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あやかしと神様の夏休み(番外編)

2☆葛葉子、真陽の彼氏になる!?後編(18R)

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 朝が大変だった。
「男の体で排泄物ってどうやるんだ!」
 尿意を我慢出来なくて泣きながら葛葉子に起こされてトイレに一緒に駆け込む。

「みたくないよ!怖いよ!きもちわるいよ!」
「オレだって男のお前のは見たくない!
 元の姿のお前のは見たいけど!」
「変態がっ!絶対に見せないもん!わーん!」
 錯乱して大騒ぎになった。
 結局普通に座ってすればいいことになった。


 元に戻るまで、真陽とデートの約束をした。
 いつものショッピングだけど。
 瑠香の服を適当に見繕って、そのまま、男の葛葉子の洋服を店で選ぶ。
 
 男らしいカッコで人目を引くような似合う格好をさせられる。
 薄いブルーの夏用ニットのV字に濃い色のジーンズ。
 首元に勾玉の形をした金のネックレス。
 夏らしく、涼しい色合いに色気を感じさせる。

「葛葉子ちゃんこのまま、男になっててほしいなぁ」
「それは、困るよ。瑠香に触れてもらえないの辛いし…」
 男の姿になっただけで触れてもらえなかった。
 更にトイレ事件でひかれた…
 絶望された。
 私は私なのに…それが心に刺さってる。
 その考えを覗いた真陽は申し訳なく思った。

「なーんてね。
 弟をいじめたかっただけよ。葛葉子ちゃんを困らせることするつもりはなかったのよ。ごめんね」

 真陽は舌を出していたずらっ子のようだ。

「だって、あまりにもラブラブなんだもん!」
「真陽姉さん…私もごめん。いちゃついて…控えるよ」
「いいのよ。べつに遠慮しないで。子供までつくっちゃいなさい。」
 どうしても姪か甥が欲しいらしい。

「あたし、もそういうことしたいなぁって思っちゃてたら、葛葉子ちゃん素敵な男の子になっちゃうんだもん!」
 スリスリして腕に絡みついてきた。本気で一目惚れらしい。

「今日は素敵な誕生日だわ!」
 そうだった。
 今日は真陽の誕生日だった!
 と思うと、

「じゃあ、今日は真陽姉さんの素敵な彼氏を演じてやるぞ!」
 コツンと、おでこをぶつけてあげた。
 本気で真っ赤な顔になる真陽が可愛く思った。
「きゃ!クズハくん素敵!」
 名前まで単純に決めてしまった。
 二人はラブラブカップルのごとく寄り添って街を歩くと、羨ましい瞳でみられる。
 更に強く羨望の瞳で見つめるのは瑠香だった。

(オレだってまだデートしてないのに!姉さんに先越された!まぁ、葛葉子がやりたいなら仕方がないけれど……悔しい)

 その思いの叫びを聞いた真陽は「うひひ」と笑って、さらに葛葉子の男らしい腕にまとわりつく。

 ゲーセン行ったり、公園で散歩したり特にショッピングを楽しむ。
 葛葉子が下着売場いって周りの女性に白い目で見られてもかまわなかったり。
 ファンシーグッツ見たり。
 女性服売場ばかり行く。
 瑠香が近づけられない遠目で眺めてる場所に連れて行く。
 葛葉子は純粋に買物を真陽と楽しむから、なおさら惚れてしまうではないか!
 荷物も持ってくれて紳士だ。
 女心を理解する素敵男性を演じる。
 とりあえず、理想な優しい男を……瑠香にやってもらいたい事をする。
(瑠香は意地悪がだけど、何気なく優しくしてくれるんだよね。でも、まだ、こういうところ来たことないなぁ……いつかこういうデートしてみたいなぁ)

 真陽は葛葉子の考えてることを覗き、瑠香の事を思う葛葉子に「ごめんね」と思う。

 ただ…いまは、理想な彼氏でいてほしい……

 それは瑠香への当てつけではなく純粋な本心だった。



「そろそろ二十四時間たつわね。無事に女の子に戻れるかしら?」
 真陽は時計を眺める。

 六時でも明るい夏の夜。
 ビルに点々と星のように光が灯る。
 本物の星も輝き始める…

「ねえ、最後にキスしていい?」
 真陽は潤んだ瞳で葛葉子を見つめる。
「またこのままの姿だと怖いよ…」
 瑠香に、嫌がられたままは、悲しい…
 ぎゅっと真陽は、葛葉子に抱きつく。
「いいじゃない……
 瑠香より、葛葉子ちゃんを愛してあげる…」

 そういうと、真陽は唇を寄せるが、突然、葛葉子は襟首を引っ張られて、瑠香とキスをする。

ぼんっ!と

 葛葉子から煙が出て、女の子に戻る。
 買ってもらった服がぶかぶかだ。
「瑠香…ついてきてたの?」
 瑠香は葛葉子を抱きしめる。
「ホントはオレがキスすればもとに戻れたんだ…」
 せつなげに葛葉子を見てから姉に告白する。
「でも、今日は姉さんの誕生日だから我慢した。葛葉子も乗る気だったし……邪魔できなかった」
 だが、最後の最後で邪魔してやってスッキリした顔で姉を見る。
「わかってたわよ。テレパシーでのぞいちゃったもん!ストーカー弟ってやーね!」
 真陽は、べっと舌をだす。
「んなっ!クソ姉貴!」
 瑠香は口の悪い姉に腹が立つ。
 もうこれ以上は我慢のならない!葛葉子は、返してもらう事にした。
「瑠香……んんっ!!」
 突然葛葉子の顎を引き寄せて、深いキスをする。
 「狐になっちゃったじゃないか!」
 ブカブカの服がその場に落ちる。

