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雪女とナマハゲ
5☆角隠しをする鬼女将
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温泉は山奥の秘湯が湧く場所に造られ、巨大な御殿のような建造物だった。
玄関前まで異界がちょうどよく繋がっていた。
昔は人間をおもてなしして、太ったら喰らうという事もしていた鬼を退治した香茂家の陰陽師の式神の契約をした鬼女将が一人で取り仕切り旅館客をおもてなしをしている。
鬼も食事を取らなくては生きていけないので、腹黒い悪人を選別して喰らっているという…恐ろしい鬼の住処には変わらない。
それ以外の訪問客には人の良い、お茶目で陽気で話のわかる旅館の女将である。
そんな鬼女将は花嫁が被る角隠しをして迎え入れてくれた。
おかしな格好をする鬼女将に阿倍野家一堂きょとんとする。
「今から結婚なさるんですか?」
流花は疑問を口にする。
そんな時にお世話になるなんて、むしろお祝いしなくてはと思う。
「ああ、これですか?」
鬼女将は角隠しを指差す。
「実は昨夜の吹雪で人間が数人、吹雪で命からからのところ、煌々と明るく輝く我が宿を頼りになされて、おもてなしをするために角を隠すためにかぶっているのです。普通の人間には角は見えなくなりますし、能力あるものには滑稽に見えてしまうでしょうね。」
オホホホホと口元を抑えて鬼女将は明るく笑う。
「本当に…驚きました。」
流花は納得いってほっとする。
鬼女将は突然正座をして頭を丁寧に下げて、
「本来は阿部野一家のみ、おもてなしする予定でしたのに申し訳ありません…」
鬼女将はそう謝罪をする。
「いえいえ、突然のことなら仕方ないことですよ」
「今回迷い込んだのはこの日和国を代表するスキー選手ということで香茂家からも丁重におもてなししろと命令も受けていて、精一杯おもてなしさせていただきますが不手際がございましたら遠慮なくお申し出ください…」
鬼女将はそう申し訳なく先に謝罪をする。
「スキーってなに?」
三姉妹は首を傾げる。
「冬のオリンピックで流行ってるスポーツ競技ですわ。」
鬼女将は助けた人間のことを根掘り葉掘り情報を取っていた。
女将の明るさに人は気を許すのだ。
明るく前向きな女将はどのようなものにも好かれると改めて思う。
「そうなのか。この雪は修行をするのに最適じゃな…日和国代表として頑張っているのは何よりだが、わしらは冬を予定通り春を迎えさせねばならぬ。雪は溶けてしまうがの。」
国代表のための練習に適しているなら雪が降るままがいいかも知れぬと思いつつ。
「わしらのことは構わず、お国のために頑張る人間の世話を優先してくれ。」
「いえいえ、阿部野御一家もお世話をさせていただきますわ!じつは、わたくし、こんなに沢山千客万来うれしくて、女将として差配してみせますわ!」
女将はそう言って胸を張り、阿部野一家が持ってきた荷物を全て抱えて部屋に案内する。
玄関前まで異界がちょうどよく繋がっていた。
昔は人間をおもてなしして、太ったら喰らうという事もしていた鬼を退治した香茂家の陰陽師の式神の契約をした鬼女将が一人で取り仕切り旅館客をおもてなしをしている。
鬼も食事を取らなくては生きていけないので、腹黒い悪人を選別して喰らっているという…恐ろしい鬼の住処には変わらない。
それ以外の訪問客には人の良い、お茶目で陽気で話のわかる旅館の女将である。
そんな鬼女将は花嫁が被る角隠しをして迎え入れてくれた。
おかしな格好をする鬼女将に阿倍野家一堂きょとんとする。
「今から結婚なさるんですか?」
流花は疑問を口にする。
そんな時にお世話になるなんて、むしろお祝いしなくてはと思う。
「ああ、これですか?」
鬼女将は角隠しを指差す。
「実は昨夜の吹雪で人間が数人、吹雪で命からからのところ、煌々と明るく輝く我が宿を頼りになされて、おもてなしをするために角を隠すためにかぶっているのです。普通の人間には角は見えなくなりますし、能力あるものには滑稽に見えてしまうでしょうね。」
オホホホホと口元を抑えて鬼女将は明るく笑う。
「本当に…驚きました。」
流花は納得いってほっとする。
鬼女将は突然正座をして頭を丁寧に下げて、
「本来は阿部野一家のみ、おもてなしする予定でしたのに申し訳ありません…」
鬼女将はそう謝罪をする。
「いえいえ、突然のことなら仕方ないことですよ」
「今回迷い込んだのはこの日和国を代表するスキー選手ということで香茂家からも丁重におもてなししろと命令も受けていて、精一杯おもてなしさせていただきますが不手際がございましたら遠慮なくお申し出ください…」
鬼女将はそう申し訳なく先に謝罪をする。
「スキーってなに?」
三姉妹は首を傾げる。
「冬のオリンピックで流行ってるスポーツ競技ですわ。」
鬼女将は助けた人間のことを根掘り葉掘り情報を取っていた。
女将の明るさに人は気を許すのだ。
明るく前向きな女将はどのようなものにも好かれると改めて思う。
「そうなのか。この雪は修行をするのに最適じゃな…日和国代表として頑張っているのは何よりだが、わしらは冬を予定通り春を迎えさせねばならぬ。雪は溶けてしまうがの。」
国代表のための練習に適しているなら雪が降るままがいいかも知れぬと思いつつ。
「わしらのことは構わず、お国のために頑張る人間の世話を優先してくれ。」
「いえいえ、阿部野御一家もお世話をさせていただきますわ!じつは、わたくし、こんなに沢山千客万来うれしくて、女将として差配してみせますわ!」
女将はそう言って胸を張り、阿部野一家が持ってきた荷物を全て抱えて部屋に案内する。
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