始まりはキス

花咲蝶ちょ

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2☆4年後

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 月日は流れ四年。

 真陽はファッションリーダーの道を歩んでいた。
 たまの休日に見繕った下着や服を持って弟宅にお邪魔する。

「わー!ピンクのひらひらレースの下着可愛い!」
「でしょ?葛葉子ちゃんに似合うと思って…あ、でも今はマタニティ用のほうがいいかな?」
 義妹の葛葉子ちゃんは七月に薫を出産したばかりだった。
 ゆりかごの中で寝ている薫くんを三歳の桂くんが見守っている様子も可愛い。
 真陽は葛葉子ちゃんの胸の大きさを確かめるために胸を見つめて、
「いーなぁ…また胸大きくなって…今度マタニティ用開発してもらおうかな」
「母乳のために発達しただけだから、またもとに戻るよ」
 むしろ胸が張って痛いらしい。

「誰でも出産すれば大きくなるのよね…絶壁の私でも大きくなるかな…」
 真陽はベッタンコとは言わないけれど少ない胸を触る。
 ブラジャーしなくても冬着ならばバレない。

「春陽に揉んでもらえば大きくなるんじゃないのか?ついでに孕ませ……グハッ!」
 瑠香は普通に思ったことを言った瞬間、真陽に無表情で横っ面を遠慮なく殴られる。
 真陽の拳には煙が出ているようにみえる。

「うるさいドスケベ愚弟が!」
 声がとても低くく殺気を含んだ声を出す。

「春陽くんは……春陽くんはね……」
 春陽くんの可愛らしい姿が走馬灯で脳裏に流れる。
『真陽姉、真陽姉は女神様みたいに綺麗だね…♡』
 子犬のように付きまとう可愛い恋人……小さい頃から現在の春陽は真陽の中では可愛い……

「永遠の少年でいて欲しいんだからっ!」
 真陽は顔を赤く照れながら言う。
「だったら、姉貴も永遠の処女だな。」
 瑠香は殴られた頬をさすりながら見下すようにフン!と鼻で笑ってそう言い放つ。
 弟は相変わらず憎たらしいし、根性悪いと思う。
「意外と姉貴は潔癖だよな…」
 とボソリとつぶやく。
「意外とは余計よ!純情って言ってほしいわね。」

「え?まだ、春陽と結ばれてないの?」
「……ぅ……」
 葛葉は素で確信をつくので真陽は顔を真っ赤にして言葉につまる。

「だ、だって、まだ、高校一年だし、高校卒業しなきゃ婚姻出来ないし……未成年に手を出して犯罪者になりたくないし…あなた達みたいに同い年じゃないから私がリードするべきよね?ね?」

 真陽はその時のことを思うとくねくね体を悶させて困惑する。
「黙ってればバレないし今更だろ、もう、春陽は高校生なんだから姉貴にエロいこと妄想してんじゃないか?」
 真陽はしっと瑠香のあたまを掴んで思いっきり頭突きを食らわす。
 今日の真陽は生理前でイライラマックスでもあり、弟を無意識に小突いてしまう。
「わ、私だって、春陽くんに襲われてみたいけどォォォ!」
ゴゴゴゴゴっと真陽の背後にくらい炎が燃え上がって見える。
 神の化身でもないのに荒御魂の如くだ。

「お前がやったトラウマのせいで純愛おままごとのままなのよぉおぉおおお!」

 と叫ぶ真陽にボコボコにされる瑠香だった。
 
 さらに春陽と半年以上もまともに会ってないので情緒不安定だ。
 それは互いに仕事と学業で忙しいので会えないので要求不満も追加だ。
 昔からこんな感じで姉弟ケンカ(瑠香がサンドバッグ状態)になる事が多かった。
 二人といい大人なので、こんな喧嘩はしなかったが、

「真陽おばちゃん怖いね。」
 桂は母の葛葉子に駆け寄り真陽の暴れようにびっくりする。
「うん。怒らせちゃだめだよ、ぜったいに……」
 姉弟喧嘩に怯える母子だった。
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