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あやかしと神様の恋愛未満
あやかしと神様と東殿下☆5見つけてキスして
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柱に貼った御札の結界に反応があった。
東殿下は手加減しない。
面白い遊びに夢中な子供のように結界を色んなところに貼っていった。
葛葉子を包囲して捕まえる作戦はうまく行った。
「葛葉子みーつけた!」
持っていた懐中電灯で葛葉子を照らした。
「きゃっ!」
葛葉子は眩しくて目を思わずぎゅっと閉じた。
「あはは。ごめんごめん。さっ、おいで」
結界はあやかしにしか効かないのか東殿下が葛葉子の手首をそっと取って軒下の外に出そうとする。
「だ、だめです。結界で出られません!」
東殿下はなんともなくても、葛葉子は出ることは叶わないと思う。
「そうか、御札剥がさなきゃね…でも、剥がしに行ってる間に瑠香に見つかっちゃうかも…」
瑠香は同じく軒下あたりをウロウロしていた。
「逃げてもいいのだよ?」
東は猶予を葛葉子に与える。
無理やりキスをするのは女の子に失礼だ。
「逃げろといわれても……」
でもこの結界の中ではまた捕まってしまうだろう。
「そうだねぇ。このままだとほんとに僕の眷属にしちゃうよ?」
夜目の効く葛葉子は東の微笑みは陛下に似ていてドキドキしてしまう。さすが親子であられる。
葛葉子は耳をしゅんとと下げる。
尻尾をぱたばたと揺らす。
迷ってる。
東親王はとても優しい…。
瑠香みたいに意地悪しないし言わないけれど、キスをしようとしてることは同じだ。
葛葉子の頭をポンポンと優しく撫でて、妹を愛でる感じがするけれどその手も、やはり優しい…
いずれ祝皇になられるかもしれない可能性はある。
妃候補になるのも悪くないかもしれぬ……
これは魂に入った白狐の考え…
だけど…だけど…
私は……
瑠香に口づけしてほしい……
意地悪だけど、優しいキスを…したい……
「さぁ、狐のお姫様。
僕と誓いのキスをしようか?」
東殿下は葛葉子のあごを指で持ち上げてゆっくり唇を近づける。
唇の柔らかい感覚をイメージしていたが、違うと感じた東は瞳を開けて葛葉子をみると、両手でとっさに唇を隠していた。
「…ビッチって瑠香に馬鹿にされるのいやです…」
耳をひしゃげて、東を困ったように見つめる瞳は真剣で潤んでいた。
これが葛葉子の本心だ。
「……僕の眷属になればそんな意地悪はさせないよ?」
やはり、優しくそうおっしゃった。
東殿下の眷属になれば、守る立場から守られる立場になりそうだ。
瑠香も手出しができない。
もう触れてもらえなくなる……
それは、心がどことなく締め付けられるほど辛い……
「そ、それはそうかもしれないですけど…私は…」
瑠香にしてもらいたい……
そう、口にできないでいたら、
ブワッ!
と、大きな手の形をした煙が葛葉子を勢い良く軒下から掴みだした。
「瑠香⁉」
この力は瑠香の能力で初めて会ったときを思い出した。
煙の手は月明かりに葛葉子を照らすと、キラキラ光りながら霧散して葛葉子は抱きとめようとする瑠香に向かって降りていく。
瑠香は葛葉子を抱き受けて、互いに一瞬切なげに見つめ合い唇を交した。
東殿下は手加減しない。
面白い遊びに夢中な子供のように結界を色んなところに貼っていった。
葛葉子を包囲して捕まえる作戦はうまく行った。
「葛葉子みーつけた!」
持っていた懐中電灯で葛葉子を照らした。
「きゃっ!」
葛葉子は眩しくて目を思わずぎゅっと閉じた。
「あはは。ごめんごめん。さっ、おいで」
結界はあやかしにしか効かないのか東殿下が葛葉子の手首をそっと取って軒下の外に出そうとする。
「だ、だめです。結界で出られません!」
東殿下はなんともなくても、葛葉子は出ることは叶わないと思う。
「そうか、御札剥がさなきゃね…でも、剥がしに行ってる間に瑠香に見つかっちゃうかも…」
瑠香は同じく軒下あたりをウロウロしていた。
「逃げてもいいのだよ?」
東は猶予を葛葉子に与える。
無理やりキスをするのは女の子に失礼だ。
「逃げろといわれても……」
でもこの結界の中ではまた捕まってしまうだろう。
「そうだねぇ。このままだとほんとに僕の眷属にしちゃうよ?」
夜目の効く葛葉子は東の微笑みは陛下に似ていてドキドキしてしまう。さすが親子であられる。
葛葉子は耳をしゅんとと下げる。
尻尾をぱたばたと揺らす。
迷ってる。
東親王はとても優しい…。
瑠香みたいに意地悪しないし言わないけれど、キスをしようとしてることは同じだ。
葛葉子の頭をポンポンと優しく撫でて、妹を愛でる感じがするけれどその手も、やはり優しい…
いずれ祝皇になられるかもしれない可能性はある。
妃候補になるのも悪くないかもしれぬ……
これは魂に入った白狐の考え…
だけど…だけど…
私は……
瑠香に口づけしてほしい……
意地悪だけど、優しいキスを…したい……
「さぁ、狐のお姫様。
僕と誓いのキスをしようか?」
東殿下は葛葉子のあごを指で持ち上げてゆっくり唇を近づける。
唇の柔らかい感覚をイメージしていたが、違うと感じた東は瞳を開けて葛葉子をみると、両手でとっさに唇を隠していた。
「…ビッチって瑠香に馬鹿にされるのいやです…」
耳をひしゃげて、東を困ったように見つめる瞳は真剣で潤んでいた。
これが葛葉子の本心だ。
「……僕の眷属になればそんな意地悪はさせないよ?」
やはり、優しくそうおっしゃった。
東殿下の眷属になれば、守る立場から守られる立場になりそうだ。
瑠香も手出しができない。
もう触れてもらえなくなる……
それは、心がどことなく締め付けられるほど辛い……
「そ、それはそうかもしれないですけど…私は…」
瑠香にしてもらいたい……
そう、口にできないでいたら、
ブワッ!
と、大きな手の形をした煙が葛葉子を勢い良く軒下から掴みだした。
「瑠香⁉」
この力は瑠香の能力で初めて会ったときを思い出した。
煙の手は月明かりに葛葉子を照らすと、キラキラ光りながら霧散して葛葉子は抱きとめようとする瑠香に向かって降りていく。
瑠香は葛葉子を抱き受けて、互いに一瞬切なげに見つめ合い唇を交した。
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