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あやかしと神様のドキドキ同居
1☆房菊の思い
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葛葉子の住まいを瑠香の局の隣に住まわすことの許可が降りた。
中務の宮を守る任に付いているのだから問題ないと東殿下は快く許可してくれた。
陰陽寮と中務の宮は大廊下を隔てた所にある。
陰陽寮は宿直が常に出来るように大部屋が用意されている。
風呂、トイレ、炊事場は揃っている。
風呂は宮中職員全員が入るための銭湯もあるが、清めが必要な神職や巫女職、月のものがある侍女職には個別に備え付けられる。
とくに、陰陽寮長と瑠香が晴房の教育を任されているので凶日と定めてある物忌期間、有給以外、自宅に帰らず、住み込みが可能だ。
他の職員は宿直寮か自宅から通う。
陰陽寮は超能力者が集まる特殊機関。
宮中以外で風水の守りを監視する仕事もある。
交通相と風水の相談も日にちの日程も良い日や、土地の祓いの仕事もあって結構忙しかったりする。
知識も必要。
能力も必要。
職員のシフトの吉凶も整理して物忌も決める。
瑠香も晴房も幼い時から仕事を見てプロフェッショナルになるために務めている。
そういう制度が伝統を重んじる日和国にはあった。
良き日、晴の日、卦の日を選ぶのは日和の伝統で風習である。
葛葉子は宮中皇居を守る四神の化身である白虎の方位神の力を託された白狐だ。
宮中の四方には、同じ役割を果たした『あやかし』で神がいる。
南は朱雀の化身の雀。
東は青龍の化身の鯰。
西は白虎の化身の白狐の葛葉子。
北は玄武の化身の白蛇
がエリアごとに結界を張っているというのだ。
本来それを仕切るのは陰陽寮長の役目でもあり、阿部家の血筋の物が定める。
将来は阿部家の血筋でもありハルの神の化身の晴房が陰陽寮長となり宮中の守りを固める予定だ。
そして、葛葉子は四神の仕事をしている事は陰陽寮の仕事とみなし陰陽寮職員として掌典寮の巫女から移籍した。
掌典寮も承諾してくれた。
白狐は獣の神といえど、ないがしろにできないし、白狐になってしまったのは、葛葉子に心を配らなかった負い目もある。
それに扱いに困っていたのも事実だった。
巫女としての仕事をするときは呼び出すと、葛葉子を可愛がっていた内掌典から告げられたが、もう戻る事は無いだろうと葛葉子は惜しむよりも。新たな居場所が出来たことに安堵した。
☆
瑠香は隣の局に葛葉子がいると思うとドキドキする。
宮中は陛下のお持ち物、いつも綺麗にしているが、気が緩むと本で散らかる局を片付ける。
晴房の教育部屋でもあるので散らかすなという方が無理だった。
しかし、葛葉子も本が好きみたいで興味を持って読む。
瑠香も本が好きだ。
同じような家に、同じ趣味。
お互いすんなりと受け入れられる。
ただ、素直に信用してはいけないという戒めだけがある…
瑠香は葛葉子の事を信用し、恋人になりたいくらいだが、父親同士が疑いを持っている。
まるでロミオとジュリエットだなと思いつつ……
瑠香の父親は子作りを許している。
逆に父から言われると、手を出しづらい。
息子の性格を知っているから、そういったのかも知れない。
瑠香は学校から帰ると晴房に基礎勉強を教える。
葛葉子も晴房に混じって勉強する。
晴房はその事にとても喜ぶ。
そして、葛葉子をとても気にいってるらしくベタベタ甘えている。
(オレだってベタベタしたい甘えたい……)
とは思いつつ、大人の矜持で表に出さない。
叔母と甥だから似ている所がある。
晴房も無意識に母親を感じているのかもしれない。
そう思うと瑠香は晴房を切なく思う。
だが、晴房は、
「女は柔らかいのだ!」
とんでもないこと言い出した。
葛葉子に抱いて寝てもらってご満悦らしい。
子供の特権に文句を言うことはないけれど、
「オレに抱っこしてもらわなくていいのか?」
「瑠香はゴツゴツしててヤダ。」
はっきり言われる。
「……もう二度と抱いて寝てやらないぞ。」
不安になると抱っこを強要してくるくせに、葛葉子が来てから毎日抱きつく。
夜、隣を覗くと葛葉子の胸に顔を埋めてる。
このっ!エロガキがっ!
とイラッとする。
葛葉子も愛おしそうに晴房を抱きしめる。
いつもなら、皇居を守る神獣として、この時間は外に出て朝方まで帰ってこない。
今夜は見回りをやらないのかと言おうと起こそうとしたら、
葛葉子の頬に涙を伝っていてドキッとする。
悲しい夢でも見ているのだろうか……
「ごめんね。
あなたを産んで、恨んで、死んでごめんね……」
寝言?
