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あやかしと神様の補足事項
12☆純粋に……(エンド)
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「何とか、無事に後継が決まってよかった。」
葛葉子は一人そう呟いた。
瑠香とのデート、ポンタと誓約したり色々あって疲れたけれど、やっと一息ついた感じだった。
夜遅くなってしまって、唯一一人になれるお風呂で今日あったことを思い出してフーっと疲れを吐き出す。
《まぁ、本来は私以上に強いあやかしなどいないから私の任なのだがの、たまに葛葉子のようになった時は致し方ないからの》
「それは何度もあったの?」
《お前の母もそうだし、初代もそうだの……奇特な運命宿命のものが多いから、私が補助してやらねばならぬのだ……》
菊はため息を吐くように言った。
《それ以外は阿倍野の血筋から、あやかしが隙間を埋めることもしたの。
婿が阿倍野、あやかしの世界を管理するものなのはその事が所以だ。》
九尾の狐の血筋の余波で男子ならば、あやかしの棟梁、そのあやかしの棟梁に勝ったものが次の阿倍野殿になる。
だから、父の威津那は阿倍野殿になり、ジジ様は一切逆らわなかった。
《最強に最強を重ねていくのが最も進化の過程で重要だからの、千年後はどうなっていることやら》
クククっと菊は笑う。
「菊は……私の寿命の十五年が終わったら、西のあやかしの守護に戻るの?」
葛葉子は思いついた疑問を素直に尋ねる。
《さぁ……その時はその時じゃ……何しろ、私はお前の半身でもあるのじゃ……》
葛葉子の体と菊の九尾の尻尾が同化して一心同体になった感覚はあるが、魂は未だふたつ。
意思は別々と認識してる。
黄泉に行った時のように、魂が、別れたり、今のように中に入ったり不思議な感覚だ。
それは菊の意思でどうにかなるようにも思う。
《いまは葛葉子のそばにいることが一番の楽しみじゃ。西の守護をしたいあやかしはポンタじゃなくてもいずれ現れるじゃろ。二股も帰ってくれば率先して付きたがる……
もう、昔のように自由気ままでもよかろうて……葛葉子はいやか?》
「うん。菊も愛おしいよ。瑠香と同じくらいに……」
ぎゅっと菊を抱きしめるように自分の体を抱きしめる。
今日の菊は色々話してくれる雰囲気だと思うと聞きたいことは沢山ある。
「……前世も瑠香と結ばれたんだよね?」
《まぁな、いろいろ先祖返りしてるが、変わるのは世の常だが……お前らの絆は変わらぬな……》
菊はため息を吐いたようだ。
そして考え深く黙ると口を噤む。
もう喋る気はないようだが、菊の心は同化しているから感じ取る。
(やっぱり…今世、瑠香と結ばれるのは宿命運命………来世もやっぱり瑠香と結ばれたい……)
十五年しかない寿命だと思うから尚更だ。
来世はもっと生きたいと思うが今がとても大事だ。
今、瑠香といることを蔑ろにしたくない。
いつだって傍にいたい……命尽きるまで……
葛葉子は勢いよくお風呂から上がって体を急いで拭いてパジャマに着替える。
急に感極まって、瑠香の部屋にノックもなしに入って
「今日は一緒に寝ていい?」
瞳を潤ませて首をかしげて切なげに可愛く聞かれて瑠香は胸が高鳴る。
「え、それって……し、初夜まで手を出さないって約束したし……」
瑠香の方が落ち着かなくなって戸惑う。
「手を出して!今すぐ!」
「えっ!い、いいのか?」
「今すぐ握りたいの!」
「な、何を!?」
「手だってばっ!」
葛葉子は無理やり瑠香の手を握る。
両手の指を絡ませる。
解けないように繋がるように。
繋がっていたいから……
菊は魂が繋がっている感じがするが、瑠香と心は繋がっていると思うけどもっと繋がりたい、抱きしめてもらいたいけど、体じゃなくてもっと精神的なもので純粋な事で繋がりたかった。
瑠香は葛葉子の複雑な思考回路を覗いて黙って手を握る。
繋がれた手にやっと安心感が戻る。
瞳を無意識に瞑って瑠香と繋がっていることを確認して、瑠香と瞳を合わせて微笑む。
「好き。ずっと一緒にいようね……」
純粋な好きという気持ちが伝わってくる……
エロさも欠片もないけど、なにか特別な繋がりを感じたかったようだ。
もっと好きを伝えたい。
プラトニックだけじゃ正直物足りないと瑠香は思うが……
肉体ではなくて精神が心が、魂が、繋がっていることを確認しに来たと思うと、いやらしい気持ちではなく純粋に手を繋いで眠りについた。
ただ純粋に、赤ちゃんの頃の運命的に……宿命的に生まれて出会い、無意識に握って離さない赤子の頃のように……
