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雪と東殿下と学校七不思議
東殿下と瑠香の出会い
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学校の二宮くんの神様をきちんと祀るために、同い年の、陰陽師見習いの少年が一日だけ派遣されてきた。
彼は香茂瑠香。
東と同い年。
学校にも通いながら、休みには山伏修行をし学校から帰ってくれば宮中にて陰陽師として宮中の仕事を覚えながら、ハルの神の化身の晴房の世話をしている。
東のおじい様の今上陛下の身の回りのお手伝いもしている。
陛下をお守りするハルの神の対のルカの神の依り代だという。
東は瑠香に興味があったが、おじい様のお気に入りなので少し不服だった。
(もっと孫である僕に頼ってくれてもいいのに……)
と晴房を可愛がっていることにヤキモチをして更に、その晴房の守役ならばと近づこうとしなかった。
(晴房と同じようにおじい様のお気に入りなのだから…)
とも密かに思っていた。
東は阿闍梨の記憶を持っていようと魂はまだまだ子供で若いし我も強かった。
そんなおじい様にお気に入りの瑠香の力を、お手並み拝見でもあった。
晴房は空を飛んだり、雷落としたり尋常ならぬ力を何度か見たことがあるが、瑠香の力を見たことはなかった。
ただ外見が、長髪で白い狩衣を着た女の子らしい男の子だということだけは認識していたけれど…
東は予め建てられた社に小さな二宮金次郎像を納めて瑠香を待っていると、青みのかかった髪はさっそうと歩くたびにサラサラと風に流れて陽にきらめき、長いまつげは伏せられて、肌に影を落とし艶をにじませる。
セーラー服のスカートから除く足はスラリとして長くて美しい。
瑠香はセーラー服を着て現れた。
男子の制服ではなく、女子の着る制服で…
東はいつもの笑顔のままで固まって、
「瑠香……君だよね?」
声が信じられないことを表すように震えてしまった。
「はい。香茂瑠香です。」
声が聞きやすいハスキーになっていてどちらかなおさらわからない。
声変わりの時期のようだ。
「男子だよね…?」
疑問を思った方を直接問うてみた。
「はい。こっちの方が似合うかと……もしかして、変ですか?」
無表情でスカート裾を引っ張ったり後ろを振り向いたりして自分の姿をチェックする。
(……ナルシストなのかも……)
と、東は察した。
セーラー服の瑠香はたしかに、どこからどう見ても女の子。
しかも美人さんだ。
東は顎に手を置き、じーっと、マジマジと瑠香を観察する。
瑠香はあまりにも美しく神秘的で魅力的だった。
(ほんとに男の子なのかな?女の子だったら、すっごく好みかも……)
瑠香は東の顔を見つめていて、目が会うとワザと最高に美しく微笑んで、
「失礼いたします」
ぐっと、手首をつかむとスカートの中に手を突っ込ませて確認させた。
「……うん。ごめん。男の子だね…」
「認識していただいてなによりです」
(始めっから男子のかっこしてきてよ!)
