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10☆変化
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「う…う、かよ…かよ…果世…」
二十代の男女が街灯のスポットライトに照らされて、互いに重なるようあぐら座りをしてだきあっていた。
「血、血が足りないよぉ…じゅ、じゅんちゃん……」
女の子…果世さんは、甘えるような色っぽい声にも聞こえるが、不気味にくぐもってきこえる。
「僕の血を…肉を食べていいよ…だから元に戻ってくれ…人間に戻ってくれ…」
激しい息遣いと呻くような男の人は『じゅん』という名前のようだ。
私は街灯に照らされて抱き合う二人の様子に驚愕する。
「ヤバいことになってたな…彼女の方…容疑者の方はもう人間じゃない」
背中から節ばった蜘蛛の脚が生えて男を捕らえている。
そして、何度も噛み付いている。
噛み跡の皮膚は紫に爛れていた。
「ホテルでの被害者も吸血鬼のような痕はあったけど、噛み跡に皮膚を溶かす液体が付着していたんだ……」
と、健十郎さんは事件の被害者の遺体不可解なところを今更口にする。
健十郎さんは、オープンな性格と思いきや秘密厳守の警察官の素質を持っていると思う。
健十郎さんは普通の人間ではないんだろうな…と私は薄々思っていたが確信に変わる。
「それに吸血鬼ではなくて、蜘蛛女…か…」
「蜘蛛女…?」
「蜘蛛は餌を毒の牙で溶かしてその体液をとかして吸うんだ。まぁ、あのこの場合は血液ごと吸っちゃてたけど、自分の体にあった妖怪になったようだな…」
「だから、吸血鬼の仕業と思ってたんですね?」
「そうだな….」
と、私たちの声は普通に小声ではない、わざと聞こえるように話しているのに彼らは聞こえないみたいだ。
「うっ!」
私は果世さんの顔を見て息を飲む。
じゅんさんにガブリと肩に噛み付く女の子の顔に目が六つもあった。
蜘蛛のような目ではなくむしろ人の目が六つで白目が光動向が小さく赤い。
だんだん蜘蛛の化け物になっている。
「猟奇殺人、不可思議な殺害方法
……やはり、モンスターエリクサの薬をやってたんだな。」
「それはなんですか?」
「直訳で魔物になる薬、裏で出回ってここ数年増えてるんだ…」
「それって麻薬…みたいなものですか?」
私はそう口にすると、健十郎さんは頷く。
「謎の闇の組織が、心に闇を持った人間を救うフリして、高値で売り渡して妖怪にしてるんだ。更に、その製造方法は妖怪の血肉だ…」
「妖怪の血肉で人間をあやかしにしたら……あの、果世さんも回収されないでしょうか?」
私は思った事が当然のように口から出る。
そんな組織と関わったことがないのに…どうしてだろうと……自分を不思議に感じ、首を傾げる。
「まぁ…そのとおりだ……だからこそ純血のあやかしの敵だな」
「それは、ミミさんが言っていた…敵ということですね?」
「ああ、ルイさんは感がいいな。」
「すべて関連性で考えるとそうなるかと……」
なんだか刑事ぽい考え方かも知れないと自分に思う。
本物の警官さんが目の前にいるのにおこがましいことかもしれないと思うけれど……
「さ…そろそろ、あの男を助けるか…」
ずいぶん見ているだけで話していて、時間が空いてしまってるような気がするけれど、健十郎さんは空の雲が見え隠れする月を話している間チラチラとタイミングを図るように見ていた。
「もう、全ての復讐は、終わったんだよ、果世、あとは、君を救えなかった…僕を食べれば、人に戻れる……きっと……」
じゅんさんは自分の考えに酔っていると私ですら思う言葉をせつなげに彼女に言う。
「もどれるわけねーよ!」
健十郎さんは蜘蛛吸血鬼の女の子の果世さんの横腹を蹴飛ばすと思いきや、じゅんさんのほうを思いっきり蹴飛ばして、引き剥がした。
勢い良く地面を滑り蹴飛ばした健十郎さんを怒りの瞳でにらみ、
「な、何をするんだ!これで彼女の復讐は終わるのに…あとは…僕が責任を持って死ぬだけで…彼女は人にも出れるのに…」
復讐……?
