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あやかしと神様の狐の嫁入り
8☆嫁当てのキス
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《狐と後尾させられる!》
と葛葉子の必死な思いを、瑠香は聞いて護衛も忘れて一人猛スピードで駆け出し襖を蹴り飛ばしていた。
「何者だ!お前は!」
「なんで人の子が!?」
「いや、ほんとに人か?」
「つまみ出せ!」
突然の乱入者に狐たちが騒ぐ。
息を切らせながら審神者の瞳をきらめかせ、怒りを込めた拳で柱を叩き、狐たちを黙らせて
「葛葉子は、オレの嫁だし!後尾をしていいのはオレだけだ!」
本気で宣言する。
「る、るかのバカっ!恥ずかしいこと宣言すんな!」
人だったら顔を真っ赤にして抗議していた。
葛葉子だとバレて動けるけれどキスをしていないから狐のままだ。
瑠香は狐たちに一斉に睨まれる。威嚇され一斉に襲いかけられたが、瑠香の能力のお香が狐たちを捉えて無傷だ。
「ほう……強いな」
葛葉子に前足を向けているウカ様と瞳が合う。
瑠香は審神者の瞳でウカ様をみる。
かなりの神力のあるあやかしだとわかる。
それに、古キツネに神に仕えたことがあるのかと、審神者の瞳は力量的神力がわかる。
「神の化身で審神者の香茂の陰陽師か」
ウカ様はすぐに瑠香を見抜くと不敵に笑う。
葛葉子を静かに開放すると、周りを霧に隠して、顕にすると、皆同じ花嫁の格好をした狐にしてしまった。
狐は騙すのが好きだ。
「お前の嫁だというのならば当ててみろ。」
「ふん!一発で当ててやる!」
瑠香は自信たっぷりに宣言する。
「では、証拠を見せてみろ……」
簡単だ。
一匹の狐の着物の襟首を掴んで持ち上げて、瞳を見つめる。
瞳が大きく潤んでいる。
瑠香はこの狐が一番可愛いと思う。
だって葛葉子だから。
(ほんとに私だと当ててくれるなんて……さすが神様だな)
《神様だからじゃないぞ》
瑠香からキスをする。
(狐のくちづけは嫌なはずなのに……)
ドロンと煙が出ると人に戻る。
着物はそのまま人のサイズになって違和感ない。さすがあやかし用の着物だった。
「ちっ!」
「なんで舌打ちするんだ?」
「裸になるかと…期待少ししてたのに……」
「瑠香のスケベが!」
「ふふっスケベでいいんだよ…」
「んッ……」
もう一度くちづけをする。
一日ぶりのくちづけはやっと瑠香の心を落ち着かせた。
「また人間に愛を見せつけられるとはな……」
ウカ様はふぉっふぉっと豪快に笑った。
狐たちは困惑とざわめきが収まらない、
「この結婚式どうなるんだ?」
「どうせ、結婚したくなかったんだろそこの婿狐も…」
正座してうつむいていた荻尾に瑠香はいうが、
俯いていた頭を上げて、
「ちがう、萩姫でなくては!いやだ!」
狐だけど凛々しい顔が真剣に瑠香を見て否定する。
「なら、どうするのだ?」
ウカ様は唸るような声音を出して問う。
「萩姫を向かえに行きます!」
荻尾が飛び出して向かえに行こうとすると、
「その必要はないよ!」
東と臣外気を切らせながら現れた。
「何も言わずに駆け出すな!」
臣が怒る。
あやかしに襲われたのか制服がボロボロにされている。
「瑠香!護衛は義務なのに!あとで制裁だからね!」
東は無傷だったが、走らせて申し訳ないと思うし、どんな制裁も受ける覚悟はある。
「ほら、隠れてないで婿にあっておあげ」
優しく促されて東の後ろから萩姫が顔をのぞかせる。
「荻尾さま。わたし……あなたの気持ちがわからなくて怖かったのです。
他の狐と同じように誰でも良かったのかと思って、嫁いでもどうでもいい狐になるのかと思って……」
声を震わせ、耳を後ろにおり、今にも泣き出しそうだ。
そんな萩姫を荻尾は前足で抱きしめて、
「いざ、結婚となって当然のように萩姫が嫁いでくるものだとおもったのに、萩姫ではなく、他のメギツネで絶望した。誰でもない萩姫が良いと思った……」
二匹寄り添う。
思いが通じあった二匹は愛をみなの前で証明する必要はない。
「荻尾様みたいに優しい狐で良かった。」
「私も萩姫のようにおしとやかで優しい狐がよい」
「瑠香の神の化身では身が持ちません!」
「葛葉子のような強いおなごでは喰い殺されてしまう」
二匹は瑠香と葛葉子を見て微笑む。
「あの二人はお似合いだ」
「だろう?わかってるではないか。」
瑠香は不敵に笑って葛葉子をさらに抱き寄せ離さない。
「わかってない!私だってゴメンだ、このスケベなんて!」
「このまま交尾してやってもいいんだぞ」
「んなっ!ほんっとスケベ!変態!バカッ……っ!」
おでこにキスをして見せつけてやった。
《これで勘弁してやるからおとなしくしろ》
「あーいつもの二人が始まったよ」
「熱い上にお熱いねぇ。まぁそれがいいところだよね」
臣と東もやっと安心したのだった。
丸く全てが収まったのを見守った、ウカ様は満足そうに、ふぉっふぉっと大きく笑うと
「宴だ!宴だ!皇族さま、神様の、人の子らも祝福に加わるが良い。無礼講じゃ!」