と心の中で叫んだ。
祝詞を唱えている時の瑠香は神がかって神秘的だった。
《なんて美しい人間なんだ…長年この土地の神とはいえ…初めて見る…》
「あ、二宮くん」
二宮くんの存在を知る東は土地神の二宮くんを見る事ができた。
社から漫画の吹き出しのように二宮くんが現れて頬を紅潮させて祝詞を唱える瑠香を見つめる。
土地神といえど惚れてしまうほどの存在のようだ。
魅力的な人間は人でも神でも魔でも欲しがるようだ。
よく、【出来の良い子供は天に召されるというのは神様がそばに置きたいと望む】とも【美しい物は魔を引きよせ取り憑かれるとか言われる】が……あながち嘘ではない。
神や魔が魂の魅力を見出すのは『品』の良し悪しだ。
魅力的な魂は神に召されれば短命で終わる事もあり、美しいゆえに不幸な人生を送るとはそういう事だ。
東は、皇族としての品は持って、前世で磨いた阿闍梨としての品を持っている。
だから、二宮くんのようなものや八尾比丘尼や人ならざるものに惹かれてしまうと自覚しているが、本来の自分の品はあまり良くないと思っている。
まだまだ、子供で成長途中だ。
大人になるにつれて品は努力で高まっていく。
自分を高めることをしなければ何も変わらないか、落ちるところまで落ちていく。
それが普通の事だ。
だが、瑠香は生まれながら『品』を持った特別な存在なのも確かだった。
瑠香は二宮くんをムッと睨む。
東たちを異界に落としたときの禍々しい姿をしている。
だがもとは神なので瑠香を魅力的だと思っているようだ。
一度、魔に落ちた神は『我』をすぐ持つようだと東はため息を吐いた。
そのために社を建てて学校の健全さを保ってもらうために祀るのだけれど……
(瑠香の祝詞は二宮くんに響いていないと言うことか……)
と、心の中で思いため息をはいた。
(瑠香は神職としてはまだまだ未熟か……)
と東は思った。
そう……思っていることは瑠香に筒抜けと言うことを東はまだ知らなかった……
皇族である東にがっかりされて、プライドが傷ついた瑠香はキッと青に煌めく瞳を二宮くんに向ける。
「……あぁ?」
瑠香はわざと雪のようなドスの聞いた唸るような声を発した。
そして、体からお香を漂わせてお香の力で容赦なく神を縛り付けて引き寄せて、青く煌く猫のような瞳にとてつもない神気を宿し、
「大人しく土地神として寝てろ…」
地の底からドスの聞いた言霊を吐いた。
背中には荒御魂の神の怒りのオーラが吹き出してさらに恐ろしさを演出する。
『ひっ…!そ、そう、しまぁす……』
二宮くんは二宮金次郎像に宿ると像はピシャリと小さな引戸をしめた。
瑠香の祝詞よりも素の言霊のほうが効果があった。
それは、神の化身、依代の故か、はたまた……本性か……
二宮くんが、惚れたの確かに品でもあるが……品は性格や本性とは別物なのかもしれない…
瑠香は外見の魅力があるが中身は鬼神の如くの性格をしているのかもしれない……と東殿下は悟った。
その後、高校になって瑠香は東殿下の護衛の任にやはり、鬼神のごとくに東に惹かれる人も幽霊もひと睨みで近づかせない力を発揮して優秀な護衛の任をまっとうするのであった。
彼は香茂瑠香。
東と同い年。
学校にも通いながら、休みには山伏修行をし学校から帰ってくれば宮中にて陰陽師として宮中の仕事を覚えながら、ハルの神の化身の晴房の世話をしている。
東のおじい様の今上陛下の身の回りのお手伝いもしている。
陛下をお守りするハルの神の対のルカの神の依り代だという。
東は瑠香に興味があったが、おじい様のお気に入りなので少し不服だった。
(もっと孫である僕に頼ってくれてもいいのに……)
と晴房を可愛がっていることにヤキモチをして更に、その晴房の守役ならばと近づこうとしなかった。
(晴房と同じようにおじい様のお気に入りなのだから…)
とも密かに思っていた。
東は阿闍梨の記憶を持っていようと魂はまだまだ子供で若いし我も強かった。
そんなおじい様にお気に入りの瑠香の力を、お手並み拝見でもあった。
晴房は空を飛んだり、雷落としたり尋常ならぬ力を何度か見たことがあるが、瑠香の力を見たことはなかった。
ただ外見が、長髪で白い狩衣を着た女の子らしい男の子だということだけは認識していたけれど…
東は予め建てられた社に小さな二宮金次郎像を納めて瑠香を待っていると、青みのかかった髪はさっそうと歩くたびにサラサラと風に流れて陽にきらめき、長いまつげは伏せられて、肌に影を落とし艶をにじませる。
セーラー服のスカートから除く足はスラリとして長くて美しい。
瑠香はセーラー服を着て現れた。
男子の制服ではなく、女子の着る制服で…
東はいつもの笑顔のままで固まって、
「瑠香……君だよね?」
声が信じられないことを表すように震えてしまった。
「はい。香茂瑠香です。」
声が聞きやすいハスキーになっていてどちらかなおさらわからない。
声変わりの時期のようだ。
「男子だよね…?」
疑問を思った方を直接問うてみた。
「はい。こっちの方が似合うかと……もしかして、変ですか?」
無表情でスカート裾を引っ張ったり後ろを振り向いたりして自分の姿をチェックする。
(……ナルシストなのかも……)
と、東は察した。
セーラー服の瑠香はたしかに、どこからどう見ても女の子。
しかも美人さんだ。
東は顎に手を置き、じーっと、マジマジと瑠香を観察する。
瑠香はあまりにも美しく神秘的で魅力的だった。
(ほんとに男の子なのかな?女の子だったら、すっごく好みかも……)
瑠香は東の顔を見つめていて、目が会うとワザと最高に美しく微笑んで、
「失礼いたします」
ぐっと、手首をつかむとスカートの中に手を突っ込ませて確認させた。
「……うん。ごめん。男の子だね…」
「認識していただいてなによりです」
(始めっから男子のかっこしてきてよ!)
