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孫に、当時を思い出し語る。

3☆灯台下暗し

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「こんなところでいちゃつきおって!表出ろ!」
 
 灯台下暗し!阿倍野屋敷に身を潜めて、睦み合っておったのだ。
 さらに、洋館とは思えぬ景色の良い軒先のある部屋でだ。
 最中だとしても構わず、わしは明綛の貼った結果をを意図も容易く破り襖をバン!と開いてやった。
 だが、想像とは違いない二人とも服を着ていて、流花はシクシク泣いていた。

「はぁあ⁉︎何、女泣かせてんじゃぁ!表でろ!」

 わしは戸惑いながら流石に怒髪天で、明綛の胸ぐら掴み、廊下に投げ飛ばした。
「きゃ!」
 流花は突然の乱闘な驚く。
 
 わしは明綛に馬乗りになって明綛の顔をボコボコにしてやった。
 明綛はしばらく無抵抗だったが、突然強烈な拳をわしの額にぶつけて、わしを障子ごと庭に吹き飛ばした。
「ぐほぉっ!」
 奴の拳は何故かわしよりも強い。
 一発で、百発の威力を持っている。

「乱暴は、喧嘩はやめてください!私が悪いのです!」
 流花は青ざめながら二人の中に入る。
「ふん…確かにな。神誓いした巫女なのに男と交わって宮中から駆け落ちしたのだからの。
 神違えまでしなかったのを見ると明綛の事は本気ではないのかの?遊びの危ない恋をしてみたかったんかの?ん?」
 と見下し嫌味を言ってやった。
 わしも流花には一目惚れで密かに好いておったから、悔しさも余って意地悪な態度をとったことを内心反省するが、このくらい言ってもバチは当たらないだろうと思っていたのだが……


《我が化身の巫女を馬鹿にするな》


 ルカの神の化身の流花の体を乗ってってわしの水落ちに容赦なく蹴りを入れた。
「な、な、な、なんぞじゃ!」

《これは我が決めた縁ぞ、ケチをつける事は許さぬ》

 ルカの神は流花に乗り移って笑顔で凄んだ。
 審神者のわしでなかったら、神のお言葉とは気が付かないだろう。
「流花……?」
 審神者ではない明綛は突然の流花の力に顔色を青くしていた。
 ルカの神は流花の体から離れると、流花はハッと気を取り戻して、
「私は巫女として、陛下を心からお慕い申しております。けれど、三十路を過ぎたなら家の者と血族を残すために婚姻をしなくてはならず、全て血筋と家と名誉のための人生かと思い悩んでいた時に、明綛殿に心惹かれてしまったのです……
 さらにこの定められた人生から抜け出せるのでは…とも…流されるままに心のままに明綛殿と夫婦の契りを結んでしまったのです…
 宮中を陛下を裏切ることになったと…
 いろんな方々に迷惑をかけて…
 今更ながら情けないことながら冷静になって、不安で……」
 流花は気丈にそう理由を言うが途中でまた涙をこぼしてしまう。
 気丈な女子だが、涙もろいところも致し方ないと、わしはため息を吐く。
 ここまで女に言わせて黙って流花の肩を抱いてこちらを観ている兄の態度に腹が立ち、額に拳を入れてやりたい衝動に駆られるが……

「私はどんな理由があろうとも、流花に一目で惹かれて衝動を抑えることなどできなかった……」
 流花と明綛は見つめ合った後、こちらを真摯の瞳で見据えて真剣な顔で、

「逆らえない運命のまま流花をさらってしまい、私もびっくりするほどだ…」

「びっくりしたのはわしのほうだっ!このボケナスがあああぁあ!」

 元々口数は少ない口下手な兄だが他人事のような言い分に本気で怒りの拳を額に与えてやった。
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