盛り上げ上手なウカ様の雰囲気に狐たちも気を取り戻し、二匹の祝言を再び盛大に祝い出すのだった。
と葛葉子の必死な思いを、瑠香は聞いて護衛も忘れて一人猛スピードで駆け出し襖を蹴り飛ばしていた。
「何者だ!お前は!」
「なんで人の子が!?」
「いや、ほんとに人か?」
「つまみ出せ!」
突然の乱入者に狐たちが騒ぐ。
息を切らせながら審神者の瞳をきらめかせ、怒りを込めた拳で柱を叩き、狐たちを黙らせて
「葛葉子は、オレの嫁だし!後尾をしていいのはオレだけだ!」
本気で宣言する。
「る、るかのバカっ!恥ずかしいこと宣言すんな!」
人だったら顔を真っ赤にして抗議していた。
葛葉子だとバレて動けるけれどキスをしていないから狐のままだ。
瑠香は狐たちに一斉に睨まれる。威嚇され一斉に襲いかけられたが、瑠香の能力のお香が狐たちを捉えて無傷だ。
「ほう……強いな」
葛葉子に前足を向けているウカ様と瞳が合う。
瑠香は審神者の瞳でウカ様をみる。
かなりの神力のあるあやかしだとわかる。
それに、古キツネに神に仕えたことがあるのかと、審神者の瞳は力量的神力がわかる。
「神の化身で審神者の香茂の陰陽師か」
ウカ様はすぐに瑠香を見抜くと不敵に笑う。
葛葉子を静かに開放すると、周りを霧に隠して、顕にすると、皆同じ花嫁の格好をした狐にしてしまった。
狐は騙すのが好きだ。
「お前の嫁だというのならば当ててみろ。」
「ふん!一発で当ててやる!」
瑠香は自信たっぷりに宣言する。
「では、証拠を見せてみろ……」
簡単だ。
一匹の狐の着物の襟首を掴んで持ち上げて、瞳を見つめる。
瞳が大きく潤んでいる。
瑠香はこの狐が一番可愛いと思う。
だって葛葉子だから。
(ほんとに私だと当ててくれるなんて……さすが神様だな)
《神様だからじゃないぞ》
瑠香からキスをする。
(狐のくちづけは嫌なはずなのに……)
ドロンと煙が出ると人に戻る。
着物はそのまま人のサイズになって違和感ない。さすがあやかし用の着物だった。
「ちっ!」
「なんで舌打ちするんだ?」
「裸になるかと…期待少ししてたのに……」
「瑠香のスケベが!」
「ふふっスケベでいいんだよ…」
「んッ……」
もう一度くちづけをする。
一日ぶりのくちづけはやっと瑠香の心を落ち着かせた。
「また人間に愛を見せつけられるとはな……」
ウカ様はふぉっふぉっと豪快に笑った。
狐たちは困惑とざわめきが収まらない、
「この結婚式どうなるんだ?」
「どうせ、結婚したくなかったんだろそこの婿狐も…」
正座してうつむいていた荻尾に瑠香はいうが、
俯いていた頭を上げて、
「ちがう、萩姫でなくては!いやだ!」
狐だけど凛々しい顔が真剣に瑠香を見て否定する。
「なら、どうするのだ?」
ウカ様は唸るような声音を出して問う。
「萩姫を向かえに行きます!」
荻尾が飛び出して向かえに行こうとすると、
「その必要はないよ!」
東と臣外気を切らせながら現れた。
「何も言わずに駆け出すな!」
臣が怒る。
あやかしに襲われたのか制服がボロボロにされている。
「瑠香!護衛は義務なのに!あとで制裁だからね!」
東は無傷だったが、走らせて申し訳ないと思うし、どんな制裁も受ける覚悟はある。
「ほら、隠れてないで婿にあっておあげ」
優しく促されて東の後ろから萩姫が顔をのぞかせる。
「荻尾さま。わたし……あなたの気持ちがわからなくて怖かったのです。
他の狐と同じように誰でも良かったのかと思って、嫁いでもどうでもいい狐になるのかと思って……」
声を震わせ、耳を後ろにおり、今にも泣き出しそうだ。
そんな萩姫を荻尾は前足で抱きしめて、
「いざ、結婚となって当然のように萩姫が嫁いでくるものだとおもったのに、萩姫ではなく、他のメギツネで絶望した。誰でもない萩姫が良いと思った……」
二匹寄り添う。
思いが通じあった二匹は愛をみなの前で証明する必要はない。
「荻尾様みたいに優しい狐で良かった。」
「私も萩姫のようにおしとやかで優しい狐がよい」
「瑠香の神の化身では身が持ちません!」
「葛葉子のような強いおなごでは喰い殺されてしまう」
二匹は瑠香と葛葉子を見て微笑む。
「あの二人はお似合いだ」
「だろう?わかってるではないか。」
瑠香は不敵に笑って葛葉子をさらに抱き寄せ離さない。
「わかってない!私だってゴメンだ、このスケベなんて!」
「このまま交尾してやってもいいんだぞ」
「んなっ!ほんっとスケベ!変態!バカッ……っ!」
おでこにキスをして見せつけてやった。
《これで勘弁してやるからおとなしくしろ》
「あーいつもの二人が始まったよ」
「熱い上にお熱いねぇ。まぁそれがいいところだよね」
臣と東もやっと安心したのだった。
丸く全てが収まったのを見守った、ウカ様は満足そうに、ふぉっふぉっと大きく笑うと
「宴だ!宴だ!皇族さま、神様の、人の子らも祝福に加わるが良い。無礼講じゃ!」
盛り上げ上手なウカ様の雰囲気に狐たちも気を取り戻し、二匹の祝言を再び盛大に祝い出すのだった。
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