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後日談
春の恋
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颯太と雪菜の結婚式はよく晴れて満開の桜の木の下で行われた。
招待された阿倍野家の者は雪菜の親戚として招かれた。
阿倍野殿はあやかしが人として化けて人と結婚して幸せになりたい時に、縁者として、あやかしの後ろ盾になることもあやかしの頭領としての役目でもあった。
最近は滅多にないことなので快く引き受ける。
ついでに狐耳と尻尾は術で隠してある。
三姉妹も鬼女将も八尾比丘尼も満開の桜と美しい花嫁花婿、颯太の親戚たちと祝福を祝う。
ウカ様も人の姿になって阿倍野縁者として酒を楽しんでいた。
不意に風が悪戯して、桜の花が舞い、私の髪に桜の花びらがついたのを晴綛は髪に触れてとってくれた。
背後の桜の木が艶やか咲き乱れ、淡い桜色を背景にする晴綛がより美しく見えた。
もう秘めた恋を乗り越え契りを交わした夫婦だというのに、初恋の如くに初々しい気持ちがなぜだか湧き起こってしまった。
今更、ドキドキしてしまう……
恋に気づいた年若い乙女のように……
気持ちがふわふわしてしまう。
晴綛もドギマギして、ぎこちない。
晴綛をいつの間にかずっと好きだったけれど…愛おしげに微笑んだ表情が素敵だった……
一瞬一瞬の愛おしさ、素敵な晴綛をどんどん好きになる……
もう三十路なのに流花の乙女のような表情にドキドキしてしまった……
母としてのしっかりした表情と、夜の営みの時の仇っぽさ、艶さとは真逆に乙女の表情に無垢さに純粋さに可愛くてドキドキとなぜか罪悪感……
好きすぎる…愛おしい…抱きしめたい、守りたい!
明綛が一目惚れした意味がわかった……
惚れるしかないし、己だけのものにしたい……
ドキドキしながら流花と晴綛はチラッと瞳を合わせると二人して顔を真っ赤にして頬を押さえて悶えているのを繰り返している二人を見ていた八尾比丘尼と鬼女将は眺めて……
「春ですね…」
「そうですね……羨ましいですね」
『春は恋の季節、我の力も相まってだな……」
春の季節の神は腕を組んで神気で心を浮き立たせられたことに満足だ。
颯太と雪菜も同じような感じだった。
「春の季節のは偉大ですね…私の心にも新たな春が芽吹けばいいのに…」
『椿を象徴する尼よ、もう少しの辛抱じゃ……季節は…魂は巡るのだからの…』
その後、巡りの御霊は東という春の方位の名前をいただく者が生まれるのはもう少しのちのこと。
招待された阿倍野家の者は雪菜の親戚として招かれた。
阿倍野殿はあやかしが人として化けて人と結婚して幸せになりたい時に、縁者として、あやかしの後ろ盾になることもあやかしの頭領としての役目でもあった。
最近は滅多にないことなので快く引き受ける。
ついでに狐耳と尻尾は術で隠してある。
三姉妹も鬼女将も八尾比丘尼も満開の桜と美しい花嫁花婿、颯太の親戚たちと祝福を祝う。
ウカ様も人の姿になって阿倍野縁者として酒を楽しんでいた。
不意に風が悪戯して、桜の花が舞い、私の髪に桜の花びらがついたのを晴綛は髪に触れてとってくれた。
背後の桜の木が艶やか咲き乱れ、淡い桜色を背景にする晴綛がより美しく見えた。
もう秘めた恋を乗り越え契りを交わした夫婦だというのに、初恋の如くに初々しい気持ちがなぜだか湧き起こってしまった。
今更、ドキドキしてしまう……
恋に気づいた年若い乙女のように……
気持ちがふわふわしてしまう。
晴綛もドギマギして、ぎこちない。
晴綛をいつの間にかずっと好きだったけれど…愛おしげに微笑んだ表情が素敵だった……
一瞬一瞬の愛おしさ、素敵な晴綛をどんどん好きになる……
もう三十路なのに流花の乙女のような表情にドキドキしてしまった……
母としてのしっかりした表情と、夜の営みの時の仇っぽさ、艶さとは真逆に乙女の表情に無垢さに純粋さに可愛くてドキドキとなぜか罪悪感……
好きすぎる…愛おしい…抱きしめたい、守りたい!
明綛が一目惚れした意味がわかった……
惚れるしかないし、己だけのものにしたい……
ドキドキしながら流花と晴綛はチラッと瞳を合わせると二人して顔を真っ赤にして頬を押さえて悶えているのを繰り返している二人を見ていた八尾比丘尼と鬼女将は眺めて……
「春ですね…」
「そうですね……羨ましいですね」
『春は恋の季節、我の力も相まってだな……」
春の季節の神は腕を組んで神気で心を浮き立たせられたことに満足だ。
颯太と雪菜も同じような感じだった。
「春の季節のは偉大ですね…私の心にも新たな春が芽吹けばいいのに…」
『椿を象徴する尼よ、もう少しの辛抱じゃ……季節は…魂は巡るのだからの…』
その後、巡りの御霊は東という春の方位の名前をいただく者が生まれるのはもう少しのちのこと。
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