翌日、姉の真陽にいろいろドヤされたことは言うまでもない。
葛葉子は一人そう呟いた。
瑠香とのデート、ポンタと誓約したり色々あって疲れたけれど、やっと一息ついた感じだった。
夜遅くなってしまって、唯一一人になれるお風呂で今日あったことを思い出してフーっと疲れを吐き出す。
《まぁ、本来は私以上に強いあやかしなどいないから私の任なのだがの、たまに葛葉子のようになった時は致し方ないからの》
「それは何度もあったの?」
《お前の母もそうだし、初代もそうだの……奇特な運命宿命のものが多いから、私が補助してやらねばならぬのだ……》
菊はため息を吐くように言った。
《それ以外は阿倍野の血筋から、あやかしが隙間を埋めることもしたの。
婿が阿倍野、あやかしの世界を管理するものなのはその事が所以だ。》
九尾の狐の血筋の余波で男子ならば、あやかしの棟梁、そのあやかしの棟梁に勝ったものが次の阿倍野殿になる。
だから、父の威津那は阿倍野殿になり、ジジ様は一切逆らわなかった。
《最強に最強を重ねていくのが最も進化の過程で重要だからの、千年後はどうなっていることやら》
クククっと菊は笑う。
「菊は……私の寿命の十五年が終わったら、西のあやかしの守護に戻るの?」
葛葉子は思いついた疑問を素直に尋ねる。
《さぁ……その時はその時じゃ……何しろ、私はお前の半身でもあるのじゃ……》
葛葉子の体と菊の九尾の尻尾が同化して一心同体になった感覚はあるが、魂は未だふたつ。
意思は別々と認識してる。
黄泉に行った時のように、魂が、別れたり、今のように中に入ったり不思議な感覚だ。
それは菊の意思でどうにかなるようにも思う。
《いまは葛葉子のそばにいることが一番の楽しみじゃ。西の守護をしたいあやかしはポンタじゃなくてもいずれ現れるじゃろ。二股も帰ってくれば率先して付きたがる……
もう、昔のように自由気ままでもよかろうて……葛葉子はいやか?》
「うん。菊も愛おしいよ。瑠香と同じくらいに……」
ぎゅっと菊を抱きしめるように自分の体を抱きしめる。
今日の菊は色々話してくれる雰囲気だと思うと聞きたいことは沢山ある。
「……前世も瑠香と結ばれたんだよね?」
《まぁな、いろいろ先祖返りしてるが、変わるのは世の常だが……お前らの絆は変わらぬな……》
菊はため息を吐いたようだ。
そして考え深く黙ると口を噤む。
もう喋る気はないようだが、菊の心は同化しているから感じ取る。
(やっぱり…今世、瑠香と結ばれるのは宿命運命………来世もやっぱり瑠香と結ばれたい……)
十五年しかない寿命だと思うから尚更だ。
来世はもっと生きたいと思うが今がとても大事だ。
今、瑠香といることを蔑ろにしたくない。
いつだって傍にいたい……命尽きるまで……
葛葉子は勢いよくお風呂から上がって体を急いで拭いてパジャマに着替える。
急に感極まって、瑠香の部屋にノックもなしに入って
「今日は一緒に寝ていい?」
瞳を潤ませて首をかしげて切なげに可愛く聞かれて瑠香は胸が高鳴る。
「え、それって……し、初夜まで手を出さないって約束したし……」
瑠香の方が落ち着かなくなって戸惑う。
「手を出して!今すぐ!」
「えっ!い、いいのか?」
「今すぐ握りたいの!」
「な、何を!?」
「手だってばっ!」
葛葉子は無理やり瑠香の手を握る。
両手の指を絡ませる。
解けないように繋がるように。
繋がっていたいから……
菊は魂が繋がっている感じがするが、瑠香と心は繋がっていると思うけどもっと繋がりたい、抱きしめてもらいたいけど、体じゃなくてもっと精神的なもので純粋な事で繋がりたかった。
瑠香は葛葉子の複雑な思考回路を覗いて黙って手を握る。
繋がれた手にやっと安心感が戻る。
瞳を無意識に瞑って瑠香と繋がっていることを確認して、瑠香と瞳を合わせて微笑む。
「好き。ずっと一緒にいようね……」
純粋な好きという気持ちが伝わってくる……
エロさも欠片もないけど、なにか特別な繋がりを感じたかったようだ。
もっと好きを伝えたい。
プラトニックだけじゃ正直物足りないと瑠香は思うが……
肉体ではなくて精神が心が、魂が、繋がっていることを確認しに来たと思うと、いやらしい気持ちではなく純粋に手を繋いで眠りについた。
ただ純粋に、赤ちゃんの頃の運命的に……宿命的に生まれて出会い、無意識に握って離さない赤子の頃のように……
翌日、姉の真陽にいろいろドヤされたことは言うまでもない。
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