「丸きりきつねも残念ねー!あはははっ」
 イチャ付ないじゃないと思うが、
「ふっ、残念じゃないよ…」
 にやりと嬉しそうになにか企んでるように笑ったのが怪しくて頭を覗くと

「どスケベ変態弟が!」と叫んだ。

 ☆

 このままさっそうと連れて帰って、瑠香の部屋についた時には、裸の葛葉子になった。

 その葛葉子をベッドに放り投げる。
 ベッドはバネのあるベッドで体が、バウンドした。
 あまりの突然なことにしばらく呆然と仰向けになってしまった。
「…いい眺めだな…」
 瑠香はじっと隠さない裸を見つめる。
「キャ!いやだ!服ちょうだい!」
 思わず尻尾で体を隠す。
 胸がしっぽの先ギリギリで逆に婀娜っぽい…
 腕を動かそうと思ったけど動かないから焦る。
 仰向けで、膝を曲げた状態をキープさせるためお香の力で金縛りする。
「しばらく、そのままの刑だ!」
「なんの罪も犯してないぞ!悪いことしてないし!」

 やわらかい女性の体を見つめていたい。
 全てにおいて丸みを帯びた、しなやかな曲線の体のラインが美しく思えて魅了される。
 色白に桃色にかかる肌も綺麗だ…
 もっと、女だってことを確かめたい……
 
 体を隠すしっぽを根本からさっと撫でる。
 今は直接確かめることは流石にためらった…
「やっ!変なところ触るな!」
 真っ赤になって抗議する。

 トイレの事件が瑠香自身ショックだった。
 男だったから…
 性別まで変えられる力を持つとは恐れいった。マジで…
 だからといって、葛葉子を愛する心は変わらなかった…
 男になって姉に惚れられるのも焦った…
 募った思いを分析しながら、葛葉子を見つめる。

「やっ、やめてよ!瑠香のほうが悪者だ!」

 裸は何度か見られたことはあったけど、この姿勢でじっと見られるのは恥ずかしく、いたたまれない。
 しっぽでほぼ隠していたのに触られて恥ずかしい…裸を触られたような感じがした。
 
 隠しきれない胸が顕になって見られて恥ずかしい…
 腕はベッドに縛り付けられたように動けないようにされて肘を曲げてる状態だ。
 ひどい、意地悪だ。
 ある程度受け入れる覚悟は出来てるけど……
 恥しさで葛葉子は瞳をうるませる。

「やさしくないよ…あの時と同じはやだょ…」

「はっ!ご、ごめん!つい意地悪したくなって…」
 潤んだ瞳で泣きそうな葛葉子にキュンと胸が痛む。
 瑠香は金縛りをすぐ解除して上掛けを被せる。
 葛葉子を優しくベッドの上に座らせて、瑠香も向かい合う。
 葛葉子は、うーっと唸って睨む。
(可愛い…やっぱり…愛しすぎる)

 葛葉子のおでこにコツンと瑠香のおでこをぶつける。

「我慢してたんだよ…ずっと…手も握りたかったし…」
 そう言って手を恋人つなぎする。

「柔らかな体に触りたいし」
 そう言って右手で左胸の膨らみを持ち上げる様におしあてられると、葛葉子はビクリと肩を震わす。
 ドキドキと胸が鳴っている。

「キスだって体中にしたいし」
 鎖骨にキスをする…
 葛葉子を改めて見つめると女の子の葛葉子は可愛い。
 男の姿でも好きは変わらないけれど、やっぱり愛を伝えるなら女の子の方が良いに決まってる。

「このまま…子供つくろうか…」

 優しくいわれて迫られてさらに、キスされて、ドキドキがとまらなくて、思考がぼーっとしてしまう。心がふわふわする…

 好きが止まらなくなっちゃう…

「まだ、父様に許し得てないのに…」
 こういうことは親の許しを得てからって陰陽寮長がいってたのに…

「黙ってればバレないよ…」
「子供ができちゃったら?バレちゃうよ…」
 軽くキスを繰り返しながら、言う。

「盆に帰る頃はばれないよ…」

 掛ふとんを体に巻いて抵抗する葛葉子の手が緩んだとき、

バンッ!

「瑠香にい!帰ってきてるの……」

 遠慮無く扉を開けたのは中学生くらいの男の子だった。

 ベッドに押し倒した感じのまま固まる。
 しかも、上掛けを引き剥がしたところだった。

 男の子は真っ赤な顔して

「なんなのーそのおんなぁぁぁぁぁ!」
 
 悲鳴のように叫ぶ。

 瑠香は葛葉子を隠すように前に出る。
「………だれ?」
「従兄弟の春陽はるひ…」
 見られた…恥ずかしぃ…!
 思わず瑠香の腕を掴んでおでこを背中にぶつける。涙が背中を濡らしてすまないことを、またしてしまって胸が痛い。

「子作り邪魔すんな!でてけ!」
 八つ当たり的に怒鳴る。

「尚更恥ずかしいし…!」
 葛葉子はどんどんと、おでこを背中にぶつける。
 葛葉子は恥ずかしすぎて瑠香の背中に八つ当たりだ。
 その行為が可愛いと瑠香は内心思ってしまった。

「おばさーん!瑠香にいが、女連れ込んでる!たすけて!」
 ドタドタと足音を立てて一階に行って言いつけに行った。
 母は状況を察し、

「ほっといてあげて、孫つくってくれるらしいんだから!」
 含み笑い混じりの注意していた。
「………今日はおあずけだな」
「う、うん」

 お母さんのその声が聞こえて流石にさらに二人恥ずかしくなって瑠香は葛葉子の服をとりに行った。
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