それはもしかして健十郎さんが言っていた五年前の集団強姦事件の事だろうか?と察した。
さらに、男の襟首を健十郎さんは引きずり蜘蛛女から引き剥がし私の所に戻ってきた。
「戻れた試しがねぇんだよ……化物になっちまったらな……」
健十郎さんは何か辛いことを思い出した辛い顔をした。
「それに、人の意識も肉体も無くなっちまったら殺るしかないんだよ!」
と、胸ぐらに掴み直して怒鳴る。
それは自分に過去の自分に言い聞かせてるようだった。
「……ルイさん、頼みがある」
「な、なんでしょうか……」
「ルイさんの自白術でこいつの過去を…薬をもらった経緯を告白させて欲しい。例の組織のことをこいつは絶対知ってるはずだしな…」
「は、はい。それなら出来るかと……」
私は吸血鬼といえど、化け物に立ち向かう力はない、そっちを頼まれるかと正直思ったけれど、自白術ならおやすいごようだ。
こんな自分でも何か役に立てることはとてもうれしく感じて、
「はい!頑張ります!」
と、意気込んだら、健十郎さんの鬼気迫る雰囲気が一瞬和らいだ。
「俺は女の方をやらなきゃならないからな……」
そう言って、蜘蛛女に向き直り、上着を脱いで上半身裸になる。
月をじっと見つめると、瞳が銀に輝き、
「うおおおおおん!」
遠吠えとともに滑らかな皮膚から灰色の毛が生えて上背も二倍になり、顔も狼に変化した。
「健十郎さんは…狼男……」
正直言ってワンコの妖怪かと思って期待していたのに、狼男……
まぁ、色々と思いつくことがあるけれど……すっごく納得いった。
「女の子には乱暴なことしたくないんだけどな…」
「乱暴……だと?もう、やめろ!果世をこれ以上傷つけないでくれ!」
男はバッ立ち上がり、健十郎さんの腰回りにタックルをしたが、両手を離されて、私の方に投げ飛ばした。
「うるせぇ!この姿になると気が立つんだ!殺されたくなかったら大人しくしてろ!」
と、殺気を込めて怒鳴る!
健十郎さんが、彼氏のじゅんさんに暴力をしたのを、体が変化して身動きができない果世さんは、その様子をずっと見ていた。
「じゅ、じゅんちゃんを、いじめるなぁ!」
果世さんはさらに体が大きくなりお尻が異様に膨らんで破けて蜘蛛のお尻に変化する。
果世さんの体が巨大の蜘蛛にベキベキと変化する様子に声が出ない。
「もう人間に戻ることは無理なんだろうと思うほどの身体の変化ぷりだね…早くやっちゃっいなよ!そんなの喰えないわ!木っ端微塵にね!」
ミミさんがぴょんと薮から出てきて健十郎さんに命令する。
「そうしてやるさ!おれの獲物だ!手を出すなよ!」
「あーはいはい。ルイちゃんと男の方をどうにかしておくわ」
ミミさんは男をすんなり羽交い締めにする。
「ほい、自白術よろしく、吸血鬼さん」
「は、はい!」
ミミさんは自白できるように男の瞼を広げる。
ルイの自白能力で白状はせる。
五年前の集団強姦事件の主犯格は政治家の息子というけれど本当は違った……
二十代の男女が街灯のスポットライトに照らされて、互いに重なるようあぐら座りをしてだきあっていた。
「血、血が足りないよぉ…じゅ、じゅんちゃん……」
女の子…果世さんは、甘えるような色っぽい声にも聞こえるが、不気味にくぐもってきこえる。
「僕の血を…肉を食べていいよ…だから元に戻ってくれ…人間に戻ってくれ…」
激しい息遣いと呻くような男の人は『じゅん』という名前のようだ。
私は街灯に照らされて抱き合う二人の様子に驚愕する。
「ヤバいことになってたな…彼女の方…容疑者の方はもう人間じゃない」
背中から節ばった蜘蛛の脚が生えて男を捕らえている。
そして、何度も噛み付いている。
噛み跡の皮膚は紫に爛れていた。
「ホテルでの被害者も吸血鬼のような痕はあったけど、噛み跡に皮膚を溶かす液体が付着していたんだ……」
と、健十郎さんは事件の被害者の遺体不可解なところを今更口にする。
健十郎さんは、オープンな性格と思いきや秘密厳守の警察官の素質を持っていると思う。
健十郎さんは普通の人間ではないんだろうな…と私は薄々思っていたが確信に変わる。
「それに吸血鬼ではなくて、蜘蛛女…か…」
「蜘蛛女…?」
「蜘蛛は餌を毒の牙で溶かしてその体液をとかして吸うんだ。まぁ、あのこの場合は血液ごと吸っちゃてたけど、自分の体にあった妖怪になったようだな…」
「だから、吸血鬼の仕業と思ってたんですね?」
「そうだな….」
と、私たちの声は普通に小声ではない、わざと聞こえるように話しているのに彼らは聞こえないみたいだ。
「うっ!」
私は果世さんの顔を見て息を飲む。
じゅんさんにガブリと肩に噛み付く女の子の顔に目が六つもあった。
蜘蛛のような目ではなくむしろ人の目が六つで白目が光動向が小さく赤い。
だんだん蜘蛛の化け物になっている。
「猟奇殺人、不可思議な殺害方法
……やはり、モンスターエリクサの薬をやってたんだな。」
