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孫に、当時を思い出し語る。
4☆微笑み
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「えーもうバレちゃったの!?」
特製おにぎりを大量に握って持ってきた姪の牡丹は半分がっかり、バレてワクワクと瞳を輝かせていた。
「駆け落ちするほどの恋をしちゃうなんて明綛叔父様素敵!あこがれるわ!」
と言って、二人の手助けをしていた。
手引きをしていたのは香茂家の跡取り娘なので香茂家も巻き添えを食った。
わしは審神者の役目として陛下と掌典寮にルカの神が定めた宿命の行動として進言しお許しをいただいた。
これは本当のことなのだ。致し方あるまい。
神が定めになった未来のための駆け落ち。
どんな定めが待っているのかは今だまにわしにも神に聞かされていない。
まぁ、黒御足八那果に不意に予言を聞かされたりしてうんざりしているので、未来など知りたくもないが…
わしが死んだあとのずっと先の未来に繋がっているのかも知れない……
なぜなら年の近い八那果が生きている時代ならその未来のことを予言しているはずなのだから…
この世に生きる人の身には所詮わからぬ遥かなる未来の彼方で、
それはハルカナル神の思し召しなのだから……
なんだかんだですんなり認められて明綛と流花は夫婦の盃を交わすことになった。
阿部野の家と香茂家で盛大に盛り上げた。
流花は緊張の面持ちをやっと和らげて美しく微笑んだことに、わしや明綛もほっとした。
そして、不意に目があってしまったわしに美しく微笑んでくれた。
「う………」
わしは胸がドキリとして、その微笑みをわしのものにしたくなってしまったのだ。
(いかん!いかん!今更恋心を抱いてどうする!さらなる、わしの欲しいものは二度と手に入らなくなる望みぞ!)
押し殺した恋心が再熱するのを思い出すがこんなめでたい日…兄を妬むことで気持ちを抑え込んだ。
明綛は流花の一族にも認めてもらうため神誓いをしたが失敗してなおさら家同士は拗れた…その理由はわし自身のせいでもあった。
「再婚した相手が双子の弟のわしだったからの。
瑠香くんが生まれるまで拗れたわい」
瑠香くんの祖父は因縁の掌典長だ。
その家系はルカの神が化身を定めて生まれるので、名前もその音を引き継ぐので、ルカと読めるように瑠香と名付けられたのだ。
今や名前の継承が香茂に移った。
阿部野の婿養子になるのは絶対に許さないと言われて香茂に葛葉子が嫁ぎ、家は阿部野屋敷の後継になったのだ。
兄の代わりとして流花と子供達を大切にしてたら、欲しいと思った流花の美しい微笑みを素直にわしに向けてくれる関係になった。
娘の橘が宿り流花とわしは夫婦になった。
そして、最後まで夫婦として長く寄り添いわしに微笑んでこの世を去った……
その時のことは今でも胸が悲しく締め付けるがおいぼれた今でも流花を想っている証だ。
特製おにぎりを大量に握って持ってきた姪の牡丹は半分がっかり、バレてワクワクと瞳を輝かせていた。
「駆け落ちするほどの恋をしちゃうなんて明綛叔父様素敵!あこがれるわ!」
と言って、二人の手助けをしていた。
手引きをしていたのは香茂家の跡取り娘なので香茂家も巻き添えを食った。
わしは審神者の役目として陛下と掌典寮にルカの神が定めた宿命の行動として進言しお許しをいただいた。
これは本当のことなのだ。致し方あるまい。
神が定めになった未来のための駆け落ち。
どんな定めが待っているのかは今だまにわしにも神に聞かされていない。
まぁ、黒御足八那果に不意に予言を聞かされたりしてうんざりしているので、未来など知りたくもないが…
わしが死んだあとのずっと先の未来に繋がっているのかも知れない……
なぜなら年の近い八那果が生きている時代ならその未来のことを予言しているはずなのだから…
この世に生きる人の身には所詮わからぬ遥かなる未来の彼方で、
それはハルカナル神の思し召しなのだから……
なんだかんだですんなり認められて明綛と流花は夫婦の盃を交わすことになった。
阿部野の家と香茂家で盛大に盛り上げた。
流花は緊張の面持ちをやっと和らげて美しく微笑んだことに、わしや明綛もほっとした。
そして、不意に目があってしまったわしに美しく微笑んでくれた。
「う………」
わしは胸がドキリとして、その微笑みをわしのものにしたくなってしまったのだ。
(いかん!いかん!今更恋心を抱いてどうする!さらなる、わしの欲しいものは二度と手に入らなくなる望みぞ!)
押し殺した恋心が再熱するのを思い出すがこんなめでたい日…兄を妬むことで気持ちを抑え込んだ。
明綛は流花の一族にも認めてもらうため神誓いをしたが失敗してなおさら家同士は拗れた…その理由はわし自身のせいでもあった。
「再婚した相手が双子の弟のわしだったからの。
瑠香くんが生まれるまで拗れたわい」
瑠香くんの祖父は因縁の掌典長だ。
その家系はルカの神が化身を定めて生まれるので、名前もその音を引き継ぐので、ルカと読めるように瑠香と名付けられたのだ。
今や名前の継承が香茂に移った。
阿部野の婿養子になるのは絶対に許さないと言われて香茂に葛葉子が嫁ぎ、家は阿部野屋敷の後継になったのだ。
兄の代わりとして流花と子供達を大切にしてたら、欲しいと思った流花の美しい微笑みを素直にわしに向けてくれる関係になった。
娘の橘が宿り流花とわしは夫婦になった。
そして、最後まで夫婦として長く寄り添いわしに微笑んでこの世を去った……
その時のことは今でも胸が悲しく締め付けるがおいぼれた今でも流花を想っている証だ。
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