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あやかしと神様の補足事項

11☆修行

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「えっ!ポンタって宮中のあやかしたぬきだったの?!」
 東殿下は瞳を大きくして驚かれてキラキラの瞳をぶんぶく茶釜状態のギターから手足が出ているポンタをみて驚かれた。

 許可を伝える式神が来てから、葛葉子の中にいる菊が異界の道を開いて宮中の陰陽寮の襖からお邪魔した。
「知り合いなのですか?」
 葛葉子も意外なことにびっくりする。
「まぁね。中学の時にお世話になったよ。狸のあやかしだってことは知らなかったけど」
 そう言って、愛用のカメラで容赦なくカメラに姿を収める。

「もとは宮中の野生のたぬきだったのか……ん?」
 瑠香は、はっ!とする。
 宮中の庭の邪な神やあやかしを掃除する審神者となった時、密かに修行を付けられたことをふと思い出す。
 なぜだか記憶を消されて忘れてしまったことだが、その時の1匹がポンタだと思うとうーん……と密かに唸る。
 記憶を消された原因はあまりにも、執拗くモフモフモしすぎて、嫌われたことを思い出した。

「狸が宮中に、野生で住ませている理由の一つに【たぬき】は【を抜く】という言霊も、になってるんだよ?他国を追い抜くという、願掛けだね。」
 と東殿下は嬉しそうに仰った。
 ならば、ポンタがあやかしの四神に相応しい、【西の守りのあやかし】であるとも言えるが、ポンタの心情を思うと可哀想だなと思う。
「ルカ!葛葉子もきてたのか!」
 晴房は陰陽寮長とともに局に入ってきた。
「いま、ハルは陰陽寮長に陰陽術の秘技を教わっているのだ!」
 えへん!と晴房はわざとえばるように腰に手を当てて胸を張る。
 その仕草に葛葉子は萌えてしっぽをパタパタと揺らした。

「瑠香はお香の能力があるから要らない。と断った術だがな……」
 陰陽寮長の父は紙を操り式神を作る能力に長けていた。
 陰陽師は能力に差はあるものの使えるように、陰陽寮長に修行をつけさせられる。
 陰陽寮長になるのならば、秘技として寮長になるものに全てを教え伝える。
 ほぼ一生を宮中で暮らす晴房にその術を託すことを目指している。
 瑠香にもある程度教えてくれたが、お香の力に変換して、たかを括っている態度に諦めて後継者を晴房にした経緯もある。
 それが正解だと瑠香は思う。
 陛下を守る【神の化身】で【審神者】で【阿倍野殿】で、【陰陽寮長】になるなんで忙しすぎてゴメンだ。
「瑠香見てくれ、今日は分身の式神作ったぞ!」
 自分の《髪》を人型に《紙》をに入れて、息を吹きかけると、晴房そっくりの人間が現れる。
「わ、晴房が二人!」
「分身の方が大人しそうで聡明そうだから分身と分かるな……」
 分身のほうは微動だもしないが、神秘的な雰囲気が溢れた子供に見える。
「お前もハルの対のルカの神なら式神の分身を置いてもらうことになるぞ。
 それが出来るくらいにはお前も少しは真面目に修行しろ」
 と、陰陽寮長はギロリと叱るような瞳を瑠香にむける。
 寮長にならずとも自分の息子に能力を継がせたいと思う親心を瑠香は真剣に考えず、もどかしいようだ。
「あやかしも、修行すれば分身置けるかな?」
 葛葉子は希望を込めて口にする。
「まぁ、狸のあやかしなら、努力すれば出来るようになるんじゃないかな?狸は基本、変化や分身で人を馬鹿にするの好きだもの」
 東殿下は狸のあやかしの特徴を考えておっしゃると、
「俺も修行する!修行させてくれ!」
 ポンっとギターから一旦、たぬきに戻って、人間の姿に戻り陰陽寮長に必死に土下座した。
 それが叶うなら夢と叶うし、宮中の西も守れると思う。
「あやかしが、弟子になるなんてな……」
 と、陰陽寮長は鋭い瞳を細めてし承認した。

「あーあー。僕も神の化身に選ばれてたら分身の術つかえて、楽しいお忍びたくさん出来たのになぁ……」
 と東殿下はわざと仰ったが、
「神の化身じゃなくて助かってますよ」
 と、すかさず瑠香は苦笑して言った。



 ポンタが守りができない時は式神を置くことになった。
 瑠香の身代わりの式神は成人まで伸ばした瑠香の髪をバッサリ切って宮中の守り神であるルカの神の依り代にも使った。
 かなりの年月伸ばしたかいがありルカの神の依代として容赦なく邪悪なものから陛下をお守りした。
 髪の毛長くしておいてよかったと瑠香は心底思う。

 晴房が一人で宮中を守れる力を得て、ポンタは有名なロックバンドになってさらに二十年現役を貫き人気のうちに解散した。
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