「それはなんですか?」
「直訳で魔物になる薬、裏で出回ってここ数年増えてるんだ…」
「それって麻薬…みたいなものですか?」
私はそう口にすると、健十郎さんは頷く。
「謎の闇の組織が、心に闇を持った人間を救うフリして、高値で売り渡して妖怪にしてるんだ。更に、その製造方法は妖怪の血肉だ…」
「妖怪の血肉で人間をあやかしにしたら……あの、果世さんも回収されないでしょうか?」
私は思った事が当然のように口から出る。
そんな組織と関わったことがないのに…どうしてだろうと……自分を不思議に感じ、首を傾げる。
「まぁ…そのとおりだ……だからこそ純血のあやかしの敵だな」
「それは、ミミさんが言っていた…敵ということですね?」
「ああ、ルイさんは感がいいな。」
「すべて関連性で考えるとそうなるかと……」
なんだか刑事ぽい考え方かも知れないと自分に思う。
本物の警官さんが目の前にいるのにおこがましいことかもしれないと思うけれど……
「さ…そろそろ、あの男を助けるか…」
ずいぶん見ているだけで話していて、時間が空いてしまってるような気がするけれど、健十郎さんは空の雲が見え隠れする月を話している間チラチラとタイミングを図るように見ていた。
「もう、全ての復讐は、終わったんだよ、果世、あとは、君を救えなかった…僕を食べれば、人に戻れる……きっと……」
じゅんさんは自分の考えに酔っていると私ですら思う言葉をせつなげに彼女に言う。
「もどれるわけねーよ!」
健十郎さんは蜘蛛吸血鬼の女の子の果世さんの横腹を蹴飛ばすと思いきや、じゅんさんのほうを思いっきり蹴飛ばして、引き剥がした。
勢い良く地面を滑り蹴飛ばした健十郎さんを怒りの瞳でにらみ、
「な、何をするんだ!これで彼女の復讐は終わるのに…あとは…僕が責任を持って死ぬだけで…彼女は人にも出れるのに…」
復讐……?
それはもしかして健十郎さんが言っていた五年前の集団強姦事件の事だろうか?と察した。
さらに、男の襟首を健十郎さんは引きずり蜘蛛女から引き剥がし私の所に戻ってきた。
「戻れた試しがねぇんだよ……化物になっちまったらな……」
健十郎さんは何か辛いことを思い出した辛い顔をした。
「それに、人の意識も肉体も無くなっちまったら殺るしかないんだよ!」
と、胸ぐらに掴み直して怒鳴る。
それは自分に過去の自分に言い聞かせてるようだった。
「……ルイさん、頼みがある」
「な、なんでしょうか……」
「ルイさんの自白術でこいつの過去を…薬をもらった経緯を告白させて欲しい。例の組織のことをこいつは絶対知ってるはずだしな…」
「は、はい。それなら出来るかと……」
私は吸血鬼といえど、化け物に立ち向かう力はない、そっちを頼まれるかと正直思ったけれど、自白術ならおやすいごようだ。
こんな自分でも何か役に立てることはとてもうれしく感じて、
「はい!頑張ります!」
と、意気込んだら、健十郎さんの鬼気迫る雰囲気が一瞬和らいだ。
「俺は女の方をやらなきゃならないからな……」
そう言って、蜘蛛女に向き直り、上着を脱いで上半身裸になる。
月をじっと見つめると、瞳が銀に輝き、
「うおおおおおん!」
遠吠えとともに滑らかな皮膚から灰色の毛が生えて上背も二倍になり、顔も狼に変化した。
「健十郎さんは…狼男……」
正直言ってワンコの妖怪かと思って期待していたのに、狼男……
まぁ、色々と思いつくことがあるけれど……すっごく納得いった。
「女の子には乱暴なことしたくないんだけどな…」
「乱暴……だと?もう、やめろ!果世をこれ以上傷つけないでくれ!」
男はバッ立ち上がり、健十郎さんの腰回りにタックルをしたが、両手を離されて、私の方に投げ飛ばした。
「うるせぇ!この姿になると気が立つんだ!殺されたくなかったら大人しくしてろ!」
と、殺気を込めて怒鳴る!
健十郎さんが、彼氏のじゅんさんに暴力をしたのを、体が変化して身動きができない果世さんは、その様子をずっと見ていた。
「じゅ、じゅんちゃんを、いじめるなぁ!」
果世さんはさらに体が大きくなりお尻が異様に膨らんで破けて蜘蛛のお尻に変化する。
果世さんの体が巨大の蜘蛛にベキベキと変化する様子に声が出ない。
「もう人間に戻ることは無理なんだろうと思うほどの身体の変化ぷりだね…早くやっちゃっいなよ!そんなの喰えないわ!木っ端微塵にね!」
ミミさんがぴょんと薮から出てきて健十郎さんに命令する。
「そうしてやるさ!おれの獲物だ!手を出すなよ!」
「あーはいはい。ルイちゃんと男の方をどうにかしておくわ」
ミミさんは男をすんなり羽交い締めにする。
「ほい、自白術よろしく、吸血鬼さん」
「は、はい!」
ミミさんは自白できるように男の瞼を広げる。
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