそ、ここから見れる景色は最高だと思わないか?」
「そう……だな」
自分以外の誰かを載せて飛ぶ事が初めてであったためか、いつも以上にはしゃいでみせるヴェルノに気圧され、アルミメイアの声が少し引きつる。
「けど、この場所はとてもいい場所には思えないな……」
アルミメイアが眼下を眺め呟くと、呼応するようにガリアが小さく喉を鳴らした。
「どう言う事だ?」
何かを感じ取ったのか、表情を険しくするアルミメイアに、アーネストは問いかける。
「辺りから敵意を感じる。ずっとこっちを見ている」
アルミメイアに言われ、アーネストは一度辺りを見回す。山と雲、目に映るのはそれだけで、アルミメイアの言う『敵意』というものは感じる事は出来なかった。
「嬢ちゃん、すごいな。俺でもここからじゃそんなもん感じ取れねえのに」
「何かあるんですか?」
何か知っていそうな口ぶりで答えたヴェルノに、アーネストは尋ねる。
「ここ最近、飛竜達の警戒心が強くてな。嬢ちゃんの言う『敵意』というのは、たぶんそれだろう」
「どういう事ですか?」
野生の飛竜達は人間に対し、警戒心を持たないわけでは無い。けれどそれは、敵意と言うほどのものではなく、下手に近付こうとしなければ、襲う事はまずない。上空を飛ぶ人と飛竜の動向を遠くから窺い、『敵意』といえる視線を送ることなど、まず無いはずだった。
「ここ最近、飛竜の密漁が多くてな。そのせいか飛竜達の警戒心が異様に強くなってるんだ」
「密漁って、そんな簡単に出来るものなんですか?」
竜の国と呼ばれ、竜族を大事にするマイクリクス王国に置いて、竜族の住む地への立ち入りは厳しく管理される。
それに加え、飛竜の鱗は総じて固い。弓や剣では傷ける事すら難しく、その上飛竜は空を飛ぶため、飛竜を殺すことはそう簡単に出来る事ではない。
通常なら飛竜の密漁など、試みるだけ無駄だとさえ思えるものだった。
「そのはずなんだがな……。
どっかの魔術師ギルドがバックいるのか、最近の密猟者は対竜用の魔導具を使いやがる。
飛竜の鱗や皮、骨や臓器なんかは、武具や工芸品以外にも、魔法の触媒として優秀だ。それが欲しいって魔術師はいくらでもいるんだろう。
そうでなくても、子供の飛竜や死体に、卵でも手に入ればひと財産だ。
そんな訳で、今ここの飛竜達は人に対して強い警戒心――敵意を持ってる。気を付けろよ」
怒りを抑える様な声でヴェルノは説明する。
「なんで、そんな危険な場所で林間学習をまだ行ってるんですか? 少し危険すぎませんか?」
「それは――」
「これは、人、か。此処には飛竜からの敵意以外に、人からの敵意も感じる」
何かを言いかけ、割って入ったアルミメイアの言葉を聞いて、ヴェルノは何か諦めた様な溜め息を付く。
「何かあった時の為だ。話しておいた方が良いだろう。アーネスト、お前、『灰の竜』って知ってるか?」
「『灰の竜』……聞いたことないですね」
記憶の中を探ってみる。けれど、『灰の竜』と呼ばれる竜や伝承などに思い当るものはなかった。
一度、アルミメイアの方に目を向けてみる。アルミメイアはそれに、軽く首を振って答える。
「『灰の竜』ってのは昔この地に住んでいた、強力な悪竜の名だ。灰の様な色の鱗を持っていた事から、そう呼ばれていたらしい。
竜の国と呼ばれるように、マイクリクスの彼方此方には竜族に関する伝承が多く、強力な竜族を神、または神の使いとして崇める土着信仰も多くある。灰の竜もそんな感じで、此処に住む人々に神として崇められていたらしい。
けど、神と崇められようと、悪竜は悪竜だ。人を襲い、飛竜を襲う。王国はそんなものをいつまでも放置できる訳はなく、200年ほど前に大規模な討伐軍を編成して、討伐したらしい。相当な被害を被ったって話だ。
それ以来、この地に住む人々と王国との間に、大きな遺恨を残す形となった」
「ならなおさら、此処へ学生を向かわせるのは良くないんじゃないですか? 正規の竜騎士と違って、対人訓練を済ませていない者も多くいますよ」
「逆に、だからなんだろうな。この地は、反乱の火種になりやすい。その上、飛竜の主な生息地という事で、国においても重要な土地、国王直轄領だ。さらには、内地で国境からも遠く騎士団を駐屯させ難い。
だからこうして定期的に、竜騎士や学生達を演習なんかの名目で居座らせて、この地に住む者達に、常に監視しているという事を示しているんだろうな」
「だからといって、訓練を終えていない学生達を危険な場所に置くのは賛成できません」
「林間学習の場所は、国が決めている以上、俺達はそれに従うしかない。俺達がどうこう言った所で、そう簡単に変えられはしない。あきらめろ」
ヴェルノは、アーネストの反論を断ち切る。
「ま、そう気にすることは無い。もし何かあれば俺達が何とかすればいい。飛竜が住む地に住む者達といっても、竜騎士の様に飛竜を操れるわけじゃない。飛竜と結託出来るわけじゃ無いのなら、大した脅威にはならねえよ」
「だと、良いですけど……」
少し納得できない声で答えを返す。
「よし、見えて来たぞ、長話は終わりだ」
そう言ってヴェルノは話を切り上げると、手綱を操作しガリアに高度を下げさせていった。
アーネストはもう一度、眼下の雲海へと目を向ける。白い雲が不規則に形を変えながらゆっくりと流れていく。
何もない。そう見えるはずなのに、その下には何か大きなものが潜んでいて、竜の様に鋭い黄金色の瞳で、じっとこちらを覗いている様な気がした。
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