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あやかしと神様の黄泉がえり

14☆操りと企み

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「うっ……」
 舌を絡めるほど瑠香の生気を奪われる。
 唇を舌を瑠香は不穏なものを感じて離したが、葛葉子からしてくる。
 情熱的に…貪るように…

(こんなキス…葛葉子じゃない…)

 でも、止まらない久しぶりのキスに頭の芯が痺れる。

《妖気に穢される…今すぐやめるのだよ……》
 ルカの神が止める声が遠くになっていく…
 神の声を聞かない審神者で依り代にルカの神はため息を吐く。

《依り代のみの体では操られる。ハルの神のように、神に更に、近づかねば、依り代の器は操られるのみか……》

 能力に神の力を載せて霊的に生まれ変わらせることは出来るけれど、依り代自体を操られては神は力を貸せない。

「瑠香……お前はもう私のものよ……」
 瑠香の頬を挟み瞳を見つめる。
 自らの唇をペロリと一周舐めて瞳を細めて艶っぽく微笑む。

 瑠香の瞳は生気を失ったように光がないが、葛葉子の艶のある表情に体がゾクリと快感が襲う。

 葛葉子は瑠香の手の上に自らの手を重ねてふくよかな胸に押し当てる。
 服の上から瑠香は柔らかな胸を乱暴に揉む…いや、揉まされる。
「ぁんっ…瑠香…」
 九尾の葛葉子は甘い息をわざと吐く。
 九尾は瑠香の抑えた欲望を引き出そうとしている。
 神の依り代と交わり完璧な虜にしてやろうと思っている。
 瑠香はセーラ服の上着を脱がせて首筋、鎖骨、胸の谷間までキスをする。

 意識が朦朧とするものの、本物の葛葉子が戻るようにキスを繰り返す。

……操られているのか自分の意思なのか曖昧になる…

 けれども、葛葉子の体から溢れる妖気と色気に思考が侵されていく。
 その行動にふふふっと九尾の葛葉子は笑う。
 ふくよかな胸に埋めた瑠香の頭を抱きしめて脚を瑠香の肢体に絡ませた……

 どんな男でも陥落させてきたあやかしだ。
 瑠香を陥落させるのは容易い。

 ふと、顎鬚禿頭のジジ様がよぎるが、そんなの葛葉子を今、抱けることに比べれば将来など……

 だけど、生涯ともに過ごすのなら…

 いや……

 ジジ様の呪いなんて忘れて禁忌を犯しそうになるとき、胸の谷間に匂袋を見た。

「くず、はこ…」

 行為はいつものキスだけで、とどまったが気を失った。

「……まぁ、いい、次に目覚めれば、お前はわれの操り人形なのだから……」


 みんな帰ったあとの教室で東と臣は二人を待っていた。
 ホームルームになっても帰ってこなかった……
 瑠香と葛葉子は一緒に寄り添うように教室に戻ってきた。
 手を恋人繋ぎして体をくっつけ合うラブラブっぷりにため息を吐く。
 午後の授業をサボったのは自分が煽ったからだとわかるが……

「無事解決したの?」

「口づけ一つで呪いは解けるものでした……」
 そういうと二人見つめ合う。
 さらに熱い雰囲気になってると東と臣は思う。

 二人の姿を見ると少し服がよれている。
 二人の長い髪も不自然に乱れてる。
 葛葉子の首筋には何箇所もキスマークがついてる……

「無理矢理でも眷属にしちゃったのか……」
と東は思わず言葉に出した。

 ボッと、二人顔を同時に赤くする。
「菊の酒の前に赤飯かなぁ」
と、わざという。

 だが、前世阿闍梨の東親王の目にはごまかせなかった。

 東は霊力の瞳で見れば、昼食のときの微弱な気配ではない不穏なものを感じる。
 それを瑠香は分からないはずはないのに…

 本当に無理矢理貞操を奪うことをして品を落として、穢れて見えなくなったならいいのだけど…

 ここで、シラスの力を使い正体を暴いて、また逃げられては困るから黙って宮中に入れることにした。

(まぁ、外で何かやられるより
監視して捉えていたほうが不安はないね。)

 イザとなれば晴房はいる。
 今はハルの神が降りてきていて宮中を見張っている。

 宮中は陛下のおわす宮殿をお守りする最強の結界のど真ん中だ。
 さらには結界の札も張り巡らせておいた。
 外からは妖しものは入ってこれないようにしてはあるがこちらから招けば入れる。

 葛葉子を……瑞兆となる白狐を捕獲する準備は万端整えてある。

(今夜が勝負かもね……)
 フフッと笑うのは、なにより自分の力を試したくもある東は密かにこの状況を不謹慎にも楽しんでもいる。


 祈り姫の日記には
『白き獣が封印解かれて瑞兆となす』

 そう記されてるなら、そうさせることがすべての解決だと東は確信していた。
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