だが、葛葉子の体からゆらりと煙のような幽体が現れた。
中務の宮を守る任に付いているのだから問題ないと東殿下は快く許可してくれた。
陰陽寮と中務の宮は大廊下を隔てた所にある。
陰陽寮は宿直が常に出来るように大部屋が用意されている。
風呂、トイレ、炊事場は揃っている。
風呂は宮中職員全員が入るための銭湯もあるが、清めが必要な神職や巫女職、月のものがある侍女職には個別に備え付けられる。
とくに、陰陽寮長と瑠香が晴房の教育を任されているので凶日と定めてある物忌期間、有給以外、自宅に帰らず、住み込みが可能だ。
他の職員は宿直寮か自宅から通う。
陰陽寮は超能力者が集まる特殊機関。
宮中以外で風水の守りを監視する仕事もある。
交通相と風水の相談も日にちの日程も良い日や、土地の祓いの仕事もあって結構忙しかったりする。
知識も必要。
能力も必要。
職員のシフトの吉凶も整理して物忌も決める。
瑠香も晴房も幼い時から仕事を見てプロフェッショナルになるために務めている。
そういう制度が伝統を重んじる日和国にはあった。
良き日、晴の日、卦の日を選ぶのは日和の伝統で風習である。
葛葉子は宮中皇居を守る四神の化身である白虎の方位神の力を託された白狐だ。
宮中の四方には、同じ役割を果たした『あやかし』で神がいる。
南は朱雀の化身の雀。
東は青龍の化身の鯰。
西は白虎の化身の白狐の葛葉子。
北は玄武の化身の白蛇
がエリアごとに結界を張っているというのだ。
本来それを仕切るのは陰陽寮長の役目でもあり、阿部家の血筋の物が定める。
将来は阿部家の血筋でもありハルの神の化身の晴房が陰陽寮長となり宮中の守りを固める予定だ。
そして、葛葉子は四神の仕事をしている事は陰陽寮の仕事とみなし陰陽寮職員として掌典寮の巫女から移籍した。
掌典寮も承諾してくれた。
白狐は獣の神といえど、ないがしろにできないし、白狐になってしまったのは、葛葉子に心を配らなかった負い目もある。
それに扱いに困っていたのも事実だった。
巫女としての仕事をするときは呼び出すと、葛葉子を可愛がっていた内掌典から告げられたが、もう戻る事は無いだろうと葛葉子は惜しむよりも。新たな居場所が出来たことに安堵した。
☆
瑠香は隣の局に葛葉子がいると思うとドキドキする。
宮中は陛下のお持ち物、いつも綺麗にしているが、気が緩むと本で散らかる局を片付ける。
晴房の教育部屋でもあるので散らかすなという方が無理だった。
しかし、葛葉子も本が好きみたいで興味を持って読む。
瑠香も本が好きだ。
同じような家に、同じ趣味。
お互いすんなりと受け入れられる。
ただ、素直に信用してはいけないという戒めだけがある…
瑠香は葛葉子の事を信用し、恋人になりたいくらいだが、父親同士が疑いを持っている。
まるでロミオとジュリエットだなと思いつつ……
瑠香の父親は子作りを許している。
逆に父から言われると、手を出しづらい。
息子の性格を知っているから、そういったのかも知れない。
瑠香は学校から帰ると晴房に基礎勉強を教える。
葛葉子も晴房に混じって勉強する。
晴房はその事にとても喜ぶ。
そして、葛葉子をとても気にいってるらしくベタベタ甘えている。
(オレだってベタベタしたい甘えたい……)
とは思いつつ、大人の矜持で表に出さない。
叔母と甥だから似ている所がある。
晴房も無意識に母親を感じているのかもしれない。
そう思うと瑠香は晴房を切なく思う。
だが、晴房は、
「女は柔らかいのだ!」
とんでもないこと言い出した。
葛葉子に抱いて寝てもらってご満悦らしい。
子供の特権に文句を言うことはないけれど、
「オレに抱っこしてもらわなくていいのか?」
「瑠香はゴツゴツしててヤダ。」
はっきり言われる。
「……もう二度と抱いて寝てやらないぞ。」
不安になると抱っこを強要してくるくせに、葛葉子が来てから毎日抱きつく。
夜、隣を覗くと葛葉子の胸に顔を埋めてる。
このっ!エロガキがっ!
とイラッとする。
葛葉子も愛おしそうに晴房を抱きしめる。
いつもなら、皇居を守る神獣として、この時間は外に出て朝方まで帰ってこない。
今夜は見回りをやらないのかと言おうと起こそうとしたら、
葛葉子の頬に涙を伝っていてドキッとする。
悲しい夢でも見ているのだろうか……
「ごめんね。
あなたを産んで、恨んで、死んでごめんね……」
寝言?
だが、葛葉子の体からゆらりと煙のような幽体が現れた。
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