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あやかしと神様の夫婦の危機

7☆瑠香の女装

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 瑠香の当初の考えとして瑠香自ら囮として女装する事だった。

 護衛の休みを頂いたら、そうするためのあらかじめ用意をしていた。
 女装をしたことは何度かある。
 それに幼い頃は女の子の格好ばかりしていたので嫌悪感はない。
 趣味ではないが似合っているとは思っていた。
 葛葉子の服は小さくて、女らしすぎるので、スレンダーな体格に似合う服をばかり着る姉の真陽の服を借りた。
 厚着ができる冬で良かったと思う。

 葛葉子のブラジャーに綿や風船やパットを詰め込んでトータルネックのニットセーターはグラマーな胸に見える。
 その上に足首までの丈の茶ワンピースを着て中にはズボンを履いておく。
 
 すばやく着替えたとはいえ、姿見鏡で確認していたら、
 女装の瑠香にジジ様は飛びつく。
「ババ様ぁそっくりじゃぁぃ!」
 スリスリして、ない胸をわざといたずらで弄ったら、胸があった。
「瑠香くんはいつから女の子になったんじゃ?」
 目を見開いて驚き傾げる。
「ジジ様を騙せるなら成功するかもな」
 ジジ様に形を崩されたのを素早く直して、男が見てすごいと思うように胸の中身を盛りまくった。
 そんな作業をしながらジジ様に今回の事件を話したら、

「いつの時代も、歪んだ念は魔や鬼になる。
 わしのときも同じ事件があったものぞゃ。昔はエロ写真とか少なかったからの妄想が念になることもあったわい」
 そして、思い余って犯罪に走る者もいたがそれ以上に念に取り憑かれる者もいたらしい。

「そんな不届き者はババ様とともに封じたのじゃが出てきてしまったか。ヒャッヒャッヒャ!」
 懐かしそうに語り笑うジジ様に笑い事ではないのだけど…とジトっと睨む。

「人がいる限り時を経てまた念がたまり悪さをしているということだろうの。」
 ほぼ永遠のいたちごっこと言う事かと瑠香はため息を吐いた。
「ま、なんとかなるじゃて。
新たなる『阿倍野殿』としてあやかし達を仕切ることを頑張るのじゃぞ。ヒャヒャヒャヒャ。」
 といって異界を繋げてすぐに東殿下たちが待つ校舎に送り出された。
 瑠香は阿倍野の婿でもあるし、前当主に勝ったので『阿倍野殿』という陰の者たちを監視する任をも担ってしまった。



「一年ぶりに瑠香のその格好を見たよ」
 東親王は女装の瑠香を見て微笑んだ。
「一年前に何かあったのですか?」
 葛葉子は首を傾げる。

「まぁ、女子校に乗り込んだってくらいかな。一日だけだけどね」
 似たような事件が起こる学校があって二人で乗り込んで怨霊を瑠香は有無を言わさず、ひと睨みでけしたということだった。
 思い出してあははと笑う。

「今回はお姉さんぽく見えるね。葛葉子の制服で来ると思ったけど…」
 瑠香は髪を縛るのをやめて、ストレートのサラサラの髪で神の化身のために神秘的で女性にも見えないこともない。
 胸をわざとらしくこれでもかっ!ってほど盛っている。
 中性的な美はまだある十七歳の青年だが化粧をしてないので、近くで見れば男だってわかるかもしれない。
 さすがに化粧をする余裕はなかった。
 葛葉子は、せめて口紅だけでもと、持っていた口紅を瑠香の口に塗る。
 そうすると、更に美しい女性に見えるけど、バレたらと思うと葛葉子は心配になる。

「瑠香の方が変態だって思われちゃう…」
 わざと目を座らせる。少し女の自分より美人な瑠香に嫉妬もある。
 瑠香はそんな葛葉子に苦笑して、
「葛葉子のおっぱいを囮にされるくらいなら変態だと思われても構わないよ」
 少し照れて本気で言う。
 そんな夫が愛しくてついキスを繰り返す。
 せっかくつけた口紅が台無しになった。
 なので、もう一度きれいに塗り直す。
 さらに、仕上げに能力のお香の力で男には瑠香がどこからどう見ても女に見える脳に作用させる香を纏う。
 その直後、東親王にそっと手を握られる。

「なんて、素敵なレディだ…」
 もう、東親王はこの罠にかかってしまったらしい。瞳が煌めいている。この能力は自分の好みの女にも見える効果もある。

「……春子女王に写真送ってお仕置きしてもらっちゃいますよ?」
 葛葉子の脅しに東親王はパッと手を離して、

「シラスの力の影響で僕の浮気性の悪い癖がでちゃった。てへっ!」
 と頭を自ら叩いて反省する仕草をする。
 シラスの力の副作用かあまり品がない。素で居らっしゃると護衛三人は苦笑した。

「それに、このシラスの力でこの周辺をうろついている心秘めていた鬼も表に現れているから見つけやすいと思うよ」
 護衛三人と怨念巫女幽霊は東親王の手の甲に重ねて、

「他の女の人を襲われる前に捕まえなきゃね!全力を尽くすよ!」
 エイ!エイ!オーっ!と言ってヤル気を高めた。
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