と心の中で叫んだ。
祝詞を唱えている時の瑠香は神がかって神秘的だった。
《なんて美しい人間なんだ…長年この土地の神とはいえ…初めて見る…》
「あ、二宮くん」
二宮くんの存在を知る東は土地神の二宮くんを見る事ができた。
社から漫画の吹き出しのように二宮くんが現れて頬を紅潮させて祝詞を唱える瑠香を見つめる。
土地神といえど惚れてしまうほどの存在のようだ。
魅力的な人間は人でも神でも魔でも欲しがるようだ。
よく、【出来の良い子供は天に召されるというのは神様がそばに置きたいと望む】とも【美しい物は魔を引きよせ取り憑かれるとか言われる】が……あながち嘘ではない。
神や魔が魂の魅力を見出すのは『品』の良し悪しだ。
魅力的な魂は神に召されれば短命で終わる事もあり、美しいゆえに不幸な人生を送るとはそういう事だ。
東は、皇族としての品は持って、前世で磨いた阿闍梨としての品を持っている。
だから、二宮くんのようなものや八尾比丘尼や人ならざるものに惹かれてしまうと自覚しているが、本来の自分の品はあまり良くないと思っている。
まだまだ、子供で成長途中だ。
大人になるにつれて品は努力で高まっていく。
自分を高めることをしなければ何も変わらないか、落ちるところまで落ちていく。
それが普通の事だ。
だが、瑠香は生まれながら『品』を持った特別な存在なのも確かだった。
瑠香は二宮くんをムッと睨む。
東たちを異界に落としたときの禍々しい姿をしている。
だがもとは神なので瑠香を魅力的だと思っているようだ。
一度、魔に落ちた神は『我』をすぐ持つようだと東はため息を吐いた。
そのために社を建てて学校の健全さを保ってもらうために祀るのだけれど……
(瑠香の祝詞は二宮くんに響いていないと言うことか……)
と、心の中で思いため息をはいた。
(瑠香は神職としてはまだまだ未熟か……)
と東は思った。
そう……思っていることは瑠香に筒抜けと言うことを東はまだ知らなかった……
皇族である東にがっかりされて、プライドが傷ついた瑠香はキッと青に煌めく瞳を二宮くんに向ける。
「……あぁ?」
瑠香はわざと雪のようなドスの聞いた唸るような声を発した。
そして、体からお香を漂わせてお香の力で容赦なく神を縛り付けて引き寄せて、青く煌く猫のような瞳にとてつもない神気を宿し、
「大人しく土地神として寝てろ…」
地の底からドスの聞いた言霊を吐いた。
背中には荒御魂の神の怒りのオーラが吹き出してさらに恐ろしさを演出する。
『ひっ…!そ、そう、しまぁす……』
二宮くんは二宮金次郎像に宿ると像はピシャリと小さな引戸をしめた。
瑠香の祝詞よりも素の言霊のほうが効果があった。
それは、神の化身、依代の故か、はたまた……本性か……
二宮くんが、惚れたの確かに品でもあるが……品は性格や本性とは別物なのかもしれない…
瑠香は外見の魅力があるが中身は鬼神の如くの性格をしているのかもしれない……と東殿下は悟った。
その後、高校になって瑠香は東殿下の護衛の任にやはり、鬼神のごとくに東に惹かれる人も幽霊もひと睨みで近づかせない力を発揮して優秀な護衛の任をまっとうするのであった。
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